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新型コロナ後遺症にはどんな症状がある?特徴や注意点を紹介

監修医師 木村眞樹子
更新日:2024年02月28日

更新日:2024年02月28日

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新型コロナウイルスにかかると、感染の初期症状といわれる咳や息苦しさ、発熱、だるさだけでなく、さまざまな後遺症がおこることがわかってきました。

新型コロナ後遺症には、どのような症状があるのでしょうか。特徴や注意点を、最新のデータをもとに解説していきます。

新型コロナ後遺症(long COVID)とは

新型コロナ後遺症はlong COVIDやpost COVIDともよばれ、新型コロナウイルスに感染したあとも、咳やだるさなどの症状が続いたり、あたらしくいろいろな症状が現れる状態をいいます。

 

重い新型コロナウイルスの症状のために、入院治療が必要になった人だけでなく、新型コロナウイルスの症状が全くない人や、軽症だった人にもあらわれることがあります。

 

long COVIDの特徴としては、長い期間にわたって症状を自覚する人もおおく、症状は1つだけでなく複数自覚する人もいます。long COVIDの原因はわかっていないことが多くあります。

 

病態として単純なものではなく新型コロナウイルス感染の症状が続いていること、ウイルス後疲労症候群、集中治療後症候群、肺や心臓への恒久的障害これら4つが複雑に絡み合ってでている症状と考えられています。

 

long COVIDの症状が辛く寝たきりになってしまう人もでてきており、通常の風邪やインフルエンザとは大きく異なる点です。

long COVIDといわれている 症状

long COVIDの症状は、とてもたくさんの種類があります。代表的な症状は、呼吸苦や倦怠感、嗅覚障害や咳嗽などです。

 

ほかにも、以下のような症状があらわれることがわかっています。

味覚障害、微熱、頭痛、関節痛、咽頭痛、筋力の低下、睡眠障害、思考・集中力の低下(Brain fog)、筋肉痛、脱毛、皮疹、下痢、しびれ感,、動悸など

そのなかでも嗅覚・味覚障害はCOVID-19に特異的な症状で、日本人を対象にした調査では新型コロナウイルス発症者の61%の人に嗅覚・味覚障害認めたという報告があります。

 

大半の人で症状は発症早期にでており、退院後1カ月までに嗅覚障害は60%、味覚障害は84% の人が、症状が良くなったと感じています。しかし一部の人は、数か月から半年と長い時間をかけて、ゆっくりと症状が回復することがわかっています。

遅発性症状の脱毛症はいつから起こるか

long COVIDの症状は、急性期から続くものだけでなく、回復後に現れる症状もあります。
long COVIDの要因となるウイルス後疲労症候群の症状と考えられる脱毛はlong COVIDの患者さんの24%に起きる、頻度の高い後遺症です。

 

 

脱毛は、新型コロナウイルス発症時には全くみられないものの、発症後30日くらいから症状が出現し、発症後120日くらいまでみられることがわかってきました。脱毛の平均持続期間は76日で、時間をかけて徐々に症状が軽くなっていくようです。

脱毛症以外の遅発性症状

脱毛以外によくみられる遅発性症状は、記憶障害、睡眠障害、集中力低下です。これらの遅発性症状が現れる原因は、まだよくわかっていません。

 

しかし脱毛症を含む遅発性症状はSARS-CoV-2が直接的に関与したものではなく、感染を起こしたことで体や精神的な強いストレスがかかり、発症している可能性が考えられています。

 

では、具体的な脱毛症以外の病気として何があるのでしょうか。2つ紹介します。
ウイルス性疲労症候群(post viral fatigue syndrome)とは
ウイルス性疲労症候群は、新型コロナウイルスからの回復期にみられる症状です。
主な症状は、記憶障害・睡眠障害・集中力の低下です。

 

なぜ、ウイルス性疲労症候群になるか、原因はよくわかっていません。
しかし、SARS-CoV-2が直接的に関与したものではなく、感染を起こしたことで体や精神的に強いストレスがかかったために、症状があらわれた可能性が高いと考えられています。

 

集中治療後症候群(post intensive care syndrome : PICSpo)とは
集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)は、集中治療室(intensive care unit:ICU)に入院中や、ICUでの治療後、退院後に体や心にさまざまな障害があらわれる状態をさしています。

 

PICSの症状は身体機能障害、認知機能障害、精神機能障害の大きく3つ。身体的には筋力の低下や呼吸・神経の障害が、認知面ではせん妄や高齢者における認知症の悪化、うつ病発症からの認知機能障害が、精神面ではうつ病、不安、⼼的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder (PTSD))があらわれます。

 

一般的に、ICUに入室した重症患者の⽣存者のうち、30%はうつ状態になり、70%は不安に苦しみ、10~50%は PTSDを発症します。
さらに、高齢者はPICSの発症率が高いこといわれているのです。

 

新型コロナウイルス感染症は、重症者に占める高齢者の割合が多く、ICUに入室する高齢者もたくさんいたため、PICSを発症する人も多かったといえます。

long COVIDで起こる辛いだるさ

long COVIDの中で、だるさはとても多くの患者さんが訴える症状です。
「クラッシュ」 と呼ばれるとても強いたってもいられないような倦怠感・だるさを感じる患者さんも少なくありません。

だるさへの対策は周囲の協力が必要不可欠

新型コロナウイルスの後遺症は、回復後にもあらわれます。症状によっては、なかなか改善せず、とてもつらい症状が数か月にわたって続くこともあります。

 

あなたは、新型コロナウイルスから回復した人に、「もうよくなったでしょう?」「まだ、調子が悪いの?」などと声をかけていないでしょうか。
新型コロナウイルスの後遺症は、まだ解明されていない部分もおおく、患者さんは不安な気持ちをかかえています。

 

さらに、クラッシュを起こすほど、強いだるさを自覚する人が、無理をしてしまうと症状が悪化して、命にかかわることもあります。

 

long COVIDの辛いだるさを感じている人は、クラッシュをいかに起こさないようにするかが大切です。なるべく体を動かさない、無理をしないで安静にしていることが、long COVIDからの回復には重要です。

 

そのためには、long COVIDに対して周囲の人たちが正しい知識をもち、協力することが必要不可欠なのです。

long COVIDのリスクファクター

では、どのような人がlong COVIDになりやすいのでしょう。
最近の研究では、以下の人たちが、long COVIDになるリスクが高いといわれています。
・高齢者(65歳以上)
・肥満(BMI 30以上)
・女性
・発症7日以内の症状が5つ以上

まとめ

新型コロナウイルスは決してその場限りの病気ではありません。症状が軽い人でも、半年以上にわたって、さまざまな悩まされている人もいます。
long COVIDは新型コロナウイルスにかかったことでおきる病気です。

 

新型コロナウイルスにかからないように、感染予防対策を続けることが大切です。また、ワクチン接種を行うことで新型コロナウイルスに感染しても後遺症のリスクを下げることができます。

 

コロナ後遺症が問題となってきており厚生省でもコロナ後遺症の診療の手引き作成が検討されているなど社会的にも対策が行われてきています。そのなかでも個人が新型コロナウイルス感染症にならないことがコロナ後遺症を避けるいちばんの対策といえます。

参考資料

新型コロナウイルス感染 COVID-19 診療の手引き 第 5.3 版
COVID|新型コロナCOVID後遺症外来 | 東京・ミネルバクリニック (minerva-clinic.or.jp)
COVID-19新型コロナウイルス感染後の疲労に対処する方法 (minerva-clinic.or.jp)
PICS 集中治療後症候群|日本集中治療医学会 (jsicm.org)
新型コロナウイルス感染症の後遺症 000801415.pdf (mhlw.go.jp)

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監修医師 木村眞樹子
現役医師、産業医 10年以上大学病院で臨床に従事、産業医として企業の健康経営にも携わる 2019年より医療ライターとしても活動している
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