蕁麻疹(じんましん)が出来たのに痒くない。どうすればいい?原因と対処法について解説!
更新日:2025年02月4日
痒くない蕁麻疹(じんましん)とは
蕁麻疹の症状は基本的には痒みを伴います。痒みの感じ方は個人によって異なるため、痒みをほとんど感じない事もあるかもしれません。ただし、痒くない蕁麻疹も、通常の蕁麻疹と比べると珍しいタイプですが存在します。非アレルギー性の蕁麻疹や血管性浮腫と呼ばれるタイプの蕁麻疹では、痒みがないこともあります。
蕁麻疹(じんましん)の症状
蕁麻疹は、突然肌に痒みを伴う赤い腫れが現れる皮膚の症状です。掻いてしまうと、痒みがさらにひどくなり、赤いみみずばれのような線ができることがあります。中には、チクチクした痛みや熱を感じるような症状を訴える方もいます。皮膚の腫れは、サイズや形にばらつきがあり、小さな点のようなものから、地図のように広がったものまでさまざまです。
慢性蕁麻疹では、夕方から夜にかけて起こりやすい傾向があり、翌日には症状が跡を残さず消えてしまいます。しかし、消えたと思ったら別の場所に再び現れることもあり、場合によっては数か月続くこともあります。蕁麻疹は湿疹と異なり、皮膚が乾燥してカサカサしたり、跡が残ったりすることはありません。
痒みが起こる仕組み
蕁麻疹で見られる皮膚の膨らみは、毛細血管の働きによるものです。皮膚の内側にある毛細血管が広がり、その血管から血液中の成分(水分)が外に染み出すことで、皮膚が盛り上がるのです。この現象には、ヒスタミンという物質が大きく関与しています。
ヒスタミンは、皮膚の中にある「肥満細胞」という特定の細胞から放出されます。刺激を受けた肥満細胞がヒスタミンを放出すると、血管を広げるだけではありません。ヒスタミンは、皮膚の知覚神経を刺激し、その結果痒みが生じます。
非アレルギー性の蕁麻疹(じんましん)の種類
非アレルギー性の蕁麻疹は、摩擦や圧迫、寒冷刺激などの物理的な要因によって引き起こされます。一般的には、皮膚に赤みや膨らみが見られ、痒みを伴う場合が多いですが、稀に痒みを感じないケースもあります。
物理性蕁麻疹
物理性蕁麻疹とは、皮膚が特定の物理的な刺激に反応して発症する蕁麻疹の一種です。この蕁麻疹は、たとえば、ひっかく行為や衣類の圧迫による刺激、温度の変化、紫外線や水に触れるといった日常的な要因がきっかけとなります。
コリン性蕁麻疹
コリン性蕁麻疹は、汗をかく際に「アセチルコリン」という神経伝達物質が関与して発症する特殊なタイプの蕁麻疹です。主に入浴後や運動後といった、体温が上昇して発汗する場面で症状が現れるのが特徴です。
この蕁麻疹では、直径3〜5mm程度の小さな赤い膨らみ(膨疹)が多数現れ、場合によってはそれらが連なって見えることもあります。他のタイプの蕁麻疹とは異なり、大きな平たい膨らみになることは少なく、痒みに加えてピリピリ、チクチクとした独特の痛みを伴う場合もあります。
発症する部位は、手のひらや足の裏、わきの下を除いた全身にわたることが多く、特に小児や20代の若者に多く見られる傾向があります。症状は一過性で、膨疹が現れてから数分から2時間以内には自然に消えるものの、再び汗をかくと繰り返し現れることが一般的です。
特発性蕁麻疹
蕁麻疹の中には、はっきりとした原因が特定できないものがあり、これを「特発性蕁麻疹」と呼びます。皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、しばらくして消え、また別の場所に現れることが特徴です。発症から6週間以内のものを「急性蕁麻疹」、それ以上続く場合を「慢性蕁麻疹」になります。
特殊な蕁麻疹(じんましん)、血管性浮腫とは
血管性浮腫とは、皮膚が突然腫れる状態のことを指します。この腫れは体のどこにでも現れる可能性がありますが、特にまぶたや唇、頬といった顔の周りに多く見られます。名称に「血管性」とありますが、実際に血管自体が腫れるわけではありません。
血管性浮腫では赤みや痒みを伴うことが少なく、腫れが引くまでに1〜3日かかる場合があります。一方、蕁麻疹は通常、赤み痒みが強く数時間以内に症状が消えるのが一般的です。
痒くない蕁麻疹(じんましん)への対処方法
痒くない蕁麻疹でも、赤い膨疹は気になるものです。痒くない蕁麻疹への対処方法を以下に紹介します。
原因となっているものを避ける
原因が特定されている場合、その原因となる物質や状況を避けることが基本的な予防策です。寒冷や摩擦といった物理的な刺激が誘因となる場合には、それらの刺激を最小限に抑える工夫をしてみましょう。
生活環境を見直す
症状が悪化する状況やきっかけを考慮し、それに応じた対策を取ることで、症状を予防しやすくなります。たとえば、摩擦が刺激となっている可能性がある場合には、柔らかく着心地のよい衣服を選ぶことで肌への負担を軽減できます。また、寒冷刺激による悪化を防ぐために、脱衣所を暖めて温度差を緩和する工夫も効果的です。空気中の花粉やハウスダストが原因である場合は、空気清浄機を活用したり、小まめに掃除を行って清潔な環境を保つようにしましょう。
患部を触らない
痒くなくても、皮膚に症状が出ている場合、気になるかもしれません。しかし、患部を掻いたりこすったりしないように注意しましょう。掻くことで皮膚が傷つき、症状が悪化したり新たなトラブルを引き起こす可能性があります。
病院を受診する
蕁麻疹やその他の皮膚症状が繰り返し現れたり、症状が重い場合は、早めに病院を受診しましょう。専門医による診察を受けることで、症状の正確な原因を特定し、適切な治療法を提案してもらえます。
痒みの無い発疹で蕁麻疹(じんましん)に似たもの
蕁麻疹と思っていても、なかなか治らない場合は他の病気かもしれません。蕁麻疹に似た病気を以下に紹介します。
薬疹
薬疹とは、薬を服用した後に体が反応して発疹や発熱などの症状が現れる皮膚症状です。多くの場合、薬に対するアレルギー反応として起こります。薬を飲み始めてから数日から数週間後に発症し、発疹や発熱によって気づくことが一般的です。
痒みを伴う場合もあれば、まったく痒みを感じない場合もあります。皮膚に小さな湿疹が現れるケースもあれば、湿疹が広がって融合し、大きな赤い発疹になることもあり症状はさまざまです。発疹だけでなく、のどの違和感や発熱から始まるケースもあり、症状の種類や重さは個人差があります。
帯状疱疹
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。通常、水痘は子どもの頃に水ぼうそうとして発症し、約1週間で治癒しますが、治癒後もウイルスは体内の神経節に潜伏し続けます。
その後、加齢やストレス、過労などが原因で免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが再活性化します。ウイルスが神経を通じて皮膚に到達し、痛みを伴う赤い発疹を引き起こしたものが帯状疱疹です。多くの場合、生涯に一度しか発症しませんが、免疫力が著しく低下している場合には再発することもあります。
症状の現れ方には個人差があり、痒みや痛みを伴わないケースも見られます。痛みがないために気づかないことや、軽症だと考えて放置してしまうと重症化するリスクがあるため、注意が必要です。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が原因で起こる性感染症です。病気の進行は主に3つの段階に分けられます。感染すると、まず性器や口、肛門などにしこりや潰瘍が現れ、リンパ節が腫れることがあります。これが最初の段階です。症状は自然に治まりますが、細菌は体内に潜伏します。
数カ月後には、手のひらや足の裏、全身に赤い発疹が出ることがあります。これが第2期です。これらも痛みや痒みはほとんどなく、自然に消える場合がほとんどです。治療を受けずにいると、数年後に全身の臓器に障害を引き起こし、命に関わる状態に進行することがあります。
毛嚢炎
毛嚢炎(もうのうえん)は、毛穴の奥にある「毛包」という部分に細菌が入り込むことで炎症が起きる皮膚のトラブルです。「毛包炎」と呼ばれることもあります。
最初は毛穴に赤いポツポツとしたできものができ、少し盛り上がるように見えることが特徴です。この段階では、ニキビに似ており、痒みはほとんどありません。気づかないことも多いですが、指で押すと痛みを感じる場合があります。炎症が進むと、赤いできものの中心部分に白い膿がたまります。
蕁麻疹様血管炎
蕁麻疹様血管炎は、蕁麻疹に似た赤みや腫れが現れる皮膚の病気です。この病気は、皮膚の血管に炎症が生じることで発症します。痒みはあまり強くないことが多く、代わりにピリピリとした痛みや違和感を伴う場合があり、まったく症状がない方もいます。
症状が24時間以上続くことが特徴です。症状が治まった後に皮膚に紫色のあざや色素沈着が残ることもあり、関節の痛みやお腹の痛みなど、皮膚以外の体の部分に不調が出ることもあります。
痒くない発疹が気になる場合は放置せず、皮膚科を受診しよう
痒みがない発疹が長く続いたり、痛みや違和感を伴う場合は注意してください。痒みがないからといって軽視すると、重篤な病気のサインを見逃すかもしれません。放置せずに皮膚科を受診しましょう。
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まとめ
蕁麻疹に痒みが伴わない場合、物理性蕁麻疹や血管性浮腫といった蕁麻疹かもしれません。また、薬疹や帯状疱疹など、蕁麻疹以外の病気が隠れている場合も考えられます。自己判断で放置せず、早めに皮膚科を受診しましょう。専門医による適切な診断と治療を受けることで、不安を解消し、症状に対応できます。痒みの感じ方には個人差があります。気になる発疹がある際は、迷わず医療機関を頼ってください。
医師
五藤 良将
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