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新型コロナブースター接種(3回目接種)は受けた方がいいのか

監修医師 木村眞樹子
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

新型コロナブースター接種(3回目接種)は受けた方がいいのかのイメージ
新型コロナウイルス新規感染者数が全国で236人、東京都では19人と激減しました(2021年10月24日現在)。
しかし、2021年10月15日に政府が打ち出した新型コロナウイルス対策に基づき、厚生労働省が第6波で必要な受け入れ患者数を推計したところ、全国で最大約3万4000人になることがわかりました。
それを踏まえて、ブースター接種(3回目接種)が本当に必要であるのか、ご自身で考えてみてください。

ブースター接種とは

「ブースター接種」とは、新型コロナウイルスワクチンを接種し終えた人が免疫を高めるため、
3回目のワクチン接種をすることをいいます。

WHO「先進国のブースターより途上国へ」

ブースター接種については、世界的にも様々な見解があるのが現状です。

 

FDA(アメリカ食品医薬品局)は2021年9月22日、ファイザー社/ビオンテック社製COVID-19ワクチンのブースター接種について、対象が65歳以上や重症化リスクの高い人など※条件付きで緊急使用許可を承認しました。
※同年9月30日更新のCDC(アメリカ疾病予防管理センター)からの推奨事項では、ファイザー社/ビオンテック社製COVID-19ワクチンのブースター接種の対象は65歳以上、18歳以上の介護施設の居住者、基礎疾患のある者、リスクの高い環境で働く者、リスクの高い環境に住む者とされています。

 

一方、WHO(世界保健機関)は「ブースター接種で抗体量が増えても感染や発症などの予防効果は十分に証明されていない」と注意を促し、また、先進国によるワクチンの囲い込みをけん制し、未だワクチンの行き渡らない発展途上国へのワクチンを配分するよう唱えています。

経口COVID-19治療薬早ければ年内中

また、もしCOVID-19に罹っても、薬ができるからいいじゃないかという声があるのも事実です。

 

塩野義製薬は口から飲む錠剤タイプのCOVID-19治療薬の臨床試験が2021年9月28日から最終段階に入ったことを発表しました。

主に無症状もしくは軽症者向けの薬で、1日1回、5日間服用します。

 

今回の臨床試験では、無症状または軽症のCOVID-19患者およそ2100人を対象に、薬を服用した人とそうでない人を比較するとのことです。

 

承認申請の見通しは2021年10月25日現在、明らかになっていませんが、塩野義製薬は少なくとも年度内に100万人分は用意したいとの意向を示しています。

ブースター接種のメリット 

では、ブースター接種におけるメリットとデメリットを比較・検討したいと思います。
はじめにブースター接種におけるメリットからみていきましょう。

ブレイクスルー感染を防げる可能性

デルタ株が流行していたイスラエルより、ワクチン接種完了者に起こるブレークスルー感染を、追加接種が大きく抑えるという報告がありました。

 

5か月以上前に2回接種を完了した60歳以上を対象に、1回目、2回目と同じファイザー社製ワクチンの3回目の接種を始めました。3回目接種後には、2回接種のみの人と比べ感染が約91%減少し、重症化が約95%減少するという結果が出ました。

 

<ブレイクスルー感染とは>
COVID-19ワクチン接種を終えたあと、2週間以上して感染が確認されることを「ブレイクスルー感染」といいます。
ブレイクスルー感染が起こる主な理由は、下記の2つが挙げられます。
①時間の経過とともに抗体が減少(次の項目で解説)
②変異株の出現

2回接種後、時間経過とともに抗体が減少

ワクチンの効果は永遠に続くわけではなく、接種から時間の経過とともに抗体量が減り、ワクチンの効果が落ちてきます。しかし、体に抗体が残っている状態で追加接種すると、免疫効果が再び高まります。これを「ブースター効果」といいます。

藤田医科大学は、ファイザー社/ビオンテック社製COVID-19ワクチンを接種した血液中抗体価の調査結果として、2回目のワクチン接種後に新型コロナウイルスに対する抗体が大幅に上昇したものの、ワクチン1回目接種約3か月後の抗体価の平均値が、2回目接種後に比べて約1/4に激減したことを明らかにしました。

 

また、抗体価は年代・性別を問わず全ての被検者で減少が見られ、日本人においてもワクチン2回接種から時間の経過とともに、その効果は低下を示唆するものと報告しました。

3回接種により中和抗体増加を確認

ファイザー社は、ブースター接種によりデルタ変異株に対する中和抗体価が大幅に増強される研究データを2021年7月28日に発表しました。症例数は少ないながらも(18~55歳:11例、65~85歳:12例)、3回目のブースター接種を受けることで、デルタ株への中和抗体価が2回接種と比べ、18~55歳では5倍以上、65~85歳では11倍以上も高まることを示しました。

 

2回接種から8ヵ月後には抗体レベルがピークアウトする(それ以上上がる見込みがない)ため、2回目接種から6〜12ヵ月以内に3回目のブースター接種が必要になる可能性が高いとしています。

 

今回の研究では、2回目接種から6ヵ月以上経過した後、ワクチン効果が減弱し始めているときに3回目を接種することで、中和抗体価を最大100倍にまで高める可能性が推定されたとのことです。

ブースター接種のデメリット

一方で、ブースター接種におけるデメリットをみていきましょう。

再び副反応の心配

薬局・ドラッグストアからは解熱剤のアセトアミノフェン製剤が店頭からなくなり、ワクチンを接種する人すべてが多かれ少なかれ、副反応の心配をしていた日々がまたやってきます。

 

ファイザー社が提出した資料におけるブースター接種の副反応は1回目や2回目と同じ水準とし、安全性への懸念は認められなかったと2021年10月21日に発表しています。

 

●ブースター接種における副反応には、接種部位反応(痛み、発赤、腫れ)および全身性反応(発熱、倦怠感、頭痛、悪寒、吐き気、下痢、筋肉痛、関節痛)の報告がありました。
●ブースター接種から1ヵ月後において報告された副反応のうち、最も多かったのはリンパ節腫脹(5.2%)で最初の2回(0.4%)よりも多くの訴えがありました。

 

その他複数で報告されたのは、悪心、注射部位の痛み、痛み、腰痛、首の痛み、頭痛、 不安感および接触性皮膚炎でした。

地方自治体の人員の確保

COVID-19ワクチンの1回目の予約をとる際も大変だったことは記憶に新しいと思います。
また、接種券・予診票の送付など、少ない人数で懸命に行なってくれた地方自治体の皆さんにまた大変な思いをさせること、更にワクチンの準備、予診・注射に参加する医療従事者の確保も必要です。

ブースター接種実現に加速化へ

日本でも、2021年9月17日の予防接種・ワクチン分科会においてブースター接種を実施する方針が固まりました。ブレイクスルー感染やデルタ株など変異株の出現によるため、追加接種が必要と判断されたのです。

 

しかしながら、ブースター接種に使用するワクチンは、
・1回目、2回目と同じ種類のワクチン
・変異株に対応するため改良されたワクチン
・メーカーの異なるワクチンを組み合わせて打つ異種混合接種

のどれにするのか、また、ワクチンの間隔は「2回目接種終了8ヵ月以上経過してから」と厚生労働省が提案しましたが、専門家からその具体的根拠を問われ、先送りされたという問題も残っています。

厚生労働省がブースター用に追加供給契約

厚生労働省は2021年10月8日、ブースター接種用のCOVID-19ワクチンを1億2000万回分の追加供給を2022年1月から受ける契約を、アメリカ・ファイザー社と結んだと発表しました。

 

また、これまでにも2022年用のワクチンとして、米モデルナ社から5000万回分、国内では未承認の米ノババックス社から1億5000万回分の供給を受ける契約をしています。

まずは希望者全員の2回接種を終了してから

日本国内のワクチン接種状況は、全人口※を占める割合より1回目終了が76.1%、2回目終了が68.6%になります。(2021年10月22日公表)

 

一方、優先的に接種した65歳以上の高齢者のワクチン接種状況は、1回目終了が91.33%、2回目終了が90.31%と高い数値となっています。

(2021年10月24日公表)
(※職域接種分、接種対象年齢に満たない子どもも含む)

2021年11月中にCOVID-19ワクチン接種希望者の接種が終了するといわれています。

まとめ

今回はブースター接種について詳しく解説しました。あくまでも、COVID-19ワクチンは任意接種であり、本人が納得して受けるものです。

 

1回目、2回目でひどい副反応に遭った人は医師に相談した上で、自身でよく考えてブースター接種を受けるか考えて頂きたいと思います。

参考資料(いずれも参照 2021-10-25)
【独自】コロナ「第6波」、推計3・4万人が入院…17都府県で5000床不足: 医療・健康 :ニュース|読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211017-OYT1T50047/
ファイザー社コロナワクチン、3回接種で「デルタ株」抗体が大幅増強/ファイザー|CareNet.com
https://www.carenet.com/news/general/carenet/52728
コロナ “経口治療薬”塩野義が最終臨床試験|日テレNEWS24
https://www.news24.jp/articles/2021/09/29/07947406.html#cxrecs_s
ファイザー製新型コロナワクチン、接種約3か月で抗体価が低下 藤田医科大が確認|TECH+ Powered by マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/20210826-1956618/
ファイザー製ワクチン、3回目接種後の副反応は?|CareNet.com
https://www.carenet.com/news/general/carenet/53055
3回目接種実施決定「間隔8カ月以上」 医師らに年内にも|日本経済新聞(2021-9-17)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA178LM0X10C21A9000000/

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監修医師 木村眞樹子
現役医師、産業医 10年以上大学病院で臨床に従事、産業医として企業の健康経営にも携わる 2019年より医療ライターとしても活動している
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