ナウゼリン(ドンペリドン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月28日
もともと、主薬(ドンペリドン)は1974年にベルギーの製薬会社で合成され発見されたもので、歴史的には昔からある医薬品です。
ここでは、ナウゼリン(ドンペリドン)について解説していきます。
ナウゼリン(ドンペリドン)について
ナウゼリン(ドンペリドン)は比較的昔からある制吐剤で、小児から高齢者まで幅広い年齢層で使用される医薬品になります。
剤型も錠剤、OD錠、細粒、ドライシロップ、坐薬と多様にあり、患者さんの状態で使い分けることができます。
規格は錠剤・OD錠は5mgと10mgの2規格、細粒・ドライシロップは1%の1規格、坐薬は10mg、30mg、60mgの3規格があります。
小児領域では坐剤として使用されるケースが多い
ナウゼリン(ドンペリドン)の坐薬は、吐き気・嘔吐が強い方、内服が厳しい小児によく使用されます。坐薬だと、1/2個、2/3個など体重に応じて切って調整することができます。使用前にハサミでカットして挿入し、カットの位置は下記の画像を参考にしてください。
また、ナウゼリン坐剤(ドンペリドン)は常温保存できる医薬品なので、高温多湿を避けた室温で保管しても問題ありません。
冷蔵庫で保管した際に使用する場合は、軽く手で温めると割れることなく綺麗にカットできます。また、冷たいまま直接挿れると刺激がつよく挿入後に便意をもよおしたりすることがあるので注意しましょう。
ナウゼリン(ドンペリドン)はどんな症状に効果がある?
悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気などの消化器疾患の症状改善や、薬剤投与時の副作用の予防に使用されることの多い医薬品です。
吐き気・嘔吐はどのようにして起きるのか、ナウゼリン(ドンペリドン)はどのように作用して吐き気・嘔吐を止めるのか解説していきます。
ナウゼリン(ドンペリドン)の作用機序
ナウゼリン(ドンペリドン)は化学受容器引金帯(CTZ)にあるドパミン受容体に結合することで、ドパミンによる刺激を阻害し制吐作用を示します。
また、上部消化管のドパミン受容体への結合を阻害する作用も持っているため消化管運動を促進させて、飲食物の胃への滞留時間を短縮したり、消化を早める働きも持っています。
ナウゼリン(ドンペリドン)の適応症
成人と小児では適応がそれぞれ異なります。
成人:慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群、抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時
小児:周期性嘔吐症、上気道感染症、抗悪性腫瘍剤投与時
ナウゼリン(ドンペリドン)の用法・用量は?
ナウゼリン錠(ドンペリドン)は小児にも使用できる医薬品になりますが、成人と小児で用法用量が異なります。添付文書上は下記の通りに記載されています。
成人:通常、ドンペリドンとして1回10mgを1日3回食前に経口投与する。ただし、レボドパ製剤投与時にはドンペリドンとして1回5~10mgを1日3回食前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
小児:通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。
小児への投与は体重換算で投与量を決定しているのでので、受診の際は体重の申告を忘れないようにしましょう。
坐薬の用法用量も記載しておくので、ご参考にしてください。
<ナウゼリン坐剤60>
成人:通常、ドンペリドンとして1回60mgを1日2回直腸内に投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
<ナウゼリン坐剤10、ナウゼリン坐剤30>
小児:3才未満の場合、通常ドンペリドンとして1回10mgを1日2~3回直腸内に投与する。3才以上の場合、通常ドンペリドンとして1回30mgを1日2~3回直腸内に投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
ナウゼリン(ドンペリドン)の副作用
重大な副作用として、アナフィラキシーやショックなどの過敏症、震戦などの症状が出現する錐体外路障害、意識障害・痙攣、肝機能障害・黄疸などの症状が挙げられます。症例頻度は少ないですが、命に関わることもあるので注意が必要です。
また、0.1〜5%未満の方に下痢といった消化器症状がみられることがあります。稀に、女性化乳房、プロラクチン上昇、乳汁分泌といったホルモンバランスの異常もみられます。
神経系に作用する薬なので、眠気やふらつき、めまいといった症状も出現することがあるので、服用中は車の運転や危険作業は避けてください。
ナウゼリン(ドンペリドン)に関する注意点
ナウゼリン(ドンペリドン)を使用することが禁忌とされている方もいます。
ドンペリドンに対して過敏症を持っている方、妊婦または妊娠の可能性がある女性、消化管裂孔、機械的イレウス、消化管出血のある患者さん(消化管運動亢進により症状が悪化する可能性があるため)、プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者さん(抗ドパミン作用によりプロラクチンの分泌が促進されるため)は添付文書上でも禁忌の記載があります。
特に、妊娠の可能性がある女性も前もって医師に伝えてください。
肝機能障害、腎機能障害をもっている患者さんは副作用を増強してしまう可能性があるため、使用する際は注意が必要です。
他にも併用注意の医薬品も複数あるので、現在飲んでいる薬を医者や薬剤師が把握するためにも受診の際はお薬手帳の持参をお勧めします。
また、副作用の項目でも記載しましたが、眠気やふらつき、めまいといった症状が出現することもあるため運転や危険作業をされる方は十分注意が必要です。
ナウゼリン(ドンペリドン)と同じ成分の市販薬はある?
ナウゼリン(ドンペリドン)の市販薬は現在のところ販売はされていません。しかし、代わりになるような吐き気止めや予防薬はいくつか販売されているので、症状別でご紹介していきます。
胃もたれ・胸焼け・ストレスなどによる吐き気
この症状には胃酸の分泌を抑える「ガスター10(ファモチジン)」、胃粘膜を保護する成分の「スクラルファート」、消化を助ける酵素の「ウルソデオキシコール」といった医薬品を選ぶといいです。
また、不安症で喉のつっかえがあるような吐き気がある方には「半夏厚朴湯」という漢方をお勧めします。
乗り物酔い
酔い止めにはよく抗ヒスタミン薬が主成分として入っていることがあります。
有名な乗り物酔いの市販薬として、トラベルミン大人用(ジフェンヒドラミン、ジプロフィリン)、トラベルミンチュロップ(d-クロルフェニラミン、スコポラミン)、アネロンニスキャップ(マレイン散フェニラミン、アミノ安息香酸エチル、スコポラミン、無水カフェイン、ピリドキシン)があります。
トラベルミン大人用とアネロンは15歳未満の小児は使用できませんのでご注意ください。また、抗ヒスタミン薬が入っていることで眠気が強く出ることがあります。運転や危険作業をされる場合はなるべく使用を避けてください。
めまいや、片頭痛、食あたり、胃腸風による吐き気に関しては市販薬では治せない場合が多いので、早めの医療機関受診をお勧めします。
参考文献
ナウゼリン錠・OD錠・細粒・ドライシロップ インタビューフォーム|協和キリン株式会社
ナウゼリン坐剤 インタビューフォーム|協和キリン株式会社
子供への坐薬の使い方<倉敷成人病センター>
ナウゼリン(ドンペリドン)を購入するにはどうしたらいい?
ナウゼリンは「医療用医薬品」に指定されているため、処方箋なしでドラッグストアなどで購入することはできません。
ナウゼリンを購入するには、医師の診察を受けて処方箋を発行してもらう必要があります。
しかし、薬をもらうためだけに病院に行くのは面倒と感じる方もいるのではないでしょうか。
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