【薬剤師監修】メリスロン錠(ベタヒスチン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月29日
めまいを対処するために使用される医薬品であり、耳鼻科などのクリニック、調剤薬局などの多くの医療機関で採用される医薬品です。
メリスロンは、メニエール病などでよく使用される医薬品ですが、副作用などの注意点も存在します。今回は、メリスロン錠(ベタヒスチン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説します。
メリスロン錠(ベタヒスチン)とは
メリスロン錠(ベタヒスチン)は、エーザイ株式会社から販売されているめまい・平衡障害治療薬です。めまいに対してヒスタミンを投与が1939年にアメリカで始まりました。
当初は、ヒスタミンは、腸内の酵素によって分解されるため、内服での投与では効果がありませんでした。そのため、過去のめまい治療は、注射によるヒスタミン投与が主流でした。
しかし、1941年に内服でも分解されないベタヒスチンが開発され、アメリカでは、1965年ではサークという商品名で販売が開始しました。
メニエール病とは
内耳は、鼓膜の内側に存在する部位です。メニエール病は、内耳に正常に存在している水分量が過剰になることで発症すると考えられています。
内耳に存在する水分量が増えるとむくみとなって平衡感覚をつかさどる三半器官にも影響を及ぼし、めまいや難聴が引き起こされます。
内耳の水分量が過剰になる原因については不明です。症状としては、重度の回転性めまいが突然あらわれ、吐き気や嘔吐、難聴を伴います。
ジェネリック医薬品が存在する
メリスロン錠(ベタヒスチン)は、ジェネリック医薬品が存在します。新薬には、多額の開発費と長い歳月をかけて開発されるため、製薬会社は特許を取得して独占的に販売できます。
しかし、特許には期限があり、特許期限が切れた医薬品は他の製薬会社も製造、販売が可能です。ジェネリック医薬品は、特許期限が切れた医薬品を開発費をかけずに販売できるため新薬と比べてお薬代を安く販売できるメリットがあります。
ジェネリック医薬品に変更を希望する場合には、医師や薬剤師に相談してみてください。
メリスロン錠(ベタヒスチン)の成分について
メリスロン錠(ベタヒスチン)は、内耳という鼓膜の内側に存在する部位の毛細血管を弛緩させる作用があります。
メニエール病は、内耳の水分量が過剰になることで発症すると考えられているため、内耳の血流量を増加させることで、過剰になった水分を減少させて症状を改善します。
その他にも、内頸動脈の血流量を増加させ、脳循環を改善することでめまい感を減らすことも可能です。
メリスロン錠(ベタヒスチン)はどんな症状に効果がある?
メニエール病、メニエール症候群、めまい症に伴うめまい、めまい感に効果があります。
メリスロン錠(ベタヒスチン)の用法・用量は?
成人には、1回6〜12mgを1日3回食後に服用します。年齢や症状に応じて増減できます。
メリスロン錠(ベタヒスチン)の副作用
メリスロン錠(ベタヒスチン)は、重大な副作用が報告されていないため、比較的副作用が少ない医薬品であるといえます。
製造販売後の臨床調査成績では、2254例中報告された副作用は、悪心10例、嘔吐3例、発疹3例がありました。血液検査によって測定できる臨床検査結果に対して影響は報告されていません。
メリスロン錠(ベタヒスチン)に関する注意点
メリスロン錠 (ベタヒスチン)は、構造や作用がヒスタミンに似ているため、めまいや難聴を抑制する作用が意外にもさまざまな影響が起きることがあります。
そのため、アレルギー症状がある患者さんや別の治療を行っている場合には注意が必要です。こちらでは、メリスロン錠の注意点を解説します。
消化性潰瘍がある場合には注意
胃壁には、ヒスタミンH2受容体が存在します。ヒスタミンH2受容体が刺激されると胃酸分泌が促進されます。胃酸分泌が過剰になると胃壁がただれたり、潰瘍が起きたりすることがあるので注意が必要です。
メリスロンは、ヒスタミンと似たような作用があるため服用中に胃壁のヒスタミンH2受容体を刺激し、胃酸分泌を促進させる可能性があります。
気管支喘息がある場合には注意
ヒスタミンは、アレルギー症状と密接に関係している体内物質です。食物や花粉、ハウスダストなどのアレルゲンの刺激を受けると、ヒスタミンが肥満細胞などから放出されます。
ヒスタミンがヒスタミンH1受容体に結合することで気管支喘息などのアレルギー症状を引き起こします。ヒスタミンと作用が似ているメリスロンの服用は、気管支を収縮させる可能性があるので注意が必要です。
褐色細胞腫がある場合には注意
褐色細胞腫は、腎臓の上に位置する副腎の髄質から発生する腫瘍です。交感神経に働きかけるホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリンなどを産生するする能力を持っているのが特徴です。
褐色細胞腫は、ヒスタミンによって症状が悪化することがあり、血圧が上昇する可能性があります。そのため、褐色細胞腫がある患者さんがメリスロンを使用する場合には注意が必要です。
妊婦・授乳婦への投与に注意
ベタヒスチンは、マウスを使用した動物実験では胎児毒性や乳汁への移行が報告されていません。しかし、人での臨床試験が存在しないため、治療によるメリットが、危険性を上回っていると判断された場合にのみ使用してください。
高齢者への投与に注意
若い人に比べると高齢者は、肝臓や腎臓などの機能が低下していることが多いです。肝臓や腎臓は、医薬品の分解や排泄などに影響する臓器であるため、機能が低下すると副作用が現れる可能性が高くなります。
メリスロン錠は、比較的副作用の少ない医薬品ですが、高齢者では副作用のリスクがあるので注意が必要です。
メリスロン錠(ベタヒスチン)と同じ成分の市販薬はある?
メリスロン錠(ベタヒスチン)は、医療用医薬品であるため、入手するためには医師の診察を受けて処方箋をもらう必要があります。
病院などの医療機関へ受診する場合には待ち時間がかかり、調剤薬局で薬をもらうのにも時間がかかります。メリスロンと同じ成分の市販薬が存在すれば、仕事や家事などで忙しい方にも入手がしやすいです。
メリスロン錠(ベタヒスチンと同じ成分の市販薬は存在するのでしょうか?
メリスロン錠(ベタヒスチン)と同じ有効成分の市販薬は存在しない
残念ながらメリスロン錠(ベタヒスチン)と同じ有効成分の市販薬は存在しません。そのため、メリスロンを入手するためには、医師の診察を受けて処方箋を発行してもらうしかありません。
しかし、軽度のめまいに対して効果が期待できる市販薬は存在します。メリスロンと同様にヒスタミンに作用や構造が似ている成分を配合している市販薬や内耳の血流を改善する作用がある漢方薬を紹介します。
メリスロン錠と同じエーザイから販売されている市販薬です。ジフェンヒドラミンとジプロフィリンが配合されています。
ジフェンヒドラミンは、メリスロン錠(ベタヒスチン)と同様に医療用医薬品として使用されている抗めまい成分です。
ジプロフィリンは、めまいを予防する効果があります。
トラベルミンRは、メリスロン錠と同じエーザイから販売されている市販薬です。
ジフェニドール、スコポラミン、無水カフェイン、ビタミンB6が配合されています。ジフェニドールやスコポラミンは医療用医薬品にも使用されている成分であり、めまいに対して効果を発揮します。
無水カフェインは、めまいが起きないように予防する効果あり、ビタミンB6は吐き気やめまいに対して効果的です。
水分バランスを整える作用がある漢方薬です。
内耳に存在する水分量を正常な状態にすることでめまいに対して効果を発揮します。立ちくらみやめまい、耳鳴り、動悸、息切れ、神経症などに使用されます。
強いストレスが原因で難聴やめまいがおこることがあるのでストレス対策には注意が必要です。
ストレスによって血流が悪化し、内耳の水分量が増加するということも考えられています。
柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神不安があって動悸や不眠、便秘などの症状に使用されます。
多くの女性が悩んでいる冷え性やむくみは血流が悪化することがあらわれることが多いです。
冷え性に効果がある漢方薬の多くは、血流を改善することで効果を発揮します。
中将湯も血流を改善する作用があるため、めまい症状にも効果が期待できます。
気になることがあれば医療機関へ
メニエール病やメニエール症候群に伴うめまいは、市販薬では改善されないこともあります。
内耳に存在する平衡感覚に原因があるめまいと脳に問題があるために生じるめまいもあるので、市販薬を使用してもめまいが改善されない場合には早めに医療機関へ受診してください。
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