ピルを飲んでいるのに排卵痛が辛い、、その原因と対処法とは?
更新日:2024年05月23日
排卵痛は低用量ピルを服用することで抑制できると言われています。改善される方がいる一方で、治らない痛みに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なかなか治らない痛みの原因は、排卵痛ではなくピルの副作用や婦人科系の疾患が原因かもしれません。そこで今回は、ピルを飲んでいるのに排卵痛が起こる原因と対処法について解説していきます。なかなか治らない下腹部の痛みに悩まされている方は、ぜひ最後まで読んでいただき自身に当てはまりそうか確認してみてください。
排卵痛ってどんな痛み?
排卵痛とは、排卵の日または前後1〜2日間にみられる腹痛のことです。
卵子が卵巣の壁を破って外に排出される現象を「排卵」といい、破れた卵巣からそこに含まれる液体と血液が流れ出て、腹膜を刺激することで痛みが生じます。
生理周期が28日の方の場合、生理開始日から約14日ほどで排卵が起こるといわれています。
通常、排卵後の2〜3日ほどで排卵痛は治るものです。もし4日以上過ぎても痛みが続く場合は別の原因が考えられるため、速やかに婦人科の医師に相談しましょう。
そもそもピル服用中の排卵はどうなるの?
低用量ピルを服用し始めると、有効成分であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の影響で排卵が抑制されます。以下で低用量ピルの飲み方と排卵の関係性について説明します。
ピルの飲み方と排卵の関係性
卵胞が卵子を放出する以前に低用量ピルを服用し始めれば、排卵の抑制が可能です。一方で、卵胞が卵子を放出できるほど成長している場合、そのタイミングで低用量ピルを飲んだとしても排卵が始まってしまいます。
卵胞の成長を抑えるためには、生理開始日もしくは5日目までに低用量ピルを服用するとよいでしょう。
また、以下の期間やタイミングで飲み忘れた場合、排卵が完了してしまう可能性が高いです。
ピルを正しく服用していれば排卵や排卵痛が起こることはない
ピルを正しく服用できていれば、排卵や排卵痛が起こることはありません。
なぜなら、ピルにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンが含まれており、排卵を抑制してくれるからです。
ピルの服用で排卵が抑制されるまでの流れは以下の通りです。
①ピルを服用(卵胞ホルモンと黄体ホルモンが体内に取り込まれる)
②脳が子宮内の環境を月経前の「黄体期」と勘違いする
③脳から卵胞刺激ホルモンが放出されず卵胞の成長を抑制する
④卵胞が成長しないため、卵子が育たず排卵が起こらなくなる
排卵が起こる前にピルを服用できていれば、上記のように排卵を抑制できます。排卵が起こらなければ排卵痛も生じないため、ピルを正しく服用できれいれば排卵痛を予防できるのです。
ピルを飲んでいるのに排卵痛が生じる原因
ピルを飲んでいるのに排卵痛が生じる原因は、以下の4つが考えられます。
・ピルの副作用の場合
・排卵が起こった場合
・血栓症が発症した場合
・婦人科系疾患がある場合
以下で詳しく確認していきましょう。
ピルの副作用の場合
排卵痛のように感じている痛みが、ピルの副作用によって起こっている場合があります。
ピルには腹痛や下腹部痛を生じさせる副作用があり、特に飲み始めの時期に見られる可能性が高いです。1〜2ヶ月間、ピルを飲み続けると副作用が落ち着く場合があるため、様子を見てみるとよいでしょう。
もし下腹部痛などが続く際は、婦人科のあるクリニックや病院で医師に相談してみてください。
排卵が起こった場合
すでに排卵が始まっていた場合、たとえピルを飲んでいたとしても排卵痛が生じる可能性があります。特にピルを服用する第1週の最初や第3週の最後に飲み忘れがある、2日以上ピルを飲み忘れている場合は要注意です。
また、嘔吐や下痢などで体外に排出されている場合、ピルの有効成分が十分に吸収されていないケースがあります。その結果、排卵が起こってしまい、排卵痛につながってしまうのです。
血栓症が発症した場合
ピルの副作用として血栓症がありますが、血栓が生じる場所によっては激しい痛みを伴います。血栓症とは、血のかたまりである血栓が血管につまってしまう疾患です。ピルの服用開始から3ヶ月以内に生じるといわれています。
実際に発症するケースは稀ですが、重篤な後遺症の原因となる注意すべき疾患です。「きっと排卵痛だろう」と放っておかず、気になる痛みの場合は医師に相談しましょう。
婦人科系疾患がある場合
婦人科系の疾患がある場合も、排卵痛に近い下腹部の痛みが生じます。
婦人科系疾患の代表例は以下の通りです。
・子宮内膜症
・子宮筋腫
・子宮頸がん
・子宮体がん
・卵巣腫瘍 など
これらの婦人科系疾患が痛みの原因になっている可能性もありますので、気になる場合は病院やクリニックで検査を受けましょう。
ピルを飲んでいるのに排卵痛が起こった時の対処法
ピルを飲んでいても排卵痛が起こってしまった時の対処法を4つご紹介します。
・別の避妊法を併用する
・アフターピルを服用する
・ピルの種類を変える
・病院に行く
排卵痛が起こっている場合、別の避妊方法を試しつつ医師に相談するのが賢明です。
以下で対処法を解説していますので確認していきましょう。
別の避妊法を併用する
下腹部に痛みが生じている場合、すでに排卵が始まっている可能性があります。
排卵が始まってしまうと、ピルを飲んでいても妊娠してしまうことがあるため、避妊具の装着などで対策をしましょう。
ピルも含めた各種避妊法での妊娠確率は以下の通りです。
参考:Contraceptive Technology,20 ed., Ardent Media, 2011 Table3-2
※理想的な使用:選んだ避妊法を正しく続けて使用しているにも関わらず妊娠してしまった場合
※※一般的な使用:選んだ避妊法を使用しているにも関わらず妊娠してしまった場合(経口避妊薬については、のみ忘れを含めた場合の失敗率)
どの避妊方法も、避妊しない場合と比べて大幅に妊娠確率を抑えられるため、妊娠したいタイミングでなければ活用を推奨します。
特にコンドームは、他の避妊方法に比べて安価で手に入る点が魅力です。
コンドームは低用量ピルと比べても1/10以下の値段で購入でき、年間使用回数も各避妊方法の中で一番多いことがわかります。まずはコンドームを使用して避妊に努め、より避妊の効果を高めたい方は他の避妊方法も検討しましょう。
アフターピルを服用する
低用量ピルの効果が期待できない場合、不安な方はアフターピルの服用がおすすめです。
アフターピルとは緊急で使用できる避妊薬で、望まない性交渉や避妊に失敗してしまった場合に用いられます。性行為後から72時間以内に服用すると避妊の効果が高いため、避妊に失敗した可能性がある時に服用を検討するとよいでしょう。特に、以下の状況で避妊に失敗した場合は服用をおすすめします。
・2日以上連続でピルを飲み忘れている場合
・休薬期間が7日を超える場合(飲み忘れが第1週の最初または第3週の最後)
ピル以外の避妊方法を試しつつ、上記のような状況で不安を感じる方はアフターピルを服用してみてはいかがでしょうか。
ピルの種類を変える
ピルの副作用で排卵痛が生じている場合は、医師と相談して処方してもらうピルの種類を変更してもらいましょう。処方してもらっているピルが体に合っていない可能性もあり、医師に症状を相談すれば別のピルを処方してもらえるはずです。
以下は日本で処方してもらえるピルの一例になります。
10種類以上のピルの中から自身に合ったものが見つけられれば、排卵痛のような副作用が緩和できるかもしれません。今服用しているピルが合っていないと感じる場合は、病院やクリニックを受診し、他のピルを試せないか医師に相談してみましょう。
病院に行く
排卵痛が治らない場合、婦人科がある病院やクリニックを受診しましょう。痛みの原因がピルの副作用や子宮内膜症などの病気の可能性もあります。痛みが強く、2〜3シート服用していても痛みが改善されない場合は病院やクリニックを受診しましょう。
不安な場合は医師に相談を
排卵痛のような下腹部に痛みを感じる際には、早急に医師へ相談しましょう。
ピルの副作用は排卵痛だけでなく、血栓症やアナフィラキシーのような重度の副作用が見られるケースもあります。
痛みだけでなく、気になる症状が見られた際には専門知識を持った医師への相談がおすすめです。
とはいえ、対面での受診に抵抗を感じる方も少なくないでしょう。そんな時にはオンライン診療も一つの選択肢になります。病院やクリニックに直接行かずに診察が受けられますので、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
排卵痛は低用量ピルを服用することで抑制できるといわれていますが、別の原因で痛みが生じている可能性があります。
なかなか治らない痛みの原因は、排卵痛だけでなくピルの副作用や婦人科系の疾患が原因の場合もあるため、早急に病院やクリニックを受診するとよいでしょう。
SOKUYAKUオンラインクリニックでは、ピルのオンライン診療に対応しております。服用についてや、服用中の不安点についてもご相談いただけます。
受付時間:平日10:00~19:00
医師
馬場 敦志
この記事には医師による認証マークである「メディコレマーク」が付与されています。
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※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。
排卵痛以外にも、月経症状(月経痛や過多月経)や月経周期にともなう症状を緩和する効果があります。
気軽に受診して、ピルを安全に使用可能か、医師と相談するようにしましょう。