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悩める肥満症状に効果的な漢方薬は?防風通聖散の成分や効果について解説。満量処方って何?

監修医薬品登録販売者 村上菜美子
更新日:2024年02月29日

更新日:2024年02月29日

悩める肥満症状に効果的な漢方薬は?防風通聖散の成分や効果について解説。満量処方って何?のイメージ
防風通聖散は、肥満や肥満症傾向のある方向けの医薬品で、体内の余分な毒素を、「汗や便や尿」によって皮膚や消化器官、泌尿器官を経由して体外に排出する代表的な漢方製剤です。

暴飲暴食などで過剰に摂取した栄養が毒素となり、肥満症や便秘、血圧の上昇、代謝異常などの不調を引き起こすと考えられ作られた処方です。防風通聖散は18種類の生薬から構成される漢方薬(医薬品)です。

中国・「金」の時代に劉完素という人が著した『宣明論』「せんめいろん」という古い漢方の医学書に収載されている薬方です。体内の余分な毒素というのは、大まかに脂質等の代謝異常の事を指します。

防風通聖散の効能効果として、「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の諸症状。血圧が高さによる随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘」などがうたわれています。(ツムラ医療用漢方製剤添付文書抜粋による)

「痩せる漢方」というイメージがついているお薬ですが、漢方薬は「症状」に対して処方するものではなく、個人の「体質」に合わせて処方されるものです。防風通聖散も例外ではなく、このお薬が合う人と合わない人がいます。

防風通聖散とは

防風通聖散は、肥満や肥満症傾向のある方向けの医薬品で、体内の余分な毒素を、「汗や便や尿」によって皮膚や消化器官、泌尿器官を経由して体外に排出する代表的な漢方製剤です。

 

暴飲暴食などで過剰に摂取した栄養が毒素となり、肥満症や便秘、血圧の上昇、代謝異常などの不調を引き起こすと考えられ作られた処方です。防風通聖散は18種類の生薬から構成される漢方薬(医薬品)です。

 

中国・「金」の時代に劉完素という人が著した『宣明論』「せんめいろん」という古い漢方の医学書に収載されている薬方です。体内の余分な毒素というのは、大まかに脂質等の代謝異常の事を指します。

 

防風通聖散の効能効果として、「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の諸症状。血圧が高さによる随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘」などがうたわれています。(ツムラ医療用漢方製剤添付文書抜粋による)

 

「痩せる漢方」というイメージがついているお薬ですが、漢方薬は「症状」に対して処方するものではなく、個人の「体質」に合わせて処方されるものです。防風通聖散も例外ではなく、このお薬が合う人と合わない人がいます。

 

では、少し踏み込んで、防風通聖散がいわゆる「ぽっこりお腹」や「脂肪を燃焼!」などの代表的処方として広まったのはなぜかを解説していきましょう。

ダイエットの漢方薬は防風通聖散って本当?

前述の通り、肥満症や肥満傾向の方の便秘や高血圧、のぼせなどに適応がある他、「痩せる漢方」や「ダイエット」に有効というイメージがついている防風通聖散という漢方薬ですが、なぜそのように言われるのでしょう?

 

漢方の考え方では、水分代謝異常や脂質・脂肪の代謝異常で現れる不調を「水毒」(すいどく)「水湿」(すいしつ)「湿痰」(しったん)「痰濁」(たんだく)などの言葉で表します。

 

むくみや低気圧頭痛、二日酔い、むくみ、下痢など、体内の余分な水分による不調、いわゆる「水毒」「水湿」に対応する主な漢方製剤は「五苓散」や「キアガード」などが有名です。

 

では、「湿痰」(しったん)や「痰濁」(たんだく)とは具体的に何でしょう?かなり大まかですが、肥満症の原因は、うまく代謝できない脂肪や脂質などの事です。

 

血中では「コレステロール」や、いわゆる「中性脂肪」などと表現されるようなものとイメージしていただければと思います。

 

防風通聖散は、この「湿痰」(しったん)や「痰濁」(たんだく)に有効とされる漢方薬なので、肥満や脂肪の代謝に良いといわれるのでしょう。

漢方医学の考え方

体を構成する3大要素を「気」「血」「水」と表現することがありますが、漢方医学の「気・血・水(き・けつ・すい)」には伝統医学ならではのさまざまな概念が包括されています。

 

この「気血水」を極めて簡潔にまとめると、次のようになります。

「気」・・・体内のエネルギー全体の働きや動き、機能の全体を表します。

「血」・・・現代医学の「血液」などの栄養物質を含みますが、漢方医学では「血」と表し、意味も広いです。髪の毛、肌、粘膜の潤いを保つ働きや、精神状態を保つためのこの3つのバランスが取れないと体に不調を起こすと言われており、体を物質的に構成する成分というような広い働きのことを指します。

「水」・・・尿や汗、血液、消化液など、体内の物質としての意味を含むほか、その作用や機能なども指します。

このように、漢方医学では、この「気血水」という言葉をよく使い、人体が健康を保つためにはこの3つがバランスよく機能、循環している必要があるとされています。この「水の巡り」がポイントです。「気」も「血」も「水」も、滞りなくスムーズに体を巡る事がとても大切です。

 

これで体に必要なうるおい、栄養をバランスよく供給できます。ですが、何らかの原因で水の巡りが滞ると、体にとって有害な物質へと変化してしまいます。漢方の世界では「痰湿(たんしつ)」とよびます。痰湿の原因はさまざまです。

 

現代でもっとも多いのは、胃腸に負担の多い食生活が習慣化していることです。これに加えて運動不足などで摂取したカロリーに対して消化や消費が追い付いていない場合も含まれますね。

 

つまり、食べたり飲んだりしたものが便や尿、発汗などの生理機能でうまく消化・吸収・排泄できず、肌の吹き出物として排出されようとしていたり、高血圧、中性脂肪、内臓脂肪、むくみ、便秘などの症状として出てきてしまうのです。

 

そしてこの状態が慢性化、重症化すると「粘って濁ったのも」が蓄積されてしまいます。この「粘って濁ったもの」ものが蓄積されている状態。これを「痰濁(たんだく)」とも言います。

川は流れている状態ではよどんだり濁ったりしませんが、何らかの原因で流れがとまってしまうと、やがてよどんで「沼」となってしまい、濁っていきます。

 

体の中にも同じことが起こると考えるのです。うまく排泄できなかった体内のゴミ(痰濁)が蓄積され濁っていくと、中性脂肪やコレステロールなどに変化し、血液の中に入り込んだり血管にくっついたりして、血液の流れを邪魔し、生活習慣病などの原因となってしまいます。

 

またこの「湿痰」や「痰濁」は「熱」と結びつきやすいと考えられています。漢方では身体の中に余分な「熱」を生む原因として、アルコールや油っぽい食事、カロリーの高い甘いものや過度なストレスなどがあげられます。

 

防風通聖散はこのような余分な「熱」と結びついた余分なゴミ(痰湿)を体外に排出したり、このゴミをため込みやすい体質を改善するための処方構成となっているので、肥満傾向になりやすいタイプの諸症状に効果があると言われているのです。

防風通聖散はどんな症状に効果的?

防風通聖散には一般的に、次のような効能効果があります。肥満や、肥満症傾向、高血圧による動悸や肩こり、のぼせ、ほてり、便秘、吹き出物(にきび)、むくみ基本的に、体内の熱(過剰なエネルギー)や排泄できなかった老廃物によって生まれた不調を改善するためのお薬です。

 

このお薬を服用するのに適している体質の人は、比較的体力があり食欲なども旺盛で美食家、血色も良く、体格もがっちりしたタイプの人に合う事が多いです。

 

仕事の付き合いなどで飲食が多い割には運動する機会があまりなく、消化しきれなかったエネルギーが体の中で熱に変化し、腹部を中心に脂肪がつきやすくなったり、肥満などへつながってしまいやすい人ですね。

 

熱の産生は生命活動に大切な事ですが、過剰な熱は必要な水分をも奪ってしまい、異常な食欲がわいたり、便が固くなったり、水分を補給していても尿量が少なかったり尿の色も濃くなってしまったりします。

 

また血液の成分も粘度が濃くなり、俗にいう「ドロドロ血液」の原因となってしまいます。防風通聖散は、このようなタイプの方の過剰な食欲を抑えたり、体内に詰まったものを排泄して通りを良好にしてくれると言えます。

防風通聖散に副作用はある?

漢方薬は人体に優しく、副作用などが比較的少ないと言われていますが、体質に合わない場合は副作用と同様の好ましくない作用をもたらすことがありますので注意が必要です。

 

漢方の考え方では、副作用という概念ではなく、体質に合わないものを継続的に飲み続ける事による症状とのミスマッチに注意しなければなりません。

 

医療機関で血液検査などをする際に、からだの状態を表す基準となる数値があるように、東洋医学にも独自の理論に基づいた体質の診断方法と治療法があるからです。

 

体質の事を「証」と表し、体力の有無や不調の勢いを「虚証、実証」という言葉で表現するなど、独特な言い回しの多い漢方医学ですが、顔色や症状、体格や体重、普段の生活習慣など、細かい問診に基づき、患者さんの情報を集めて適切な薬を選ぶのが基本です。

 

漢方薬の服用に関しては漢方専門の薬剤師や登録販売者がいる漢方相談薬局、または漢方薬に精通している医師がいる医療機関を受診して相談してみましょう。

使い方のポイント

防風通聖散に限らず、商品にも剤型(薬の形状)があり、水から煎じて煮出して服用するタイプの商品と、生薬のエキスを抽出して粉状にしてある商品(顆粒タイプ)や錠剤タイプの商品があります。

 

煎じるタイプものは、抽出できる有効成分も濃く、効き目も高いです。厳密には症状や季節によって剤型を変える事が効果に影響する場合もありますが、最初は手軽に服用できるエキス剤顆粒や錠剤タイプの商品をまず使用してみると良いでしょう。

 

また、「満量処方」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。市販の漢方製剤はひとつの漢方薬の中に配合できる生薬の量の限度が定められています。この生薬の量を、定められた基準内で最大限使用されている製剤を「満量処方」と呼んでいます。

 

薬量が多ければ得られる効果は当然大きくなります。漢方薬は体質に合わせて処方するものなので多ければ良いというわけでもありませんが、購入する市販薬を検討する際の選択肢の一つとして頭に入れておくと良いでしょう。

 

また、防風通聖散は、18種類の生薬で構成されている漢方薬(医薬品)です。構成される生薬の数が多い部類の製品になるので、その作用などを大まかに分けて紹介していきましょう。(方剤解説は小太郎漢方製薬株式会社の防風通聖散を参考にしています。)

防風(ボウフウ)・荊芥(ケイガイ)・麻黄(マオウ)・薄荷(ハッカ)・連翹(レンギョウ)、生姜(ショウキョウ)→主に、体の表面の発汗を促し、余分な体の熱を放散させる働き

山梔子(サンシシ)・黄芩(オウゴン)・石膏(セッコウ)・桔梗(キキョウ)→体の炎症や余分な熱をとる働き

当帰(トウキ)・川芎(センキュウ)・芍薬(シャウヤク)→血流や新陳代謝を促進する働き

白朮(ビャクジュツ)・滑石(カッセキ)→利尿作用と、余分な熱を取る働き

大黄(ダイオウ)・芒硝(ボウショウ)・甘草(カンゾウ)→便通を改善し余分な熱をとる働き(※調胃承気湯(ちょういじょうきとう)という独立した漢方処方でもあります。)一般的に、構成する生薬の数が少ないほど効き目が早くあらわれます。

風邪の初期(急性期)に使う「麻黄湯」などがそうですね。(麻黄、桂皮、杏仁、甘草の4つ)多種類の生薬を組み合わせた漢方薬は体質の改善を目的としたものが多く、生薬同士の相互作用なども考慮されており、じんわり効果があらわれると言われています。

 

防風通聖散は18種類の生薬から構成されているので、ある程度の期間を服用する事で効果が実感できる場合が多いので、適度な運動や食生活の見直しをしながら服用を続けてみると良いでしょう。

服用方法と注意点

服用を検討する際は、医師や薬剤師、または登録販売者に相談し、情報の提供を受けてください。構成生薬の中に「麻黄」が含まれますので、他に「麻黄」や交感神経作動成分「エフェドリン」などを含む医薬品を服用している人は重複摂取をさけるため服用を控えるようにして下さい。

高血圧の方への適応症のある薬ですが、持続的に服用することで、「麻黄」の作用が血圧に影響してしまう可能性があるため、医師などの指導を受けている方は相談の上服用することをお勧めいたします。また、便秘を改善させ、下剤とおなじような効果がある「大黄」という生薬も配合されています。この薬を服用して、腹痛や下痢が続くなどの症状が現れる事もありますので、充分注意が必要です。また、医薬品は添付文書の情報を確認の上、服用する際は用法・用量や使用期限を守って使用するようにしましょう。

妊婦の方や妊娠している可能性のある方は、医師に相談の上服用をするようにしましょう。授乳中の方も同じです。小児に服用させる場合は、保護者の監督のもと、服用させるようにしてください。(年齢により1回あたりの服用量が異なります。2歳未満の小児は服用することができません。)また、下痢や腹痛、湿疹など皮膚などに痒みが現れた場合は、服用を中止し、薬剤師や登録販売者に相談の上、必要に応じて医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。

漢方薬は天然の生薬を使用しているので、湿気などに弱く、品質管理のため、保管方法などは注意をしてください。1包を飲み切らず半分量を残して残った量を後で服用する場合などは切り口を折り曲げて早めに服用する事をおすすめします。

 

また、医薬品の効果を最大限に生かすため、服用する時は水や白湯、ぬるま湯に溶かして服用しましょう。

どうすれば購入できる?

購入するには、街のドラッグストア、漢方薬専門の相談薬局、薬店、また処方箋を取り扱う保険薬局(医療機関で医師の診断により処方を受けた場合)や零売薬局などを利用して医薬品を購入することができます。

最近ではオンライン診療を行っている病院も増えており、誰でも気軽に相談できるという状況が生まれています。

 

オンライン診療は、
・受付や会計の待ち時間が短縮される。
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周辺への感染の可能性を配慮して外出を控えたいやその他事情により、病院に行くことが難しい場合は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。

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