新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症までにかかる期間と症状
更新日:2024年09月18日
新型コロナウイルス感染症に対し、世界ではさまざまな研究が行われてきました。今回は新型コロナウイルス感染症の発症までにかかる期間と症状に注目し、最新の研究をもとにわかりやすく解説していきます。
新型コロナウイルス感染症の感染から発症までにかかる期間
このウイルスに感染してから症状が現れるまで、どれぐらいの期間がかかるのでしょう。ここではさまざまな研究結果をもとに、ウイルス感染症の感染から発症までにかかる期間についてわかりやすく解説します。
新型コロナウイルス感染症の潜伏期間とは
潜伏期間とは、「新型コロナウイルスに暴露して感染してから、症状が現れるまでにかかる期間」を指しています。新型コロナウイルス感染症の潜伏期間は1~14日間です。
WHO(World health organization 世界保健機関)は、新型コロナウイルスへの曝露から5日程度で発症することが多いと報告しています。
デルタ株の潜伏期間は?
2021年夏頃から日本で大規模な流行が確認されるようになった、デルタ株。中国の研究ではデルタ株は、従来の新型コロナウイルスと比べると、2日程度潜伏期間が短くなることがわかっています。
新型コロナウイルスの潜伏期間は5日程度といわれていますので、感染から3日程度で発症するのがデルタ株の特徴です。
新型コロナウイルス感染症は感染可能期間が長い
新型コロナウイルス感染症は、ほかの感染症と比べて、感染可能期間が長いことがわかっています。ここでは、新型コロナウイルス感染症の感染可能期間と、その特徴について解説します。
感染可能期間とは
感染可能期間とは、「人にうつしてしまう可能性のある期間」のことです。
新型コロナウイルス感染が陽性の場合、発症する2日前~発症後10日程度が感染可能期間といわれています。
咳や会話など口からの飛沫にウイルスが多く含まれるのを知っているかたは多いと思いますが、血液や尿、便などにウイルスがまじるのはまれです。
重症であるほど多量のウイルスを長期間排菌する
実は感染可能期間は、新型コロナウイルス感染症が重症であればあるほど長くなることがわかっています。症状がでて10日以上、かつ症状が治まって72時間以上経過していると他の人に感染させないと判断します。
重症度の高い患者さんでは、発症してから長期間にわたって症状がでることから、3~4週間以上新型コロナウイルスを排菌しているということも珍しくはないのです。
新型コロナウイルス感染症の感染から発症までにみられる症状
新型コロナウイルスの感染から発症までに見られる症状には、どのようなものがあるのでしょうか?国内で診断された37万人コロナ患者の症状を分析した厚生労働省の報告をもとに、解説していきます。
多くの人が無症状
最近の研究では、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性だったひとのうち、約30%の方が無症状のまま経過すると推測されています。
新型コロナウイルス感染症で症状がでた方の80%程度が1週間程度で軽快し、15%程度が発症1週間程度で酸素が必要に。さらに5%の方は重症化し、発症10日以降に人工呼吸器管理やECMOなどの集中管理が必要になります。
よくみられる症状
新型コロナウイルス感染症の発症者によくみられる症状は発熱、呼吸器症状(咳・咽頭痛)、頭痛、倦怠感などのインフルエンザに似たような症状が多いことがわかっています。
特に咳や息切れのいずれかを自覚する方は70%、咳だけを自覚する方は50%、発熱を自覚する方は43%と なっています。発熱を自覚する時は、新型コロナウイルス感染症の初期症状の可能性があるため、十分な注意が必要です。
最も早くあらわれる症状
新型コロナウイルス感染症の発症後、初期症状としてあらわれるのが咳や発熱、倦怠感です。発症初期はウイルス量も少ないため、症状もあまり強く感じませんが「いつもより何となくだるい」「熱っぽい」「少し咳が出る」などの症状には注意しましょう。
感染から遅れて現れる症状
最近では新型コロナウイルス感染症の初期だけでなく、感染が落ち着いた後にもさまざまな症状が現れてくることが報告されています。一般的には「新型コロナウイルス感染症の後遺症」と呼ばれ、世界中で多くの方が悩まされているのです。
後遺症の代表的なものは倦怠感や呼吸困難といった急性期からつづく症状ですが、後遺症のうちウイルス後疲労症候群に分類される回復後にでてくる症状では3割で脱毛があるといわれます。
脱毛で感染から数か月~半年程度にわたって脱毛が続き、徐々に回復してくるのです。
そのほかに、不眠や抑うつ不安、体力の低下などさまざまな影響が全身に現われることも、新型コロナウイルス感染症の特徴です。
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新型コロナウイルス感染症の潜伏期間のPCR検査の結果はどうなる?
潜伏期間にはほとんど自覚症状がなく、感染しているかどうかはわかりません。では、新型コロナウイルス感染症の潜伏期間にPCR検査を受けると、結果はどうなるのでしょう。潜伏期間のPCR検査について詳しく解説していきます。
潜伏期間のPCR検査は正確ではない
新型コロナウイルス感染症の潜伏期間にPCR検査を受けることは可能です。
しかし、感染初期の潜伏期間で、体の中にウイルスの量が少ない場合は、正確な検査結果が出ないことが多く、医学的には「偽陰性」と呼ばれています。
潜伏期間の間の検査は本当は新型コロナウイルス感染症に感染しているのにも関わらず「陰性」という結果が出てしまうこともあるため、複数回のPCR検査で陰性を確認することが推奨されているのです。
PCR検査で陽性反応がでる期間
PCR検査で陽性反応が出る期間は、発症2日前からと言われています。発症2日前は 潜伏期間ではありますが、ウイルス量が増え、感染可能期間です。発症から10日目まで約7割の方がPCR検査陽性になります。
自分が「新型コロナウイルスに暴露したかもしれない」「感染したかもしれない」と考える方は、PCR検査を受ければよいのか判断に迷うこともあるでしょう。
その場合は、かかりつけ医師や発熱外来の医師に相談し、適切なタイミングでPCR検査を受けることをおすすめします。
新型コロナウイルス感染症にかからない・うつさない行動を取る
新型コロナウイルス感染症にかかってしまうと、全身にさまざまな症状が現れます。
それだけでなく、周りの方に新型コロナウイルスをうつしてしまうリスクが高くなります。
新型コロナウイルス感染症にかからない、うつさないためにはマスクやうがい手洗いなどの基本的な感染予防対策を継続することが大切です。
さらに、新型コロナウイルスのワクチン接種は、 発症を防ぐ効果や重症化を防ぐ効果があります。
ワクチン接種を受けることで、自分がコロナにかかりにくくなりますし、周囲の方へ移してしまうリスクも 下げることができます。
厚生労働省や内閣府の正しい情報を元に、新型コロナウイルスにかからないうつさない行動を取るようにしましょう。
まとめ
今回は新型コロナウイルス感染症発症までにかかる時間と症状について解説しました。
新型コロナウイルス感染症は、感染力が高いため潜伏期間にうつしてしまうリスクが高い感染症です。さらに、新型コロナウイルスに暴露され保有しても、30%の方が無症状なため知らないうちにうつしてしまう可能性もあります。
自分が感染しない、人にうつさないためには、基本的な感染予防対策を継続することが大切です。体調が変化した場合は、コロナウイルス感染症の初期症状の可能性もあるので、早めに休息をとり、症状が悪化した場合は発熱外来を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。
参考資料
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 第5.3版https://www.mhlw.go.jp/content/000829137.pdf
新型コロナウイルス変異株「デルタ株」について【感染力・潜伏期間・ワクチンの効果】 | ひまわり医院(内科・皮膚科)
積極的疫学調査の情報に基づく新型コロナウイルス感染症の潜伏期間の推定 (niid.go.jp)
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