リピディル錠(フェノフィブラート) に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月28日
今回は、リピディル錠を服用するときに注意すべき点やリピディル錠と同じ有効成分を含む市販薬の有無について紹介します。
リピディル錠(フェノフィブラート) とは
リピディル錠はフェノフィブラートを有効成分として含む高脂血症治療剤で、あすか製薬が製造販売の承認を得ています。世界的には1975年にフランスで、日本では1999年にフェノフィブラート製剤が発売されていますが、当初は錠剤ではなくカプセル剤でした。
その後、錠剤の開発が進められ、日本ではあすか製薬が独自の技術で開発し、海外よりも小型化されたオリジナルの錠剤(現在のリピディル錠)が2011年に承認を受けて発売されています。
リピディル錠(フェノフィブラート) の成分について
リピディル錠に有効成分として含まれているフェノフィブラートは高脂血症に対して効果がある医薬品成分のひとつです。
フェノフィブラートは核内受容体(PPARα:peroxisome proliferator-activated receptor α)を活性化してコレステロール合成にかかわるタンパク質の発現量を調節し、脂質代謝を改善させます。
この働きによってフェノフィブラートは血清コレステロールやトリグリセリド濃度を低下させ、さらに血清HDLコレステロール濃度を上昇させます。
リピディル錠(フェノフィブラート)はどんな症状に効果がある?
リピディル錠は家族性を含む高脂血症に対して効果があります。
リピディル錠は優れたトリグリセリド低下作用およびHDLコレステロール上昇作用を持っており、臨床試験におけるトリグリセリド低下率は40~48%、さらにHDLコレステロール増加率は35~36%でした。
同じく臨床試験では総コレステロール低下率が12~17%、LDLコレステロール低下率が18~25%とリピディル錠はコレステロール低下作用も併せ持っています。
また、糖尿病および高尿酸血症を合併している高脂血症を改善することも分かっています。
高脂血症?脂質異常症?
LDLコレステロール・総コレステロール・HDLコレステロール・トリグリセリドといった脂質代謝にかかわる検査値に異常が見つかったとき以前は「高脂血症」と呼んでいました。
しかしながら、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれるように血清HDLコレステロール値が低いときに異常だと判断されます。つまり、従来はHDLコレステロール値が”低い”にもかかわらず「高脂血症」と判断されます。
このように疾患名と臨床検査値に矛盾が認められることもがあったため、2007年に「脂質異常症」に改称しました。
(リピディル錠承認時は「高脂血症」が一般的であったため、「高脂血症」を使って解説をしています)
リピディル錠(フェノフィブラート)の用法・用量は?
成人はフェノフィブラートとして1回106.6mg~160mg(リピディル錠53.3mg×2錠~リピディル錠80mg×2錠)を1日1回食後に服用します。
なお、医師の指示のもとで年齢、症状による適宜減量が可能で、その上限はフェノフィブラートとして1日160mg(リピディル錠80mg×2錠)です。
また、空腹時にリピディル錠を服用すると有効成分であるフェノフィブラートの吸収が悪くなるため、基本的にリピディル錠は食後に服用します。
リピディル錠(フェノフィブラート) の副作用
リピディル錠の服用によって起こる副作用として、横紋筋融解症・肝障害・膵炎・発疹・頭痛・めまいなどです。
横紋筋融解症は骨格筋細胞の壊死や融解などにより様々な症状があらわれます。骨格筋細胞が壊死したときに流出したミオグロビンによって腎臓に負担がかかることで急激に腎機能が低下することがあります。
リピディル錠(フェノフィブラート) に関する注意点
リピディル錠を服用するときは以下の点に注意してください。
リピディル錠を服用できない場合(禁忌)
以下に該当する方はリピディル錠を服用できません。
・肝障害のある患者:肝障害を悪化させることがあるため
・腎機能障害(血清クレアチニン値:2.5mg/dL以上またはクレアチニンクリアランス:40mL/min未満の患者)のある患者:横紋筋融解症が起きる可能性があるため
・胆のう疾患がある患者:胆石を形成する可能性があるため
・妊婦または妊娠している可能性がある患者:妊娠中の服用に関して安全性が確立していないため
・授乳中の患者:動物実験でフェノフィブラートの乳汁中への移行が認められたため
・リピディル錠に含まれる成分に対して過敏症が起きた経験がある患者
基本的な注意事項
・高脂血症の治療は医師と相談の上で基本となる食事療法からはじめ、運動療法・薬物療法も取り入れていきましょう。また、薬物療法としてリピディル錠の服用を開始する前には十分な検査を行い、高脂血症の診断が確立している必要があります。
・リピディル錠の服用により肝機能に悪影響を及ぼす可能性があるため、服用開始から3ヶ月後までは毎月、その後は3ヶ月ごとに肝機能検査を受けてください。
・リピディル錠服用中は定期的に血清脂質値の検査を実施し、効果が認められない場合はリピディル錠の服用を中止する可能性があります。
・腎機能に異常ある場合はリピディル錠服用による重大な副作用である横紋筋融解症の発現するリスクが高まります。このとき、副作用として横紋筋融解症が起こることが知られているHMG-CoA還元酵素阻害薬(プラバスタチン・シンバスタチン・ロスバスタチンなど)とリピディル錠は医師がやむを得ないと判断した患者のみ併用します。
また、併用する場合はリピディル錠を少量から服用開始し、さらに定期的な腎機能検査での異常値(血清クレアチニン上昇など)や自覚症状(筋肉痛・脱力感)の発現を認めたときは直ちに服用を中止する必要があります。
併用に注意が必要な医薬品成分
以下の医薬品成分を服用している場合は、事前に医師や薬剤師へ相談してください。
<ワルファリン>
・臨床症状:併用によりワルファリンの作用を増強する可能性あり
・措置方法:プロトロンビン時間を測定してワルファリンの用量を調節
<HMG-CoA還元酵素>
・臨床症状:併用により急激な腎機能低下を伴う横紋筋融解症が起きる可能性あり
・措置方法:腎機能の異常や自覚症状を認めた場合は直ちに服用中止
<スルホニル尿素系血糖降下薬>
・臨床症状:併用によりスルホニル尿素系血糖降下薬の作用を増強する可能性あり
・措置方法:血糖値や低血糖症による自覚症状(冷や汗・空腹感・動悸など)の有無を観察
<コレスチラミン>
・臨床症状:併用によりフェノフィブラートの吸収が遅延または減少する可能性あり
・措置方法:コレスチラミンを服用する1時間前もしくは服用から4~6時間以上間隔を空けてリピディル錠を服用
<シクロスポリン>
・臨床症状:併用により重篤な腎機能障害が起きる可能性あり
・措置方法:腎機能検査を行うなどして慎重に服用
高齢者は副作用があらわれやすい
高齢者は一般に肝臓や腎臓に機能が低下していることや体重が減少傾向であることにより、副作用が起きやすいと考えられています。
したがって、リピディル錠は低用量である53.3mg錠から服用を開始するなど用量に注意が必要です。
リピディル錠を服用している間は、特に腎機能について定期的な検査を実施することもあります。
リピディル錠(フェノフィブラート) と同じ成分の市販薬はある?
リピディル錠と同じくフェノフィブラートを有効成分として含む市販薬は販売されていません。
リピディル錠は症状や患者ごとの生理機能の違いにより用法用量を調節する必要があることや重大な副作用である横紋筋融解症が起こる可能性があります。したがって、リピディル錠を服用するためには、定期的や検査や医師の診察が不可欠です。
今回は高脂血症治療剤であるリピディル錠について紹介しました。リピディル錠は脂質異常症全般に対して効果が期待できる一方で、横紋筋融解症といった重大な副作用起こることや併用薬には注意が必要である点から、定期的な医師の診察が欠かせません。
リピディル錠を服用している間に少しでも身体に異変を感じた場合はすぐに医師へ相談してください。
参考資料
リピディル錠53.3mg/ リピディル錠80mg
脂質異常症ー動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版についてー
重篤副作用疾患別対応マニュアルー横紋筋融解症ー|厚生労働省
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Webディレクター / 薬剤師
今後の医療に変化をもたらすために、デジタルチーム医療を発足。
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