ほくろの除去手術はどこでできる?皮膚科・美容外科との違いや治療法を詳しく解説
更新日:2024年12月11日
そもそも「ほくろ」とは
ほくろは、皮膚の色素細胞が集まってできる小さな良性の腫瘍です。生まれたときからあるものや、成長するにつれてできるものもあります。色は茶色や黒で、小さなシミや盛り上がりとして体のいろいろなところに現れます。メラノーマ(皮膚がん)の心配をする人がいますが、ほくろがメラノーマに変わることはありません。
ほくろができたときには、少し大きくなることもありますが、ほとんどの場合は直径6ミリ以下で成長が止まります。ただし、先天性のほくろや幼い子供のころにできるほくろは大きくなることもあり、大人でもまれに10ミリを超えるほくろができることがあります。大人になってからできたほくろが変化する場合や、7ミリを超えるときには、早めに皮膚科を受診しましょう。
ほくろは最初は平らですが、だんだんと盛り上がってくることがあります。顔では丸く、体ではいぼのように膨らむことが多く、柔らかいのが特徴です。また、膨らんだほくろの色が薄くなることもあります。肉眼では、ほくろと他の皮膚の異常を見分けるのは難しいかもしれません。
ほくろの種類
生まれつきある先天性と後天性のものに分けられます。そのうえ、顕微鏡で確認したときに増えている場所により3種類に分かれます。
増えている場所による違い
境界母斑
肌の表皮と真皮の間にある部分に母斑細胞が存在するものです。このタイプの母斑はメラニン色素をたくさん生成するため、黒くて平らなホクロのように見えます。
複合母斑
表皮と真皮の境界部分から真皮の浅い部分まで母斑細胞が存在します。このタイプもメラニン色素を多く生成し、黒または茶色で少し盛り上がったホクロのように見えます。
真皮内母斑
真皮の中にだけ母斑細胞が存在するものです。メラニン色素の産生は少ないため、肌色や薄茶色、あるいは灰色の盛り上がったホクロのように見えます。
種類
Ackermanが提唱する後天性母斑細胞母斑には4つの種類があります。それぞれに特徴があり、どの部位にできるかや見た目が異なります。
Miescher母斑
主に顔や頭、首に現れる黒褐色のドーム状の隆起で、毛が生えていることもあります。幼児期や小児期から発生し、母斑細胞が逆三角形に深く(時には脂肪の層まで)存在します。多くの人が取り除くことを希望する顔のホクロの大半は、このタイプです。この母斑細胞の深さは、複合母斑や真皮内母斑のタイプに分類されます。
Unna母斑
上腕、ふともも、首などにできる柔らかく膨らんだホクロです。時々くびれがあり、表面が凸凹していて桑の実のような見た目をしています。大きさは約1cmです。このタイプも、複合母斑や真皮内母斑の深さに分類されます。
Clark母斑
手のひらや足の裏を含む全身に現れる平らな黒褐色の丸いホクロです。母斑細胞の深さは境界母斑や複合母斑に分類され、初期段階は単純黒子と考えられます。
Spitz母斑
若年者に多く、半数は幼児期に発生しますが、60歳以上の高齢者では非常に稀です。全身のどこにでも現れ、黒褐色だけでなく赤色の場合もあります。見た目が悪性黒色腫(メラノーマ)に似ていることがあるため、注意が必要です。母斑細胞の深さは、境界母斑、複合母斑、真皮内母斑のすべてのタイプに分類されます。
ほくろと似た病気
ホクロと間違えやすい疾患には、メラノーマ(悪性黒色腫)、基底細胞がん、脂漏性角化症があります。これらの疾患は見た目が似ているため、専門医の診断を受けることが重要です。
メラノーマ(悪性黒色腫)
メラノーマ、またの名を悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)とは、皮膚にできるがんの一種です。皮膚に色をつけるメラニンという色素を作る「メラノサイト」という細胞が、異常に増えてしまうことで発生します。
メラノーマは普通、茶色や黒色のシミやコブのようなものとして、皮膚の上に現れます。一般的に「形が左右で違う」「輪郭がギザギザしている」「色が均一でない」「6ミリ以上の大きさがある」「成長して大きくなったり、色や形が変わったりする」などが特徴です。
目や口の中などの粘膜にできることもありますが、ここでは主に皮膚に現れるメラノーマについて説明しています。
基底細胞がん
基底細胞がんは、皮膚がんの一種です。特に顔に発生しやすいですが、転移することはほとんどありません。このがんは、皮膚の一番外側にある表皮の一番下の層にある基底細胞や、毛根を包む組織を構成する細胞から発生します。
主な原因としては、紫外線や放射線の影響が考えられています。最初は直径1〜2ミリメートル程度の小さな黒い点が皮膚に現れることが症状です。これが次第に集まって円や楕円形に広がり、進行すると中央がへこんで潰瘍化していきます。
脂漏性角化症
脂漏性角化症、または「老人性イボ」と呼ばれるものは、主に中年以降に現れる良性の皮膚腫瘍です。これができると、皮膚に少し盛り上がったしみのようなものが現れます。見た目がイボに似ていることからこの名前が付けられていますが、実際には通常のイボのようにウイルスが原因ではないため、人にうつることはありません。
これは顔、頭、胸や背中など日光にさらされやすい部分によく見られますが、脇の下や腹部、太ももなどにも発生することがあります。ただし、手のひらや足の裏にはできません。
色は茶色から黒色まであり、大きさは数ミリから数センチ程度です。大きくなるときにかゆみを感じることがありますが、通常は痛みもなくかゆみもありません。脂漏性角化症は自然に消えることはなく、癌に変わることもありません。特に治療の必要はありませんが、見た目が気になる場合は除去することが可能です。
ほくろとシミの違い
シミとほくろは、それぞれ異なる原因でできる肌の変化です。
シミは、肌に蓄積されたメラニン色素によって発生します。これは、紫外線や肌の老化によるダメージが原因です。一方で、ほくろはメラノサイトという色素細胞が変化して集まったものです。
見た目や手入れの方法も違います。シミは一般的に茶色や褐色で、平らなことが多く、セルフケアで薄くなることもあります。しかし、間違ったケアをするとかえって悪化することもあるので注意が必要です。一方、ほくろはシミよりも色が濃く、少し盛り上がっていることが多く、セルフケアでは改善しません。
また、シミは主に30歳以降に発生し、時間と共に濃くなることがあります。肌のターンオーバーが乱れることで、メラニンが蓄積されてシミができます。
ほくろ除去は皮膚科と美容外科どっちで行うのがいい?
ほくろ除去を検討している方には、どの医療機関を選ぶべきか悩むこともあります。以下に、皮膚科と美容クリニックの違いを説明します。ほくろの状態や種類に応じて、適切な医療施設を選びましょう。
皮膚科の特徴
皮膚科は病気の治療を専門としており、炎症や痛みを伴う皮膚の問題に対応しています。ほくろが病的なものであれば、皮膚科で診てもらうのが適切です。保険が適用されるほくろ除去を希望する場合も、まず皮膚科を受診して医師の診断を受けましょう。皮膚科の治療は再発を防ぐことに重点を置いているため、治療期間が長くなることがあります。
美容クリニック(美容外科・美容皮膚科)の特徴
美容外科や美容皮膚科は見た目を美しく整えることを目的としています。美容外科ではメスを使った手術が行われることが多く、美容皮膚科ではレーザーなどの機械を使った施術が一般的です。美容クリニックでは、ほくろをきれいに取り除くための様々な施術方法があり、外見のコンプレックスを解消したい方に向いています。
皮膚科でのほくろ除去は保険適用される?
皮膚科でほくろを除去したいと思っている人も多いと思います。実は、ほくろの種類や場所によっては、保険が適用されることがあります。ここでは、ほくろ除去が保険でカバーされる条件と、費用の目安について説明します。ほくろを取ろうと考えている方は、参考にしてください。
美容目的の場合は保険適用外
ほくろ除去は、美容目的で行う場合は保険が適用されません。しかし、皮膚科で診察を受けて健康上の問題があると診断された場合は、保険が適用されます。保険適用の場合、自己負担額は3割が一般的ですが、これは年齢や所得によって異なります。
一方、ほくろが良性で日常生活に問題がない場合、美容目的として除去することになり、保険が適用されません。その場合、自費での治療となります。美容クリニックでのほくろ除去は、保険が効かないことが多いため、保険で治療を受けたい方は皮膚科を訪れると良いでしょう。
ほくろ除去で保険適用される条件
ほくろを除去する場合、保険が適用されることはあまり多くありません。これは、ほとんどのほくろ除去が見た目を良くするための美容目的に分類されるからです。しかし、以下のような場合には保険が適用されることがあります。
悪性が疑われる
医師が診察して、皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)などの疑いがあると判断した場合、命にかかわる可能性が高いため、公的な医療保険を使って治療できます。
日常生活に影響がある
ほくろが大きく、日常生活に支障をきたすと判断された場合も保険適用が可能です。たとえば、ほくろが視界を妨げたり、衣類の着脱に影響を与える場合などです。
ほくろ除去の治療方法
ほくろの治療法は個々の状況によって異なります。ほくろの位置、大きさ、深さ、色、そして数などが影響します。また、治療の目的によっても変わることを理解しておきましょう。
たとえば、顔にある目立つほくろを完全に除去したい場合と、体の目立たない場所にあるほくろを少し目立たなくしたい場合では、適した治療法が異なります。
炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザー治療は、シミやほくろ、シワなどの肌トラブルを効果的に解消でき、肌への刺激が少ないため安全性も高いとされています。
炭酸ガスレーザーは、水分に反応して熱を発生させられるのが特性です。治療時に肌に照射されると、レーザーのエネルギーが肌の細胞内の水分に吸収され、一瞬で高温を生じて治療効果を発揮します。この過程で周囲の血管も固まるため、治療中にほとんど出血が起こりません。また、この熱が肌の表面に限定されるため、深部の組織にはダメージを与えず、従来の外科的治療と比べて回復が早いのが特徴です。
電気メス
電気の熱を利用してほくろを取り除く方法です。この方法は、5ミリメートル以下のほくろに対して行われ、特にレーザーでは取りにくい盛り上がったほくろに適しています。
電気メスでのほくろ切除は、ほくろに向かって逆ピラミッドの形にメスを入れ、その根元からくり抜いて取り除く方法です。これにより、レーザーよりも再発の可能性が低いとされています。
施術後、取り除いた部分に赤みやくぼみが生じることがありますが、皮膚が再生するにつれて元に戻り、傷跡も時間とともに薄くなります。ただし、ほくろの根が深い場合があるため、しばらくの間、経過観察が必要です。
切開法
切開法は、大きなほくろを除去するための方法です。ほくろの周辺の皮膚を切り取り、ほくろを根元から取り除き、手術後は切った部分を縫合して閉じます。この方法は、ほくろの根が深い場合でもしっかりと取り除けるため、再発の可能性が低いとされています。
ほくろ除去の注意点
ほくろ除去を成功させるためには、いくつかの重要な注意点を押さえる必要があります。ここでは、その中でも特に大切な2つのポイントについて解説します。
自分でほくろを取ろうとしない
ほくろは皮膚の奥深くに根を張っているため、見た目だけを取り除くと表面だけが取れてしまい、再発することがあります。また、自分でほくろを取るときに針やナイフなどを使用すると、出血や感染のリスクがあります。感染が起こると、皮膚が壊死し、感覚を失うことや体調不良を引き起こすかもしれません。
ほくろ除去クリームやお灸を使う方法もありますが、これらは皮膚に火傷のようなダメージを与え、炎症や火傷の跡が残る可能性が高くなります。これらの方法では完全にほくろを取り除けず、むしろ皮膚に悪影響を及ぼすことがほとんどです。
施術後のアフターケアを入念にする
ほくろ除去の施術後は、しっかりとアフターケアをおこなうことが非常に重要です。施術後には保護用のテープを貼りますが、これは10日間貼り続けてください。テープが剥がれてしまった場合は、新しいテープに張り替えて、常に施術箇所を清潔に保つように心がけましょう。
施術後の皮膚はとてもデリケートな状態になっています。そのため、日焼け対策も忘れずに行うことが必要です。かさぶたが取れた後も、施術箇所に日焼け止めクリームを塗ることで、日焼けから保護しましょう。
ほくろ除去を検討している場合は、まずは医師に相談しましょう
ほくろを自分で取ろうとすると、傷跡が残ったり、やけどのリスクがあったり、完全に除去できずに再発する可能性があります。ほくろが病気の可能性もあるため、安全とは言えません。
ほくろが気になる場合は、専門の医師に診てもらいましょう。医療機関でのほくろ除去には、手術やレーザー治療などさまざまな方法があります。一人一人のほくろの状態を診察し、最適な治療法を提案しています。
通院が難しい場合はオンライン診療もおすすめ
ほくろが気になって相談したい場合でも、通院が難しい場合もあります。そんな場合には、オンライン診療を活用するのが良いかもしれません。
オンライン診療とは
オンライン診療は、インターネットを使って自宅などから医師の診察を受けられるサービスです。スマートフォンやパソコンを使って、ビデオ通話を通じて医師と直接話しながら診察を受けられます。このサービスは、診察の予約から問診、診断、薬の処方まで、すべてオンラインで完結します。
SOKUYAKUとは
「SOKUYAKU」は、オンライン診療をさらに便利にするサービスになります。予約からお薬の受け取りまで、一連のプロセスをアプリを使って簡単に行え、専門スタッフのサポートを受けることも可能です。
また、自分のお気に入りのクリニックや薬局を登録する機能もあり、デジタルのお薬手帳としても利用できます。全国どこでも当日または翌日に薬を受け取れるため、急ぐ方にとっても便利なサービスです。
まとめ
ほくろの除去手術は、皮膚科と美容外科のどちらでも受けられます。それぞれの診療科によって少し特徴が異なります。たとえば、皮膚科でのほくろ除去手術は、場合によっては保険が適用されるかもしれません。一方で、美容外科では見た目の仕上がりに特に配慮してくれるため、きれいに治療したいと考える方には向いています。
この記事を読んで、どの診療科が自分の希望に合っているかをよく考え、自分にとって一番安心できる治療法を選びましょう。
医師
山下 真理子
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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