ストレスが理由で湿疹などの肌トラブルが起こるって本当?原因や対処方法について詳しく解説
更新日:2024年09月26日
この記事では、ストレスが原因で起こる湿疹や肌トラブルの仕組みと、それに対処する方法について詳しく説明します。肌のトラブルに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
ストレスが理由で湿疹などの肌トラブルが起こるって本当?
湿疹や蕁麻疹などの皮膚のトラブルが繰り返し起こる場合、明確な原因が見当たらなくても、日常生活のストレスや体調の変化が影響していることがあります。
ストレスと皮膚トラブルの関係性
ストレスはさまざまな方法で肌に影響を与え、肌荒れを引き起こします。ストレスを感じると、肌が乾燥しやすくなり、外部からの刺激に敏感になります。これが肌荒れの原因です。具体的には、以下のようなメカニズムが関係しています。
女性ホルモンの減少
ストレスを受けると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少します。エストロゲンは肌の潤いを保つため、必要なコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進することが役割です。そのため、エストロゲンが減少すると肌が乾燥しやすくなります。
冷えによる皮膚への負担
ストレスによって代謝機能が低下すると、体が冷えやすくなります。体が冷えると血行が悪くなり、肌に十分な水分が行き渡らなくなり肌の乾燥を引き起こす要因です。
肌のバリア機能の低下
ストレスが溜まると血管が収縮し、肌の温度が下がり、皮膚の新陳代謝が乱れ、肌内部の潤いを保つための成分が十分に作られなくなります。これにより、肌のバリア機能や保水能力が低下し、乾燥しやすくなります。
ストレスと関連が考えられる皮膚疾患
ストレスが原因で起こると考えられている皮膚疾患には、次のようなものがあります。
皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)
皮膚掻痒症とは、見た目には異常がないのに皮膚がかゆくなる状態です。皮膚科を訪れる患者の約1割がこの症状を訴えており、特に女性や高齢者に多く見られます。妊産婦やHIV患者、慢性C型肝炎や尿毒症の患者に多いとされています。
この症状は全身のどこにでも現れ、持続的なかゆみや波のあるかゆみを引き起こすかもしれません。夜間にかゆみが強くなり、眠れなくなることもあります。精神的なストレスが原因で症状が悪化する可能性があることも指摘されています。
皮膚掻痒症の主な原因は、皮膚の乾燥が最も一般的です。皮膚の角層の水分が減少すると、乾燥が進み皮膚病が発生しやすくなります。また、服用している薬や内臓の異常が原因でかゆみが生じることがあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質や皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症です。一般的に、6カ月以上(乳幼児では2カ月以上)続くと慢性と判断されます。主な症状は湿疹とかゆみで、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。かゆみのために掻いてしまうと、湿疹が悪化することがあります。また、かゆみがひどくて眠れないこともあります。
ストレスがアトピー性皮膚炎に影響を与える理由は、長期間のストレスが免疫系の機能を低下させるためです。さらに、ストレスが増えると自律神経のバランスが崩れ、皮膚の乾燥やかゆみを引き起こすことがあります。また、ストレスは暴飲暴食などの生活習慣の乱れを引き起こすことがあり、これが肌に悪影響を与えることもあります。
慢性蕁麻疹
蕁麻疹は、皮膚が突然赤く盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡形もなく消える病気です。この名前は、イラクサ(蕁麻)の葉に触れたときに似た症状が出ることから来ています。通常、痒みを伴いますが、チクチクした感じや焼けるような感覚を伴うこともあります。
個々の皮疹は数十分から数時間で消えることが一般的です。ただし、半日から1日続くこともあります。症状が激しいと、新しい皮疹が次々と現れ、常に皮疹が出ているように見えることもあります。
蕁麻疹は、特定の食品や寒さ、物理的な刺激などが原因です。また、感染症や疲労が原因となることもありますが、ほとんどの場合で明確な原因がわからないまま症状が出ます。最初の症状が出てから1ヶ月以上続くものが慢性蕁麻疹です。
蕁麻疹もストレスが症状を悪化させることがあります。食べ物や物理的な刺激など、明確な原因がある場合はストレスの影響はあまり目立ちません。ただし、慢性的に繰り返す蕁麻疹の場合、心身のストレスが症状を悪化させることが多くみられます。
尋常性ざ瘡(ニキビ)
尋常性ざ瘡、一般的に「ニキビ」として知られるこの病気です。毛根を包む袋状の組織である毛のうに炎症が起こることによって発生します。毛のうには脂腺が付いており、脂を分泌します。特に思春期になると、この脂の分泌が活発になり、毛のうが脂で満たされてしまいます。これが「白にきび」と呼ばれる状態です。
月経前や便秘、ストレス、睡眠不足、不適切なスキンケア、肌の乾燥などは、にきびの原因や悪化要因となることがあります。
ストレスをためないように日常生活の過ごすことが大切
日常生活の中で完全にストレスをなくすことは難しいですが、できるだけストレスを減らすための工夫をすることが重要です。ストレスと上手に付き合うためには、まず日々の生活習慣を整えることが重要です。バランスの取れた食事、質の良い睡眠、そして適度な運動を心がけることで、心身の健康を支える基盤が築かれます。
充分な睡眠や休息をとる
睡眠は健康の基本であり、特にストレスとの深い関係があります。食事や運動は自分の意志である程度コントロールできますが、睡眠は簡単にはできません。十分な睡眠を取らないと、脳の機能が低下し、ストレスに対する耐性が弱くなります。また、集中力が低下し、日常生活にも支障をきたします。
睡眠は、1日中働いてくれた脳を休ませるために必要です。ストレスと戦うためのホルモンは、朝に最も多く分泌され、昼間から夜にかけて減少し、深夜には最低になります。このリズムを考えると、夜遅くまで起きていることは、ストレスに強い身体を作ることとは相反してしまいます。
夕食は残業などで時間が不規則になった場合、深夜に急いで夕食を食べ、満腹のまま寝ると質の良い睡眠が得られません。また、寝る前のカフェインやアルコールは控えましょう。カフェインは覚醒作用が強いため、夜遅くに飲むと眠りにくくなります。アルコールは寝つきを良くしますが、眠りを浅くし、翌日の疲労感を増します。
バランスの取れた食事で充分な栄養をとる
現代人がストレスに弱くなっている原因の一つに、食生活の栄養バランスの乱れがあります。日本の食生活は大きく変わり、欧米化が進んだことで動物性脂肪の摂取が増えました。その一方で、ストレス対策に必要なビタミンやミネラルの摂取が減少しています。
食べ物や食生活だけでストレスの原因を完全に解決することはできませんが、体に必要な栄養素が不足していると、ストレスを感じやすくなったり、ストレスに対する耐性が低下することがあります。つまり、ストレスと食事は密接に関係しているのです。
また、「食べる」という行為は、単に栄養を摂取するだけでなく、緊張を和らげ、精神を安定させる効果もあります。和やかな雰囲気の中での食事は、ストレス解消にも役立ちます。
適度な運動や趣味を楽しむ時間をつくり、心身をリフレッシュする
ストレス解消法として、誰でも効果を実感しやすいのが運動です。運動後には爽快感が得られ、肥満や生活習慣病の予防だけでなく、メンタルヘルスにも良い影響を与えます。
運動をすると、自律神経の交感神経が活性化され、意欲的でポジティブな思考になると言われています。これは、脳内で分泌されるエンドルフィンとセロトニンが関係するためです。エンドルフィンは、ストレスに立ち向かう際に分泌され、気分の高揚や幸福感をもたらします。一方、セロトニンは脳の情報伝達のバランスを整え、心を落ち着かせ、集中力を高める効果があります。不安感や抑うつ感の改善にも役立ちます。
メンタルヘルスを維持するためには、楽しみながら無理なく続けられる運動がおすすめです。体力や運動経験、時間や経済的な余裕を考慮して、自分に合った運動を選びましょう。
症状が改善しない場合は早めに医師に相談しましょう
湿疹やその他の肌トラブルが発生することはよくありますが、自己判断での対処が難しい場合も少なくありません。数週間以上続く場合、かゆみや痛みが増す場合、日常生活に支障をきたす場合には、早めに医師に相談することが大切です。専門的な診断と治療を受けることで、早期に症状を改善し、健康な肌を取り戻せます。
忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ
皮膚トラブルに悩んでいても、忙しくて病院を受診する時間がつくれない場合があります。我慢せずに、オンライン診療を検討しましょう。
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まとめ
ストレスが原因で湿疹や肌トラブルが起こる仕組みと、その対策について説明しました。ストレスが体にどのように影響し、肌に問題を引き起こすのかを理解することで、より効果的な対策が取れます。
ストレス管理や適切なスキンケアを行うことで、肌トラブルを防ぎ、健康な肌を保ちましょう。日常生活の中でストレスを上手にコントロールし、心身ともに健康で過ごすための一歩を踏み出してください。
医師
高藤 円香
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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