チアトンカプセル(チキジウム臭化物)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月19日
2009年にはチアトンカプセルの主成分であるチキジウム臭化物を配合した市販薬も販売されており、薬局、ドラッグストアほかインターネットを通じたネット販売でも入手することができます。
チアトンカプセルは副作用も少なく安全性の高い医薬品ですが、緑内障や前立腺肥大症などを基礎疾患を有する方は持病の症状が悪化する可能性もあり注意が必要です。
今回は、チアトンカプセルを安全に飲むための注意点も含めて、お薬の成分や効果、副作用について解説していきます。
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)とは
チアトンカプセルは1984年にマイランEPD合弁会社より発売された医療用医薬品です。
発売から40年近く経った現在では、有効成分のチキジウム臭化物を配合したジェネリック医薬品も他の製薬会社から販売されています。
チアトンカプセルは有効成分であるチキジウム臭化物の量が5mgまたは10mg配合されている2つの規格が存在しています。
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)の成分について
チアトンカプセルの有効成分はチキジウム臭化物です。チキジウム臭化物は、アセチルコリンと呼ばれる物質が胃腸など消化器系臓器を刺激することを阻害し、胃腸の痙攣を鎮めます。このようなアセチルコリンの働きを抑える薬のことを抗コリン薬と呼びます。
アセチルコリンは胃腸など消化器系臓器だけでなく、舌、眼、脳、前立腺など身体中の様々な臓器にも作用し身体機能を調節しており、従来の抗コリン薬は他の臓器にも作用し、瞳孔の拡大、口の渇き、前立腺肥大による排尿障害など本来の期待する効果に加え望ましくない作用(副作用)も多いことが問題でした。
そこで、従来の抗コリン薬で問題となっていた副作用(瞳孔の拡大、口の渇きなど)の頻度を低減するため、チアトンカプセルは消化器系臓器だけにお薬が作用するように設計されています。
ただし、チアトンカプセルの副作用として頻度は高くありませんが口の渇きや便秘などが報告されています。また、緑内障な前立腺肥大用など抗コリン作用が基礎疾患を悪化させる患者への投与は禁忌となっています。
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)はどんな症状に効果がある?
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)の主な効果としては消化器系臓器の痙攣ならびに運動機能亢進です。
適応となる疾患としては下記の通りです。
・胃炎、
・胃・十二指腸潰瘍
・腸炎、過敏性腸症候群
・胆のう
・胆管炎
・尿路結石症
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)の用法・用量は?
チキジウム臭化物として、通常成人には1回5〜10mgを1日3回経口投与します。
なお、年齢や症状によって適宜増減できます。
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)の副作用
従来の抗コリン薬と比較して、チアトンカプセルの副作用が現れる頻度は低いですが、以下の副作用が報告されています。
・口渇(0.11%)、便秘(0.14%)
・発疹、羞明、頭痛、頭重感、耳鳴り、下痢、悪心・嘔吐、胸やけ、胃不快感、食欲不振、腹部膨満感、心悸亢進、排尿障害、頻尿(0.1%未満)
また、重篤な副作用として次のものが挙げられます。
・ショック、アナフィラキシー
・肝機能障害、黄胆
服用を開始後、上記の症状にかかわらず体調の不調を感じた際はすぐに医師または薬剤師に相談しましょう。
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)に関する注意点
チアトンカプセル(チキジウム臭化物カプセル)を使用する際には、まずは服用する方の基礎疾患について留意しましょう。
チアトンカプセルの抗コリン作用は胃腸など消化器系臓器にのみ作用するように設計されていますが、眼や前立腺など他の臓器に対しても多少の抗コリン作用があります。
そのため、チアトンカプセルの処方に関しては、下記の4つの病気がある患者(緑内障、前立腺肥大に伴う排尿障害、重篤な心疾患、麻痺性イレウス)へは投与しないと定められています。
・閉塞隅角緑内障のある患者
緑内障はいくつかのタイプに分類され、その中に閉塞隅角緑内障と呼ばれる緑内障のタイプがあります。
この閉塞隅角緑内障の方では、抗コリン作用により眼圧が上昇し、緑内障の症状を悪化させることがあるため服用できません。
・前立腺肥大による排尿障害のある患者
前立腺肥大による排尿障害を悪化させる可能性があります。
アセチルコリンが膀胱を刺激すると尿道の周りの筋肉が緩み尿道が拡がります。
この時、アセチルコリンの働きによって膀胱は尿道の拡大させ同時に膀胱が縮むことで排尿が促されます。
抗コリン作用のあるチアトンカプセルはこのアセチルコリンによる排尿作用を抑制してしまいます。
そのため、前立腺肥大に伴い尿道が圧迫されている方では、排尿障害が悪化する可能性があります。
前立腺肥大による排尿障害のある患者へチアトンカプセルを投与しないこととなっています。
・重篤な心疾患のある患者
アセチルコリンが心臓を刺激すると心臓の収縮する力や心拍数を低下させます。
重篤な心疾患を抱える患者では、心臓の負担を軽減するために心臓の拍動の強さや回数を抑えてあげる必要があります。
しかしチアトンカプセルの抗コリン作用により、心臓がより強く、多く働くことになり、心臓への負担が大きくなり症状が悪化する可能性があります。
そのため、重篤な心疾患のある患者さんにおいてもチアトンカプセルは服用できないことになっていいます。
・麻痺性イレウス(腸閉塞)の患者
麻痺性イレウスとは、様々な原因により腸管の動きが鈍くなり、腸管内にある食べ物、内容物やガスの流れが止まってしまった状態を指します。
チアトンカプセルは鎮痙薬と呼ばれる消化器系臓器の異常な運動を抑制する作用があることは解説してきました。
麻痺性イレウスの患者さんがチアトンカプセルを服用すると、腸運動はさらに抑制され症状がより悪化する恐れがあります。
そのため、麻痺性イレウスの患者にはチアトンカプセルの投与はしないとされています。
この他、上記4つの基礎疾患をお持ちの方以外では、本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある患者においてもチアトンカプセルを使用することはできません。
また、チアトンカプセルを服用中の注意事項としては、羞明(しゅうめい、異常なまぶしさを感じること)を起こす可能性があります。運転などの機械の操作には十分に注意してください。
チアトンカプセル(チキジウム臭化物)と同じ成分の市販薬はある?
冒頭でご紹介したように、チアトンカプセルの有効成分チキジウム臭化物は市販薬として購入することが可能です。市販薬としては大正製薬から大正胃腸薬Pという商品名で販売されています。
・大正胃腸薬P(大正製薬)
2009年にスイッチOTCとしてチキジウム臭化物を主成分とする「ストパン」が大正製薬から発売されました。2021年現在、「ストパン」の製造は終了してしましましたが、「大正胃腸薬P」という別の商品が販売されています。
「大正胃腸薬P」は第2類医薬品に分類されているため、お近くの薬局やドラックストアだけでなく、インターネットを通じたネット販売によっても入手することで可能です。
胃痛や腹痛、さしこみに効能があり、このような痛みがある時に服用します。1カプセルにはチキジウム臭化物として5mgが含まれており、1カプセルあたり10mg含むものは販売されておらず、医療用医薬品より用量が少なく設定されています。
症状の改善が見られない・体の不調を感じた場合は医療機関へ受診しましょう。
チキジウム臭化物はあくまで消化管の痙攣を抑えることで胃痛や腹痛を抑えるお薬です。
繰り返すお腹の痛みは、別の重篤な病気のサインかもしれませんので、市販薬を飲んでも症状が改善しない場合や体調が変化しない場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
お腹や胃の痛みは誰しもが一度は経験する症状ですが、様々な病気のサインが潜んでいることがあります。
我慢できる程度の痛みだとしても、日々の生活の中で繰り返すようであれば一度医療機関を受診してしっかりと検査することが望ましいです。
参考資料
チアトンカプセル5mg/ チアトンカプセル10mg
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1231013M1040_1_02/
鎮痙薬の薬理学的研究(第1報)Diarylmethylene-5-methyl-transquinolizidinium Bromide類の鎮痙作用への選択性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi1947/101/2/101_2_174/_pdf/-char/ja
ストパン| 製品詳細
https://www.catalog-taisho.com/02836.php
大正胃腸薬P| 製品詳細
https://www.catalog-taisho.com/01252.php
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Webディレクター / 薬剤師
今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
「メディアから医療を支える」をミッションに活動している
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