エバステル錠(エバスチン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月28日
今回はエバスチンを成分として含む医療用医薬品であるエバステル錠について、効能・効果、用法および用量、使用上の注意について解説します。
エバステル錠(エバスチン)とは
エバステル錠は蕁麻疹、湿疹・皮膚炎およびアレルギー性鼻炎など様々なアレルギー症状に使用される医療用医薬品です。
エバステル錠は第二世代の抗ヒスタミン薬に分類され、第一世代の抗ヒスタミン薬と比較し眠気の副作用が少なく、お仕事中の方や受験生も使用しやすいお薬です。
エバステル錠には現在通常の内服薬に加え、OD錠が用意されています。
OD錠は口腔内崩壊錠の略語で、口の中に入れるとすぐに唾液で溶ける製剤を指します。服用する際に水やかみ砕く必要がないのが特徴です。
エバステル錠(エバスチン)の成分について
エバステル錠には抗アレルギー作用を有する持続性選択H1受容体拮抗薬であるエバスチンが含有されています。
まず、アレルギー症状について簡単に説明します。
体内に食物、花粉、ハウスダストなどが侵入すると、体内では様々な化学物質が合成・放出されます。その1つがヒスタミンと呼ばれる生体内物質です。
放出されたヒスタミンは体内にあるヒスタミン受容体と結合し、血管透過性亢進や血管拡張などの作用を示します。この体内における一連の反応がかゆみや鼻炎などのアレルギー症状を引き起こします。
エバステル錠の有効成分であるエバスチンは主に肝臓で活性代謝物であるカレバスチン*に変換された後、ヒスタミンがヒスタミン受容体に結合するのを妨げることで抗アレルギー効果を示します。
*本解説では説明の都合上、エバスチンとカレバスチンを同一のものとして扱っています。
エバステル錠(エバスチン)はどんな症状に効果がある?
エバステル錠の効能・効果は次の通りです。
・蕁麻疹
・湿疹、皮膚炎、痒疹、皮膚瘙痒症
・アレルギー性鼻炎
これらの症状のうちアレルギーが原因となる疾患に対して使用されます。
エバステル錠(エバスチン)の用法・用量は?
エバステル錠の用法・用量は次の通りです。
通常、成人には、エバスチンとして1回5~10 mg を1日1回経口投与
高齢者では、一般的に代謝などの生理機能が低下しているため、エバスチンとして1日1回5 mgから投与するなど注意することとしています。
また、小児等を対象にした臨床試験は実施されていないため、小児に対しては本薬剤を使用
しないことが望ましいです。
エバステル錠(エバスチン)の副作用
エバステル錠の副作用は次の通りです。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
重大な副作用
1、ショック、アナフィラキシー
血圧低下、呼吸困難、咽頭浮腫等の症状が現れた場合には、すぐに投与を中止し適切な処置を行ってください。
2、肝機能障害、黄疸
肝機能検査値異常〔AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇等〕、黄疸が現れることがあります。
その他の副作用
過敏症:発疹、浮腫、蕁麻疹
循環器:動悸、血圧上昇
精神神経系:眠気、倦怠感、頭痛、めまい、しびれ感、不眠
消化器:口渇、胃部不快感、鼻・口腔内乾燥、下痢、舌炎、嘔気・嘔吐、腹痛
泌尿器:排尿障害、頻尿
その他:胸部圧迫感、ほてり、好酸球増加、体重増加、月経異常、脱毛、味覚異常、BUNの上昇、尿糖
エバステル錠(エバスチン)に関する注意点
基本的な注意事項
1、眠気を催すことがあるため、エバステル錠服用中の患者は自動車の運転など危険を伴う機械操作は控えることが望ましいです。
解説の前半にエバステル錠は眠気が少ないと述べましたが、あくまで第一世代の抗ヒスタミン薬と比較して眠くなりにくいという意味です。
眠くなる成分は含まれていますので、自動車の運転などが必要な方は服用を控えてください。
2、季節性の症状に対してエバステル錠を使用する場合には、好発時期を考え、その直前から服用を開始し、好発時期の終了まで服用を継続することが望ましいです。
特定の背景を有する患者に関する注意
1、長期ステロイド療法を受けている患者
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は、十分な管理下で徐々に行うこと。
2、肝機能障害又はその既往歴のある患者
肝機能異常があらわれるおそれがある。
3、妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
4、 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
5、小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
6、高齢者
患者の状態を十分に観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下している。
エバステル錠(エバスチン)と同じ成分の市販薬はある?
医療用医薬品であるエバステル錠と同様の有効成分(エバスチン)を含む市販薬は第二類医薬品として現在販売されています。
同じエバスチンを含む医薬品でも医療用医薬品と市販薬では効能・効果、用法・用量などが異なるため、ここからはエバスチンを含有する市販薬であるエバステルALについて解説します。
エバステルALの特徴
1、アレルギー専用鼻炎薬
鼻みず、鼻づまり、くしゃみを主な特徴とするアレルギー性の鼻炎症状に効果をあらわします。
2、1日1回1錠の服用で効く
就寝前に服用すると翌日の夜まで効果が持続します。飲み忘れた場合は、服用間隔を24時間あければ就寝前でなくても服用可能です。
3、眠くなりにくく、口のかわきが起こりにくい
眠くなりにくく、口のかわきが起こりにくいという特徴を持つ抗ヒスタミン薬のエバスチンを配合しています。
これらの特徴を有するエバステルALは花粉やハウスダストなどによって引き起こされるアレルギー性の鼻炎に効果を発揮します。
個々の生活習慣や生活環境は一様でないことから、アレルギー症状は症状の重さやタイミングを予測しづらいのではないでしょうか。
エバステルALは、このような予測しづらいアレルギー症状に対応できることに加え、お薬を常に持ち歩く必要もありません。
*前半で説明したエバステル錠と同様に、季節性のアレルギー性鼻炎によって起こる症状に使用する場合は、症状の軽い早めの時期から服用することが効果的です。
エバステルALの効能・効果
花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず、鼻づまり、くしゃみ
エバステルALの用法・用量
エバステルAL 1錠には有効成分であるエバスチンが5mg配合されています。
下記の量を就寝前に水または温湯で服用してください。
成人(15歳以上)は1回1錠、1日1回服用してください。
なお、15歳未満の小児は服用しないこと
注意事項
してはいけないこと
1、次の人は服用しないでください
本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人
15歳未満の小児
2、本剤を使用している間は、次のいずれの医薬品も服用しないでください
他のアレルギー用薬(皮膚疾患用薬、鼻炎用内服薬を含む)、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(かぜ薬、鎮咳去痰薬、乗り物酔い薬、催眠鎮静薬等)
3、服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください(眠くなることがあります)
4、授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合には授乳を避けてください
5、服用前後は飲酒をしないでください
相談すること
1、次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
医師の治療を受けている人
妊婦又は妊娠していると思われる人
高齢者
薬などによってアレルギーを起こしたことがある人
肝障害、気管支喘息、アトピー性皮膚炎の診断を受けた人
アレルギーによる症状か他の原因による症状かはっきりしない人
2、服用後エバステル錠と同様の副作用が現れる可能性があります。
副作用とみられる症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
まとめ
今回は様々なアレルギー症状に使用できる医療用医薬品エバステル錠に加え、同様の成分を含有しアレルギー性鼻炎に使用できる市販薬エバスチンALについて解説しました。
ハウスダストや花粉症などアレルギー性の鼻炎に悩まされている方は多いことでしょう。毎日続く鼻炎はそれ自体が肉体的・精神的ストレスとなります。
つらい症状を我慢するのではなくお薬を使用することも選択肢の1つになるのではないでしょうか。お薬の使い方をよく理解し、正しくお使いください。
参考文献
日本薬局方 エバスチン錠 日本薬局方 エバスチン口腔内崩壊錠
エバステルAL|コーワ健康情報サイト|KOWA
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今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
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