下痢症状だけでも新型コロナの疑い?対策と感染予防について
更新日:2024年02月28日
新型コロナウイルス感染症は潜伏期間が長いことや無症状の場合があることから知らず知らずに感染を広げている可能性があり、感染症の根絶には時間を要しています。
出勤や外出、医療機関の受診などの規制をかけることで感染防止を試みていますが、新型コロナウイルス感染症の症状が通常の風邪症状にも似ていることから判断が難しいケースも。
今回は判断の難しい「下痢症状」について下痢症状と新型コロナウイルスの関係性や症状が現れたときの対処方法、感染予防を紹介していきます。
下痢症状だけでも新型コロナ感染の可能性あり
新型コロナウイルス感染症でみられる症状は以下になります。
最も一般的な症状:
・熱
・咳
・疲れ
・味や匂いの喪失
あまり一般的ではない症状:
・喉の痛み
・頭痛
・痛みおよび苦痛
・下痢
・皮膚の発疹、または指やつま先の変色
・赤または炎症を起こした目
深刻な症状:
・呼吸困難または息切れ
・発話や可動性の喪失、または混乱
・胸痛
新型コロナウイルス感染症の主な症状としては発熱や咳、疲れがあり、アメリカで新型コロナと診断された方の症状を調査したところ、発熱や咳、息切れのいずれかが起こる割合は約70%と報告されています。
また、味や匂いの喪失は新型コロナウイルス感染症の特徴的な症状であり、新型コロナウイルス感染の可能性を疑うきっかけになり得ます。
下痢症状は一般的ではない症状に記載されていますが、発症は約19%と報告があり5人に1人は起こり得る症状とされています。
そのため、下痢症状が起きた場合、新型コロナウイルス感染の可能性は十分考えられます。また、発熱や咳、息切れといった主な症状は70%ほどで起こるとされていますが、言い換えれば30%の方はこれらの症状が起きていないことから下痢症状のみ発症する可能性も考えられます。
日本消化器病学会が「消化器診療における留意点」として
と記載してあります。
発熱や咳、息切れ、倦怠感などの症状があれば、内科や呼吸器科へ受診することが考えられますが、下痢や腹痛などが主症状であれば消化器科へ受診するかもしれません。
この日本消化器病学会が示す留意点からも新型コロナウイルス感染症で下痢症状のみが発症する可能性があると考えられます。
そもそも下痢とは
下痢とは、便の量や水分、排便回数が増えることです。排便回数は人によって差があるため、回数に規定はありませんがいつもより水分量が多く、排便回数が増えた場合に下痢が疑われます。
原因
下痢の原因として考えられるものを紹介します。
まず、急な下痢症状が起こる原因としてはウイルスや細菌、寄生虫による感染、食べ物によるアレルギー、服用した薬による副作用、ストレスなどがあげられます。
ウイルス・細菌・寄生虫
下痢が慢性的に続く場合は腸の疾患(過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など)も原因と考えられます。食中毒では十分に加熱していない肉類や卵、生の魚介類などが原因のひとつです。
下痢が慢性的に続く場合は腸の疾患(過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など)も原因と考えられます。食中毒では十分に加熱していない肉類や卵、生の魚介類などが原因のひとつです。
食べ物によるアレルギー
食物アレルギーによって下痢や便秘といった便通異常の症状が出る場合があります。じんましんが出るタイプであれば食べてすぐ症状が現れるためわかりやすいのですが、アレルギー症状の便通異常はかなり時間が経ってから症状が現れる遅延アレルギーであり、自覚されにくい特徴があります。遅延アレルギーは重い症状が出ることはほとんどありませんが、アレルゲンを特定してその食物を避けることで症状を出さずにすみます。
食物アレルギーによって下痢や便秘といった便通異常の症状が出る場合があります。じんましんが出るタイプであれば食べてすぐ症状が現れるためわかりやすいのですが、アレルギー症状の便通異常はかなり時間が経ってから症状が現れる遅延アレルギーであり、自覚されにくい特徴があります。遅延アレルギーは重い症状が出ることはほとんどありませんが、アレルゲンを特定してその食物を避けることで症状を出さずにすみます。
服用した薬による副作用
服用した薬であれば抗生剤が代表例です。抗生剤は服用することで原因菌をやっつけると同時に腸内細菌にも影響を及ぼし、腸内環境を乱すことで下痢症状を引き起こすとされています。
服用した薬であれば抗生剤が代表例です。抗生剤は服用することで原因菌をやっつけると同時に腸内細菌にも影響を及ぼし、腸内環境を乱すことで下痢症状を引き起こすとされています。
ストレス
腸内環境は自律神経の影響を受けることからストレスや不規則な生活も自律神経のバランスを崩すことから、下痢の原因と考えられています。
腸内環境は自律神経の影響を受けることからストレスや不規則な生活も自律神経のバランスを崩すことから、下痢の原因と考えられています。
下痢症状が現れたときの対処方法
下痢症状が現れたとき、どのように行動すれば良いのでしょうか。
自己判断をしない
下痢症状が起きた際、「ただの下痢だから大丈夫」「数日で治るだろう」と自己判断をしないようにしてください。
上記でも説明した通り、下痢症状は新型コロナウイルス感染症の症状のひとつであり、下痢症状のみでも感染の疑いがあります。
コロナではないと自己判断することで、周囲への感染を広げてしまう可能性があるため、かかりつけ医などPCR検査をしている医療機関へ相談しましょう。
また、新型コロナウイルスは糞便による接触感染や飛沫感染も感染経路のひとつといわれています。下痢症状が発生したら、新型コロナウイルス感染の可能性も考えてトイレの掃除などきちんとした感染予防を行いましょう。(後ほど詳しく紹介します)
かかりつけ医または相談センターへ連絡
下痢症状が発生した場合は、かかりつけ医など医療機関へ相談しましょう。かかりつけ医のない方は、相談センターなど都道府県で推奨されている問い合わせ先に連絡してみましょう。
その際に、以下の点についてまとめてよいでしょう。
・下痢以外に症状はあるか
・下痢が始まったときの状況
・いつから始まったか
・便の状態、回数
・外出や交流などの近況
・食事の内容
・家族や友達など周りの環境に下痢症状者がいるか
・服用中の薬について
下痢の原因を突き止めるためには症状や病歴も重要な情報となります。いつから、どのくらいの頻度、直近の行動など伝えられるようにしましょう。
市販の下痢止めは服用しない
市販薬で下痢止めが販売されており、急な下痢症状の対処方法として活用されている方もおられるのではないでしょうか。
医師の処方箋がなくても手に入れることができ、症状改善も期待できるためメリットのある市販薬ですが、下痢の原因によっては下痢止めが症状を悪化される要因となる可能性があります。
感染症などが原因の下痢の場合、下痢止めを使うことで、ウイルスや細菌が腸内に長く留めてしまうため症状が長引いたり悪化したりする可能性がありますので注意しましょう。
下痢時の感染予防対策
下痢症状が見られたら、新型コロナウイルス感染症の可能性があるため、人との接触を避けたり医療機関へ電話相談するなどの感染拡大防止対策を講じたりする必要があります。
さらに糞便などの排泄物からの感染もあることから同居の方や、不特定多数の方が利用するトイレを使用する場合は感染拡大を予防するための行動を取るようにしましょう。
糞便も感染経路のひとつ
新型コロナウイルス感染症は咳やくしゃみ、会話などによって生じる小さな粒子を吸うことによる飛沫感染やウイルスに付着したものに触れた手で目や鼻、口などを触り感染する接触感染、換気の悪い環境での空気感染が主な感染経路といわれています。
そのため、マスク着用やソーシャルディスタンス、アルコール消毒、換気など様々な感染予防対策が講じられています。さらに新型コロナウイルスは糞便中からも検出されることが明らかになっており、糞便も感染経路のひとつと考えられています。
トイレ排水後の汚染した水が空気中に漂うエアロゾル化による飛沫感染に注意が必要であり、下痢症状の方が使用された後は消毒をすることが勧められています。
トイレの正しい消毒方法
下痢症状などでトイレが汚れた場合や新型コロナウイルス感染症の疑いのある方、濃厚接触者の方が使用した使用後のトイレは、次亜塩素酸ナトリウム(1,000ppm(1,000mg/L))、亜塩素酸水(遊離塩素濃度100ppm(100mg/L)以上)またはアルコール(70%)による消毒方法が推奨されています。
家庭で使用する場合は、市販の家庭用漂白剤に次亜塩素酸ナトリウムを含む商品があるため確認してみてください。
また、トイレだけでなく、トイレの床やドアノブ、糞便のついた衣服やシーツなども併せて消毒しましょう。
まとめ
今回は新型コロナウイルス感染症と下痢症状の関係性について紹介してきました。新型コロナウイルス感染症の主な症状は発熱や咳、息切れですが、下痢症状も10-20%程度みられます。
新型コロナウイルス感染症の特徴として無症状の方もおられたり、風邪症状と変わらない症状の方もおられたりすることからコロナ感染の認識や判断が難しいことから感染防止が遅れるケースが考えられます。
下痢症状だけでも新型コロナウイルス感染の可能性があるため、「コロナではないだろう」ではなく、「コロナかもしれない」の判断で行動してみましょう。
また、下痢など糞便からも新型コロナウイルスが検出されているため、トイレ使用後は次亜塩素酸ナトリウムなど適した方法で消毒・清掃し、同居の方や周りの方へうつさないよう心がけましょう。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、医療現場での実臨床データや様々な研究により次々と情報の更新が行われています。本記事も情報の更新により内容が異なる可能性がありますので、今後も新しいかつ正確な情報収集をしていただけますと幸いです。
※本記事は2021年10月21日に作成したものです。
参考資料
・新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 2020 19-COVID 第4版
000702064.pdf (mhlw.go.jp)
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への消化器病診療における留意点|医療関係の皆様へ|新着情報|日本消化器病学会 (jsge.or.jp)
https://www.jsge.or.jp/news/archives/287
・Coronavirus disease (COVID-19)|WHO
https://www.who.int/health-topics/coronavirus#tab=tab_3
・新型コロナウイルス感染症の症例サーベイランス ― アメリカ、2020年1月22日~5月30日|一般財団法人国際医学情報センター
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応について(2020年3月9日版)|日本救急医学会
https://www.jaam.jp/info/2020/info-20200309.html
・成人の下痢 – 03. 消化器の病気 – MSDマニュアル家庭版 (msdmanuals.com)
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/03-%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6/%E6%88%90%E4%BA%BA%E3%81%AE%E4%B8%8B%E7%97%A2#v5612761_ja
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