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リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説

監修薬剤師 福岡 蓉佑
更新日:2024年05月9日

更新日:2024年05月9日

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説のイメージ
ステロイド薬として知られる「リドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)」は病院やクリニックなど医療機関で取り扱われる医療用医薬品です。

今回はリドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)について成分の特徴や効果、副作用、市販薬の有無について解説していきます。

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)とは

リドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)は1982年に興和株式會社が販売を開始した外用副腎皮質ホルモン薬です。薬の剤型には今回ご紹介する軟膏タイプをはじめ、クリームタイプやローションタイプも販売されています。

 

有効成分にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.3%配合しており、いわゆる「ステロイド」と呼ばれるお薬で湿疹や皮膚炎、乾癬などの皮膚トラブルに使用します。では、有効成であるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルにはどんな特徴があるのでしょうか?

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)の成分について

リドメックスコーワ軟膏 の有効成分であるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは副腎皮質ホルモン剤で別名「ステロイド」とよばれるお薬です。そもそもステロイドとはどんなお薬なのでしょうか。

ステロイドとは

ステロイドとは、体内で作られる副腎皮質ホルモンのことを指します。副腎皮質ホルモンは副腎という臓器で作られるホルモンのことで、これを人工的に合成した薬がステロイド剤です。

 

ステロイド剤には塗り薬(外用薬)以外にも飲み薬(内服薬)、坐薬、吸入薬、注射薬など多くの種類が存在します。

 

ステロイドは主に炎症を抑える働きがあり、ステロイドの種類によってこの炎症を抑える強さ(ランク)が異なります。ではステロイドの主な働きと強さ(ランク)について詳しく見ていきましょう。

ステロイドの働き

ステロイドには以下の働きがあります。

・抗炎症作用
細胞の中で炎症を起こす原因になる物質を作らせないように働きかけることで、炎症そ
のものを抑える。
・細胞増殖抑制作用
炎症反応を引き起こす細胞の数が増えないように働きかけます。
・血管収縮作用
炎症している場所の血管を収縮(ひきしめる)ことで、患部の赤みを抑える。
・免疫抑制作用
からだの中で抗体が作られにくいように働きかけることで、炎症を引き起こす免疫系の 働きを弱める。

ステロイドの強さ(ランク)

ステロイドは成分によって作用の強さ(ランク)が異なります。作用の強さ(ランク)によって5段階に分けられ、1番作用が弱い「ウィーク」からはじまり「マイルド」「ストロング」「ベリーストロング」「ストロンゲスト」の順に作用が強くなっていきます。

 

今回ご紹介するリドメックスコーワ軟膏の有効成分であるベタメタゾン吉草酸エステルは「マイルド」ランクに該当します。

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)はどんな症状に効果がある?

リドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)は以下の症状に効果があります。

・湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬を含む)
・痒疹群(固定じん麻疹、ストロフルスを含む)
・虫さされ
・乾癬
・掌蹠膿疱症

では乾癬(かんせん)と掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とはどんな病気なのでしょうか?

乾癬(かんせん)とは

頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざなどの比較的外部から刺激を受けやすい場所におこるりやすい皮膚の炎症性の病気です。症状は皮膚から少し盛り上がった発疹の上に銀白色のフケのようなものがくっついてポロポロ落ちます。

 

原因ははっきりわかっていませんが、もともと乾癬になりやすい体質があり、そこにストレスや感染症、薬剤などの様々な要因が加わって発症すると考えられています。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは

膿が溜まった膿疱(のうほう)と呼ばれるものが、手のひらや足の裏などに数多くみられる病気です。最小は水ぶくれのような状態ですがその後、膿疱に変化し最後はかさぶたになって剥がれ落ちます。症状の出始めはかゆみを感じることが多いです。

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)の用法・用量は?

リドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)の用法・用量は以下の通りです。

通常、1日1〜数回、適量を患部に塗布する。
なお、症状により使用量を増やしたり、減らしたりすることがあります。

では適量とはいったいどれくらいの量なのでしょうか?ここでは塗り薬を使用する際に知っておきたい『1FTU」について詳しく説明します。

1FTUとは

ステロイド外用薬の場合、薬の効果をしっかり得るために塗る分量の目安としてFTU(フィンガーチップユニット)と呼ばれる単位が使われています。

大人の人差し指の先から第1関節までの長さにクリームや軟膏がのる量「1FTU=約0.5g」を大人の手のひら2枚分の面積に塗る目安とします。

 

例えば患部の広さが大人の手のひら1枚分の大きさなら、人差し指の先から第1関節の長さの半分の長さが目安の量となります。

1FTUを覚えて、必要な量をしっかり塗ることが大切です。

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)の副作用

リドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)の重大な副作用に眼圧の上昇、緑内障、白内障があらわれることがあります。

 

目の周りの皮膚に使用した場合には眼圧の上昇や緑内障、緑内障があらわれることがあり、大量又は長い期間にわたる広い範囲での使用や密封法で使用した場合には緑内障や白内障があらわれることがあります。

 

このような症状があらわれた場合には、使用を中止して医師、薬剤師にご相談ください。

またそれぞれの領域ごとに起こるその他の副作用を下記に示します。

【皮膚の感染症】
<頻度不明>
皮膚の真菌症(カンジダ症、白癬症等)、細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛のう炎等)、ウイルス感染症

【その他の皮膚症状】
<0.1〜5%未満>
魚鱗癬様皮膚変化、一過性の刺激感、乾燥

<頻度不明>
ざ瘡様発疹、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎(ほほ、口囲等に潮紅、丘疹、膿疱、毛細血管拡張を生じる)、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)、多毛、色素脱失など

【過敏症】
<頻度不明>
紅斑などの過敏症状

【下垂体・副腎皮質系機能】
<頻度不明>
下垂体・副腎皮質系機能の抑制

特に【皮膚の感染症】が現れた場合には、使用を継続することで症状が悪化してしまう場合があります。抗菌剤や抗真菌剤を使用し症状を改善していくため、症状に気づいたらお薬の使用を中止し、医師又は薬剤師に相談しましょう。

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)に関する注意点

リドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)は次の疾患がある人は使用してはいけません。使用してしまうことで、症状が悪化や治療が遅れてしまう恐れがあるためです。

・細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ 等)
・リドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)でアレルギーなどの過敏症を起こしたことがある
・鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
・潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

 

また基本的な注意としてはリドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)を大量に使用したり、広範囲の密封法での使用はステロイドを全身に投与した場合と同様の症状があらわれることがあるため、避けなければなりません。

 

さらに妊娠中の方や妊娠している可能性のある女性、小児、高齢者の場合は注意が必要になるため、医師や薬剤師から伝えられた使用方法を守ることが大切です。

リドメックスコーワ軟膏(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)と同じ成分の市販薬はある?

これまでお話ししてきた内容は、医療用医薬品のリドメックスコーワ軟膏 (プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)でしたが、市販薬にも主成分にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを配合した商品は存在します。

 

以下がプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを配合した市販薬の一例です。

・リビメックスコーワ (興和株式會社)
・コートf AT(田辺三菱製薬)
・オイラックスPZリペア(第一三共ヘルスケア)
・メソッドプレミアムAS(ライオン株式会社)
・メソッドAS(ライオン株式会社)

上記の商品は医療用医薬品のリドメックスコーワ軟膏と同じく、有効成分にプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを配合していますが、配合濃度が異なります。

 

医療用医薬品のリドメックスコーワ軟膏はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.3%配合しているのに対して、市販薬の場合はすべて0.15%と配合濃度が半分になっています。

 

またリビメックスコーワをのぞく上記の商品はプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル以外にもかゆみ止め成分や殺菌成分を配合している点が特徴的です。

 

市販薬の場合、湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、虫さされ、あせも、じんましんに対して効果があります。普段の生活でこのような症状でお困りの場合は一度試してみるのもよいでしょう。

 

もし5〜6日使用しても症状が改善しない、あるいは症状が悪化する場合は他の原因、もしくは市販薬では対応できない重症の可能性があります。その場合は使用を止めて、病院で診てもらうようにしましょう。

参考文献
リドメックスコーワ 軟膏0.3%/添付文書
リドメックスコーワ 軟膏0.3%/インタビューフォーム
ステロイド・プロトピック一覧表/特定非営利活動法人/日本アトピー協会
乾癬(かんせん)って、どんな病気?/乾癬.coマルホ株式会社
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)-皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
コートf ATクリーム/添付文書
コートf AT軟膏/添付文書
リビメックスコーワクリーム/添付文書
リビメックスコーワ 軟膏/添付文書
オイラックスPZリペアクリーム/添付文書
オイラックスPZリペア軟膏/添付文書
メソッドプレミアム ASクリーム/添付文書
メソッドプレミアム AS軟膏/添付文書
メソッド ASクリーム/添付文書
メソッド AS軟膏/添付文書

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ドラッグストア薬剤師を4年間経験した後、本社教育部門にて市販薬セミナーの講師を務める。広告やパッケージに惑わされないお薬選びのコツを「わかりやすく」伝えられるよう、日々の執筆を行っています。
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