目の周りにも蕁麻疹はできる?原因と対処方法をわかりやすく解説!
更新日:2025年02月4日
蕁麻疹(じんましん)は目の周りにできる?
蕁麻疹は目の周りやまぶたにも現れることがあります。たとえば、「血管性浮腫(クインケ浮腫)」は、目の周りを含む顔の特定部分や、唇、舌、手足に腫れが見られる蕁麻疹です。目元の場合、目が開きにくくなることもあるため、日常生活に支障をきたすことがあります。
蕁麻疹の症状
蕁麻疹の主な症状は、蚊に刺されたような赤みを伴う膨らみ(膨疹)です。膨らみの大きさはさまざまで、複数の膨疹がつながって地図のように広がることもあります。通常、1つの膨疹は24時間以内に消え、跡を残すことはありません。
症状には、強いかゆみのほか、チクチクとした刺激や焼けるような感覚を伴う場合もあります。慢性蕁麻疹では、夕方から夜にかけて症状が出やすく、悪化することが多いのが特徴です。また、ほぼ毎日決まった時間に症状が現れる方もいます。
蕁麻疹ができやすい部位
蕁麻疹は、太腿、腹部、臀部、膝の後ろ、頰、首など、皮膚がやわらかい部分に特に発症しやすいと言われています。しかし、足の裏や手の甲、頭皮といった部位にも現れることがあり、全身どこにでも発症する可能性があります。
目の周りにできる蕁麻疹(じんましん)、血管性浮腫(クインケ浮腫)とは
血管性浮腫といっても、血管そのものが腫れるわけではなく、腫れるのは皮膚や粘膜の下の組織です。血液中の水分が血管の外に浸み出しやすくなり、余分な水分が皮膚や粘膜の下に溜まることで浮腫が起こります。この症状が「血管性」と呼ばれる理由は、血管の変化が原因で浮腫(腫れやむくみ)が生じるためです。
血管性浮腫の中でも、遺伝的な要因によって発症するタイプを「遺伝性血管性浮腫」と呼びます。遺伝性血管性浮腫では、体内に存在するC1インヒビターというタンパク質の量が不足していたり、その働きが弱かったりすることが原因で浮腫が発生します。このタイプは、生まれつきの体質が関係しており、他の血管性浮腫とは発症の仕組みが異なる点が特徴です。
血管性浮腫(クインケ浮腫)の症状
皮膚や粘膜が突然腫れたりむくんだりする病気で、全身のさまざまな部位に症状が現れる可能性があります。特に多く見られるのは、皮膚や消化管での腫れです。
通常の蕁麻疹と異なり、目やまぶたなどの顔面に発生しやすいですが、手や腕、足などにも起こることがあります。皮膚の深い部分の血管が反応するため、境界がはっきりした膨疹ではなく、赤みが目立たない腫れとして現れるのが特徴です。一方、消化管が腫れる場合は、激しい腹痛が起こったり、吐き気や嘔吐、下痢を伴うこともあります。
蕁麻疹は赤みや強いかゆみを伴い、数時間以内に消えるのに対し、血管性浮腫は通常、かゆみを伴わず、腫れが完全に引くまでに1〜3日かかることがほとんどです。また、血管性浮腫と蕁麻疹が同時に見られることもあります。
血管性浮腫の症状は皮膚だけでなく、口の中や舌、喉、消化管に影響を及ぼす場合もあります。特に喉が腫れた場合、呼吸困難や窒息の危険があるため、早急な対応が必要です。
血管性浮腫(クインケ浮腫)の原因
血管性浮腫には、通常の蕁麻疹と同じ仕組みで発生するものと、C1インヒビターという血液中のタンパク質の働きが低下することによって起こるものがあります。
アレルギー性血管性浮腫
血管性浮腫の中で最も一般的で、牛乳、卵、小麦といった特定の食物、ペニシリンなどの薬剤、ラテックスや虫刺されなどが原因です。このタイプでは、IgEを介した即時型アレルギー反応が関与しています。
非アレルギー性薬剤性血管性浮腫
アスピリンなどの解熱消炎鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)、降圧薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)など)、経口避妊薬、造影剤などが挙げられます。
物理的刺激による血管性浮腫
寒冷、日光、振動などの特定の物理的刺激によって引き起こされる血管性浮腫です。場合によっては蕁麻疹を伴うこともあります。
遺伝性・後天性血管性浮腫
C1インヒビターの量が少ない、または機能が低下していることが原因で発症します。このタイプは、幼少期には症状が少なく、10代頃から現れることが多いです。精神的ストレスや過労といった肉体的ストレス、感染症、ケガや抜歯などの歯科治療、妊娠や生理、服用中の薬などがきっかけとなることがあります。
血管性浮腫(クインケ浮腫)の対策
疲れや精神的なストレス、感染症、特定の薬の使用が引き金となることがあります。そのため、これらの要因をできるだけ避けましょう。
体調を整える
疲労やストレスは血管性浮腫の発作を誘発する可能性がありますが、完全に回避するのは難しい場合も多いかもしれません。適度な休息や気分転換、ストレス管理を心がけることで、発作のリスクを軽減できる場合があります。
原因を避ける
特定の食べものや物理刺激が原因の場合は、それを避けましょう。薬剤が原因となることもあるため、使用する薬には注意が必要です。薬が発作を誘発している可能性がある場合は、医師に相談してください。
病院を受診する
息苦しさがある場合には、急激に呼吸困難に陥る危険性があるため、迷わず救急車を呼び、速やかに医療機関を受診してください。
遺伝性によるものは、症状が重くなりやすい傾向があります。過去に同じような症状を経験した場合や、家族内で同様の症状を経験した方がいる場合には、その情報を医師に伝えましょう。
血管性浮腫(クインケ浮腫)の治療
血管性浮腫の治療では、原因に応じた治療を行います。
一般的な治療方法
塗り薬やクリームなどの外用薬は、血管性浮腫に対しては効果が期待できません。かゆみや腫れを和らげるため、抗ヒスタミン薬を使用します。
特定の薬剤が原因の場合
原因となる薬剤の使用を中止してください。たとえば、ACE阻害薬が原因の場合は、使用を中止することで症状が24〜48時間以内に自然に治まるケースが多いです。
C1インヒビター製剤
遺伝性血管浮腫の発作が起こった際にC1インヒビター製剤を投与すると、体内で不足している機能を補い、症状を早期に緩和することが可能です。また、発作の頻度が高い場合や、重篤な発作が予測される場合には、定期的にC1インヒビター製剤を投与する長期的な予防治療を行います。
目の周りの蕁麻疹(じんましん)が気になる場合は医療機関を受診しよう
目の周りに蕁麻疹が現れた場合、我慢せずに医療機関を受診しましょう。症状が悪化したり、日常生活に支障をきたすような場合には、医師に相談してください。
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まとめ
目の周りはとても繊細な部位です。腫れたり痒い場合、日常生活に支障をきたしたり、不安を感じたりすることがあるかもしれません。症状が現れた場合は、原因となる刺激や要因を避け、体調を整えることを意識しましょう。また、症状が悪化したり、長期間続いたりする場合には、早めに皮膚科や内科を受診して、専門的な治療を受けてください。医師の適切な診断と治療を受けることで、安心して日常生活を送れます。困った際は一人で悩まず、専門医に相談しましょう。
医師
柳 靖雄
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所属:横浜市大 視覚再生外科学、客員教授、お花茶屋眼科
経歴:東京大学医学部卒業(1995年 MD)/ 東京大学大学院修了(医学博士 2001年 PhD) / 東京大学医学部眼科学教室講師(2012-2015年) / デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016年-2020年)/ 旭川医科大学眼科学教室教授(2018年-2020年) / 横浜市立大学 視覚再生外科学 客員教授(2020年-現在) / 専門は黄斑疾患。シンガポールをはじめとした国際的な活動に加え、都内のお花茶 屋眼科での勤務やDeepEyeVision株式会社の取締役を務めるなど、マルチに活躍し ています。また、基礎医学の学術的バックグラウンドを持ち、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究などを行っています。
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※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。
日常生活においては、引き金となる要因を把握し、可能な限り回避すること、発症した際にはなるべく早めの対応をすることが重要かと思います。
それに加えて、普段の生活ではストレスを抑えることが重要です。