AGAの治療中に妊活しても大丈夫？AGA治療薬が妊活に与える影響や妊活中でも可能な治療方法について解説

妊娠中の女性は胎児への影響を避けるために、薬の使用を控えることが一般的です。特に妊娠4週から7週は「器官形成期」と呼ばれ、この時期に薬を使うと奇形を引き起こしやすくなります。

一方、男性の場合は、薬の影響がほとんどないと言われています。これは、薬が男性の精子に影響を与えたとしても、精子が受精する能力を持たないためです。実際に、精液中の精子の約20％はもともと奇形であり、そのような精子は受精能力がありません。

万が一奇形の精子が受精したとしても、うまく着床しないか、流産することが多いため、奇形の赤ちゃんが生まれることはほとんどありません。したがって、男性が妊活中に薬を使っても、胎児に悪影響を及ぼすことはほとんどないと考えられています。

フィナステリドはAGA（男性型脱毛症）の治療に使われる薬ですが、妊活や妊娠中には注意が必要です。

男性が服用すると、性欲減退や男性機能障害といった副作用が起こる可能性があります。また、精液中に微量のフィナステリドが含まれることがあるため、妊活を始める場合は服用を中止してから3ヶ月間の間隔を空けましょう。

一方、女性はフィナステリドを服用したり、触れたりすることが禁止されています。妊娠中や妊娠の可能性がある場合、フィナステリドが男子胎児の生殖器官の発育に影響を与える恐れがあるためです。皮膚からも吸収されることが報告されているため、粉末に触れることも避けてください。

フィナステリドについて

フィナステリドは、2005年に日本で使用が認められた薬で、男性の脱毛症（AGA）の治療に効果的であるとされています。プロペシアと同じ効果を持ちながら、安価なため多くの方に利用されているお薬です。日本皮膚科学会のガイドラインで、フィナステリドは強く推奨されています。

▶AGA治療に用いられる内服薬

フィナステリドは、男性の髪が薄くなる脱毛症であるAGAに用いられる内服薬です。もともとは前立腺肥大という別の健康問題の治療のために開発された薬です。しかし、髪が抜けにくくなる効果があることがわかり、現在では髪の毛の薄さを改善する目的で使われるようになりました。

▶プロペシア錠のジェネリック医薬品

プロペシア錠は、最初のAGA治療薬です。この薬の主成分はフィナステリドという物質で、髪の毛の成長を助けます。

プロペシア錠の登場後、同じ成分を使ったジェネリック医薬品も作られました。これらのジェネリック医薬品も「フィナステリド」と呼ばれており、成分名と薬の名前の両方に使われています。

この薬の効果は、脱毛の進行を遅らせることにあります。髪の毛は「成長期」という期間に育つのですが、この期間が短くなると、髪の毛が細くなり、やがて抜け落ちてしまいます。この成長期が短くなる原因の一つとして、DHT（ジヒドロテストステロン）というホルモンが関係しています。

DHTは、テストステロンという男性ホルモンが体内で変化してできる物質です。DHTには、髪の毛の成長を妨げる働きがあります。フィナステリドは、このDHTを作る酵素の働きを抑えることで、DHTの生成を減らし、結果的に髪の成長期を保ち、薄毛の進行を遅らせるのです。つまり、フィナステリドは髪の毛が抜けるのを遅らせるための助けとなる薬といえます。

効果が実感できるまでには時間がかかります。一般的には、服用を始めてから効果を実感できるまでに3〜4ヵ月かかることもありますが、通常は6ヵ月ほどの期間が必要です。そのため、効果を感じるまでの間は、根気強く服用を続けないといけません。

フィナステリドは、薄毛の原因であるヘアサイクルの乱れを正常に戻す働きを持っています。ただし、ヘアサイクルが正常に戻り、毛髪が長く太く成長するまでには時間がかかるため、数ヵ月の間は目に見える変化が現れないことが一般的です。効果が現れるまで根気強く薬を続けることが大切になります。

フィナステリドは、特定の種類の薄毛に特に効果的です。生え際が後退せずに頭頂部が薄くなってきたり、生え際は後退していないが前頭部全体が薄くなってくる場合（一般的に「バーコード型」と呼ばれるもの）に特に有効です。

研究によれば、このタイプの薄毛の場合、フィナステリドを服用すると少なくとも6割、多いと8割の人に効果が現れると報告されています。この薬を1年間続けて飲むと髪の量が増え、2年目にさらに増えることもあるため、フィナステリドを継続して使用してください。

フィナステリドは、日本皮膚科学会の「脱毛症診療ガイドライン」によると、女性の脱毛症(FAGA)にはプロペシアの使用は控えたほうが良いとされています。ここでは、フィナステリドが女性にどのような影響を与えるのか、詳しく説明します。

フィナステリドは、男性ホルモン（DHT）の産生を抑制することで効果を発揮します。男性ホルモンは女性の体内でも少量分泌されていますが、そのバランスが崩れると体調に悪影響を及ぼすかもしれません。

ホルモンバランスが乱れると、吐き気や頭痛などの不調が生じる可能性があります。女性の場合、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌にも影響を与えることがあります。これにより、排卵や子宮内膜の増殖など、妊娠に必要な機能が損なわれる可能性があるのです。ホルモンバランスの乱れは、少量のホルモンでも大きな影響を与えることがあるため、注意しましょう。

男の子の胎児が正常に生殖器を発達させるためには、DHTという男性ホルモンが必要です。フィナステリドはこのDHTの生成を抑える働きがあるため、男の子の胎児の生殖器の発達に問題を引き起こす可能性があります。

女性がフィナステリドを扱う際に知っておくべき注意点についてご紹介します。取り扱う際には、必ず確認するようにしましょう。

フィナステリドは、妊娠中や授乳中の女性、または妊娠の可能性がある女性には使用しないようにしてください。この薬は男性ホルモンの一種であるDHTを減少させるため、男の子の胎児の発育に悪影響を与える可能性があります。妊娠していない場合でも、ホルモンに影響を与えるため、女性がフィナステリドを服用するのは避けましょう。

フィナステリドの錠剤には、女性が触れないようにすることが重要です。特に妊娠中や授乳中の女性、または妊娠の可能性がある女性は、錠剤に触れること自体を避けてください。これは、適正使用文書にも記載されています。

男性の場合は薬の管理に注意が必要です。たとえば、フィナステリドの錠剤をテーブルに置きっぱなしにすると、パートナーが知らずに触ってしまうかもしれません。また、自己判断で錠剤を分割したり粉砕したりするのも避けましょう。飛び散った粉がパートナーの身体に触れることが考えられ、悪影響を与える恐れがあるためです。

フィナステリド以外にも、厚生労働省から認可を受けているAGA治療薬としてザガーロやミノキシジルがあります。それぞれの薬剤が妊活に与える影響について詳しく見てみましょう。

ザガーロはフィナステリドと同様に、AGAの原因となるDHTの生成を強力に抑える薬です。男性ホルモンに影響を与えるため、性欲の減退や勃起不全（ED）、精液量の減少などの副作用が発生する可能性があります。また、ザガーロはプロペシアよりも体内に長く留まるため、服用を中止しても薬の影響が消えるまでに時間がかかります。

妊活中の方はザガーロの使用に際して副作用に注意が必要です。妊活中の方が使用する際には、医師に相談しましょう。

ミノキシジルについて

ミノキシジルは、頭皮の血管を広げて血流を改善することで効果を発揮するAGA治療薬です。これは、男性だけでなく、女性の脱毛症治療にも広く利用されています。

この薬は男性ホルモンに影響を与えないため、性機能の低下や精液量の減少といった副作用はありません。そのため、妊活中の方にも影響がないとされています。こうした特徴から、ミノキシジルは妊活中でも比較的安心して使用できる薬と言えます。

妊娠については、パートナーと十分に話し合い、お互いが納得できる方法を選ぶことが大切です。フィナステリドと妊活に関して不安がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。

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フィナステリドは、AGA（男性型脱毛症）の治療に使われることがありますが、妊娠を考えている場合や妊活中には注意が必要です。なぜなら、フィナステリドが胎児に影響を与える可能性があるためです。妊活中や妊娠を考えている場合は、医師と相談してリスクの少ない治療方法を選びましょう。パートナーと一緒に最適な妊活方法を見つけるために、この記事を参考にしてください。