花粉症は何科を受診したらいいの?通院する基準や治療方法について解説
更新日:2024年07月25日
この記事では、花粉症の症状が現れた際にどの医療機関を受診すべきか、また効果的な治療法について解説します。
花粉症とは
花粉症は、特定の植物の花粉が空気中に広がる季節に発生するアレルギー反応です。スギやヒノキの花粉が主な原因で、これによってくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状が引き起こされます。これらは「季節性アレルギー性鼻炎」と医学的には呼ばれており、日本では約4人に1人が花粉症の影響を受けていると言われています。
花粉症の原因
日本では、特に以下の植物が原因で花粉症が起こります。
これらの植物の花粉は、特定の季節に大量に飛散し花粉症の症状を引き起こす原因となります。花粉症に悩む方々は、時期に注意してください。それぞれの植物に対するアレルギー反応は個人差があり、一部の植物にのみ反応する場合もあります。花粉症の予防や対策をするためには、植物の花粉飛散時期をチェックしましょう。
花粉症症状
花粉症は、目や鼻に影響を及ぼすことが多く、以下のような症状が見られます。これらの症状は、花粉が体の異物として認識されるために起こり排除しようとする免疫反応によるものです。花粉症の症状は人によって異なり、軽い不快感から日常生活に支障をきたすほど重いものまでさまざまです。
【鼻に関する3大症状】
・くしゃみ
花粉が鼻の粘膜に触れると、体はこれを取り除こうとして反射的にくしゃみを引き起こします。
・鼻水
鼻の内部が刺激され、透明な液体が分泌されます。
・鼻づまり
鼻の通り道が炎症を起こし、呼吸が困難になることがあります。
【目に関する3大症状】
・目のかゆみ
花粉が目に入ると、かゆみを感じることがあります。
・充血
目が赤くなり、炎症を起こすことがあります。
・涙
目を保護しようとする反応として、涙が増えます。
【その他の症状】
皮膚のかゆみやのどの痛み、咳や頭痛、頭が重い感じ、微熱、イライラ、食欲不振、下痢など、体の他の部分にも影響を及ぼすことがあります。
花粉症と風邪の症状の違い
体がだるい、鼻水やくしゃみが止まらないとき、それが風邪なのか花粉症なのかを見分けるのは難しいかもしれません。特に、花粉が飛び交う季節は、風邪を引きやすい時期と重なるため注意が必要です。
風邪と花粉症の違い
花粉症は何科を受診したらいいの?
花粉症の症状に対して、どの診療科を受診するかは、症状の種類や重さによって異なります。
1.内科
内科では、手術を伴わない一般的な病気を診察します。花粉症を含むアレルギー症状の治療も行っており、花粉症の検査も可能です。花粉症の疑いがある場合や初めて診療を受ける際には、内科を受診しましょう。
2.耳鼻科
耳鼻科は、耳、鼻、喉の疾患を専門とする診療科です。花粉症によるくしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状がある場合、耳鼻科での診察が適しています。鼻の中を詳しく調べられます。
3.眼科
目のかゆみや充血など、花粉症による目の症状が気になる場合は、眼科での診療を受けましょう。眼科では、目のアレルギー症状を和らげる薬を処方してもらえます。
4.小児科
15歳以下の子どもが花粉症の場合は、小児科を受診してください。子供の体に合った薬の選び方や量を考慮してくれます。
5.アレルギー科
アレルギー科は、花粉症を含むアレルギー症状の専門的な治療を行う診療科です。症状が重い場合や長引く場合には、アレルギー科を受診しましょう。
花粉症は耳鼻科だけでなく内科でも診てもらえる
花粉症は、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなど、主に鼻や目に影響を及ぼしますが、時には喘息のような呼吸器の症状を引き起こすこともあります。花粉症はアレルギー反応が根本にあるため、身体のさまざまな部分に影響を与える可能性があり、内科でも治療が受けられます。
花粉症の検査方法
花粉症かどうか、そして何が原因であるかを判断するためには、以下の検査が一般的に行われます。
【血中IgE検査】
血液を調べて、体内のIgE抗体の量を測定します。これには、体がどれだけアレルギー反応を示しているかを示す総IgEと、特定の花粉に対する反応を示す特異的IgEの両方が含まれます。
【皮膚反応検査】
皮膚に小さな切り傷を入れ、花粉のエキスを塗布して反応を見ます。このテストは、体が花粉にどのように反応するかを直接観察できます。
【鼻粘膜誘発テスト】
鼻の粘膜に花粉エキスを含んだ紙を貼り付け、反応を見ることで、鼻におけるアレルギー反応を評価します。
この他の検査として、目に花粉のエキスを点眼して反応を見るテストや、目や鼻の粘膜からサンプルを採取して顕微鏡で観察する検査もあります。
MAST36
MAST36アレルギー検査は、花粉症や食物アレルギーなど、さまざまなアレルギー疾患に対する反応を調べるための血液検査です。この検査では、一般的なアレルゲン36種類に対する体の反応を、一度の採血で確認できます。
季節性アレルゲンでは、特定の季節に多く飛散するスギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、オオアワガエリ、カモガヤ、ヨモギ、ブタクサの花粉8項目を調べられます。
イムノキャップラピッド
ムノキャップラピット検査は、私たちの周りにあるさまざまな物質に対するアレルギー反応を調べるためのものです。この検査では、指の先からわずかな血液を採取し、その血液中に特定のアレルゲンに反応するIgE抗体が存在するかを確認します。結果はその日のうちに分かるため、早く適切な治療や予防策を行えることがメリットです。
花粉症の治療方法
花粉症の治療には、症状を和らげる方法と、アレルギー反応を根本から改善する方法があります。症状を和らげる治療では、目薬や鼻スプレーを使用して、くしゃみや目のかゆみなどを一時的に抑えます。一方、根本的な治療としては、免疫療法があり、これは体が徐々に花粉に慣れるようにする治療法です。
薬物療法
薬物療法として舌下免疫療法という新しいタイプの治療法があります。アレルゲンを直接舌の下に置くことで、体が徐々にその物質に慣れアレルギー反応を起こしにくくします。この治療は毎日自宅で行い、3年から5年の間続けることでアレルギーの根本的な改善を目指す方法です。
アレルゲン免疫療法
抗体療法は、アレルギーの原因となる物質に働きかける新しいタイプの治療法です。細胞から取り出した特別なたんぱく質を使って、アレルギー反応を引き起こす物質をブロックします。普通の薬とは違って、注射で身体に入れないといけません。
この治療法では、アレルギー反応そのものを起こさせないようにするために、アレルギー反応を引き起こすIgEというタンパク質をブロックします。つまり、アレルギーが発生する前に、その可能性をシャットダウンするわけです。
手術療法
アレルギー性鼻炎に対する手術は、主に3つの方法があります。症状や重症度に合わせて、医師と相談の上で決めていきます。
・鼻粘膜変性手術
レーザーを使って鼻の粘膜を処理し、花粉などのアレルゲンに反応しないようにする手術です。これにより、鼻詰まりも改善される効果があります。ただし、効果は永続的ではなく、1〜2年で元の状態に戻ることがあります。
・鼻腔形態改善手術
鼻の構造を変えることで、鼻詰まりを解消する手術です。重度の鼻炎で、他の治療法では改善が見られない場合に適しています。
・鼻漏改善手術
レーザー治療では効果がなかった重度の鼻水に対する新しい手術方法です。鼻の内部の神経の一部を切断することで、鼻水の分泌を抑制します。
これらの手術は、「アレルギー性鼻炎を治す」というよりは、アレルギー反応を起こしにくくする、または起こっても症状が軽減されるようにするためのものです。
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まとめ
花粉症は、鼻水や目のかゆみなどの症状で私たちの生活の質を下げることがあります。しかし、どの科に受診すべきか、どのような治療が効果的かを知ることで、症状を緩和できます。早めの対策と継続的なケアが、花粉症による不快感を軽減するためには必要です。
時間がなくて病院に行けない場合でも、オンライン診療を利用することで、医師の診察を受けたり、薬を処方してもらったりすることが可能です。これにより、忙しい日々の中でも花粉症の症状をコントロールすることが容易になります。
医師
勝木 将人
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専門領域分類:脳神経外科, 神経内科, 麻酔科(ペインクリニック), 医療データ
経歴:2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
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