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糖尿病による皮膚のかゆみが起こるのはなぜ?原因や対処方法について詳しく解説

監修医師 勝木 将人
更新日:2024年09月1日

更新日:2024年09月1日

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糖尿病は、インスリンがうまく働かないために血液中のブドウ糖が増えてしまう病気です。この状態が長期間続くと、血管が傷つき、心臓病や失明、腎不全などの深刻な病気を引き起こす可能性があります。糖尿病は皮膚の問題とも深く関わっており、多くの方が乾燥やかゆみ、痛みなどの肌トラブルに悩まされています。糖尿病の方に皮膚のかゆみが起こるのはなぜなのでしょうか?

この記事では糖尿病が皮膚のかゆみがおこる原因と対処法について詳しく解説します。糖尿病で皮膚のかゆみに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

糖尿病による皮膚のかゆみが起こるのはなぜ?

糖尿病と皮膚のかゆみにどんな関係があるのでしょうか?その仕組みについてみていきましょう。

なぜ糖尿病にかかると皮膚に症状が出るのか

糖尿病は、インスリンというホルモンが十分に働かないために、血液中のブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンは膵臓から分泌され、血糖値を一定の範囲に保つ役割を果たしています。血糖値が長期間高いまま放置されると、血管が損傷し、心臓病、失明、腎不全、足の切断などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

糖尿病がある方は皮膚のかゆみが生じやすい

糖尿病の方は皮膚が乾燥しやすいことが特徴です。乾燥した皮膚にはかゆみを伝える神経が入り込みやすく、わずかな刺激でも強いかゆみを引き起こすことがあります。ただし、皮膚のかゆみは肝臓や血液の疾患によっても引き起こされることがあるため、糖尿病の方は合併症の確認も大切です。

 

糖尿病の方の皮膚が乾燥しやすい理由として、以下の3つがあげられます。

 

①皮膚の水分が減少する

血糖値が高くなると、皮膚の水分が減少し乾燥しやすくなります。乾燥した皮膚は傷つきやすく、痒みや痛みを引き起こすことがあります。

 

②多尿による脱水

血糖値が高い状態が続くと、身体は余分なブドウ糖を尿として排出しようとします。このとき水分も一緒に失われるため、体が脱水状態になりやすく皮膚がさらに乾燥しやすくなります。

 

③発汗作用の低下

高血糖が続いた場合、自律神経の働きにも影響がでます。自律神経がうまく働かなくなると、汗をかきにくくなり皮膚が乾燥しやすくなります。

糖尿病があると感染症を発症しやすい

糖尿病の方は、いくつかの要因が重なることで感染症にかかりやすくなります。そのため、日常生活のなかで注意が必要です。

 

以下に感染しやすい理由を5つ紹介します。

 

①高血糖による免疫力の低下

血糖値が高いと、身体の免疫反応が弱くなります。体が病気と戦う力が弱まることが感染症にかかりやすくなる理由です。

②末梢循環不全

血液の流れが悪くなることで、組織が酸素不足になり酸素を嫌う細菌が増えやすくなります。また、血流が悪いと、白血球の働きが低下し抗菌薬も効果を発揮しにくくなります。

 

③末梢の感覚低下

手足の感覚が鈍くなるため、小さな傷に気づかず悪化して感染症になることがあります。

 

④自律神経障害

高血糖が続くと自律神経の働きが悪くなることもあり、身体の調整がうまくいかず、感染症に対する防御力も弱まります。膀胱の機能が低下した場合、尿路感染症のリスクが高まります。

 

⑤皮膚や粘膜への細菌の定着

皮膚や粘膜のバリア機能が低下するため、細菌が繁殖しやすくなります。

糖尿病があると水虫になりやすい

水虫は白癬菌というカビが原因で、特に足の裏や指の間に繁殖して起こる皮膚の病気です。糖尿病の方は、白血球や免疫細胞の働きが弱くなり、体が病原菌と戦う力が落ちてしまいます。そのため、真菌が増殖しやすくなり、水虫にかかりやすくなります。

 

糖尿病による神経障害があると、足の感覚が鈍くなったり、血流が悪くなることも水虫になりやすい要因です。これにより、足の皮膚に必要な栄養や酸素が十分に行き渡らず、感染症にかかりやすくなります。また、汗をかきにくくなることもあるため、皮膚が乾燥して傷つきやすくなり、そこから感染が広がることもあります。

糖尿病が引き起こす皮膚の病気

糖尿病による「血管障害」や「神経障害」などにより、以下のような皮膚の病気が現れることがあります。

 

糖尿病性水疱
糖尿病が原因で手や脚に突然水ぶくれができることがあります。これは血管の障害によって起こり、高血糖が続くと身体の抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなるためです。

 

糖尿病性皮膚潰瘍
糖尿病が進行すると、足の指などに皮膚潰瘍ができることがあります。神経障害を併発していることが多く、痛みを感じないため気づかないこともあります。放置すると潰瘍部分が壊死することがあるので注意が必要です。

 

成年性浮腫性硬化症
糖尿病や感染症がきっかけで、顔や首、肩、上半身などの皮膚がむくんで硬くなる病気です。この病気の治療には、原因となる疾患の治療や皮膚に対する光線療法、免疫抑制剤の使用が必要になります。

 

リポイド類壊死症

糖尿病による血管の障害が原因で、皮膚に肉芽腫や脂肪の沈殿、コラーゲンの変性が起こる病気になります。糖尿病の方では、早期に発生することが一般的です。

 

糖尿病性黄色腫
糖尿病が重症化すると、特に20〜30歳代の人に、肘や膝、臀部に黄色や赤褐色の小さな丘疹や結節ができることがあります。これにはかゆみを伴うこともあります。

糖尿病による皮膚病の予防策

糖尿病は皮膚にトラブルが起きやすい病気です。そのため、普段から皮膚のケアを行いましょう。以下にその方法を紹介します。

 

毎日の皮膚チェック

気づかないうちに皮膚の病気が起こっていることがあります。そのため毎日、自分の皮膚をチェックしてください。特に足の裏や指の間など、見落としがちな部分も確認しましょう。乾燥やかゆみ、傷、水虫などがないかをチェックします。

 

保湿ケア

皮膚の乾燥を防ぐために、保湿剤を使ってしっかりとスキンケアを行いましょう。特にお風呂上がりや洗顔後は、保湿剤を忘れずに塗ることが大切です。

 

血糖コントロール

血糖値を安定させることは、皮膚トラブルの予防にもつながります。薬の飲み忘れや服用量の間違いがないように、医師の指示に従ってしっかりと管理しましょう。

 

ケガややけどの予防

ケガややけど、日焼けなどを避けるために、適切な靴を選び日焼け止めを使用するなどの対策を行いましょう。靴擦れや水虫も足のトラブルの原因となるため、通気性の良い靴を選ぶことが重要です。

 

清潔を保つ

皮膚を清潔に保つことも大切です。汗をかいたら早めにシャワーで流し、外出先ではこまめに汗を拭き取るようにしましょう。

 

バランスの取れた食事

栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、たんぱく質やビタミン、ミネラルをしっかり摂ることが大切です。乾燥肌には青魚や緑黄色野菜が効果的です。

症状がつらい場合は医師に相談しましょう

症状がつらい場合や治らない場合は、早めに医師に相談しましょう。糖尿病の管理と適切なフットケアが、皮膚病変の予防と悪化防止に役立ちます。

 

糖尿病の皮膚病変が悪化すると、壊疽(えそ)などの重篤な状態に進行することがあり、最悪の場合、切断が必要になることもあります。そのため、早期発見と早期治療が重要です。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

皮膚のかゆみが気になるけど、忙しくて我慢していることもあるでしょう。病院を受診する時間がつくれない場合には、オンライン診療がおすすめです。

オンライン診療とは

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まとめ

糖尿病による皮膚のかゆみについて、その原因と対処法をわかりやすく説明しました。糖尿病が原因で皮膚がかゆくなることがありますが、適切な血糖値の管理とスキンケアを行うことで、症状を和らげられます。皮膚の健康を保ちながら糖尿病を管理しましょう。この記事が参考になれば幸いです。

 

もし症状が改善しない場合は、自己判断せず専門の医師に相談することをおすすめします。適切な対策を取ることで、より快適な生活を目指しましょう。

コメント 糖尿病は恐ろしい全身合併症を起こす疾患で、そのうちの1つに皮膚症状があります。糖尿病によって皮膚のかゆみや乾燥を引き起こすことは、一般にはあまり知られていませんが、非常に重要な側面です。皮膚は細菌感染のバリアですから、皮膚障害により、感染を起こし、重症になれば足を切り落とす必要があることもあります。糖尿病管理とともに、日常的な皮膚ケアが不可欠です。糖尿病はもちろん治療をすべき疾患ですし、皮膚の変化に気づいた際には感染する前に早期に医師に相談することが重要です。

監修医コメント

医師
勝木 将人

糖尿病は恐ろしい全身合併症を起こす疾患で、そのうちの1つに皮膚症状があります。糖尿病によって皮膚のかゆみや乾燥を引き起こすことは、一般にはあまり知られていませんが、非常に重要な側面です。皮膚は細菌感染のバリアですから、皮膚障害により、感染を起こし、重症になれば足を切り落とす必要があることもあります。糖尿病管理とともに、日常的な皮膚ケアが不可欠です。糖尿病はもちろん治療をすべき疾患ですし、皮膚の変化に気づいた際には感染する前に早期に医師に相談することが重要です。

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監修医師 勝木 将人
所属:燕三条すごろ脳脊髄クリニック/長岡技術科学大学 准教授
専門領域分類:脳神経外科, 神経内科, 麻酔科(ペインクリニック), 医療データ
経歴:2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
所属:燕三条すごろ脳脊髄クリニック/長岡技術科学大学 准教授 専門領域分類:脳神経外科, 神経内科, 麻酔科(ペインクリニック), 医療データ 経歴:2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
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