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ピルの服用で乳がんのリスクが上がるって本当?理由やピルの副作用について徹底解説

監修医師 阿部 一也
更新日:2024年05月25日

更新日:2024年05月25日

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「ピルを服用すると乳がんのリスクが高くなる」と聞いたことがある方もいるでしょう。低用量ピルを服用している方は、乳がんのリスクを心配されている方も少なくないはずです。

この記事では、ピルの服用と乳がんの発症リスクの関係性や、ピルと乳がん以外のがんとの関係性などをご紹介します。

ピルと乳がんの関係性

乳がんを患う女性の数は、近年増加傾向にあります。また、避妊や生理痛の軽減、生理不順の改善などのために、若い女性を中心に低用量ピルを服用する方も増えてきています。

 

乳がんは、女性ホルモンであるエストロゲンが関係していることがわかっています。また、エストロゲンが含まれている低用量ピルが、乳がんの発症リスクに影響を与える可能性があるという報告もあります。

 

乳がんの種類や進行レベルによって、ピルが与える影響が異なるため、それぞれについて詳しく紹介していきます。

乳がんの発症リスクをわずかに上げる可能性がある

一部の研究では、エストロゲンが含有されているピルを長期間服用すると、乳がんの発症リスクがわずかに上がるという報告がされています。

 

患者さんのための乳癌診療ガイドラインにも、ピルの使用により乳がん発症リスクはわずかながら高くなる可能性があると記載されています。

 

乳がんの発症とエストロゲンは関係していることはわかっています。ピルなどエストロゲンが含まれている薬を服用すると、体内のエストロゲン量が増加します。このような状況では、何らかの発がん刺激によって傷ついた細胞が、エストロゲンの影響を受けてがん化しやすいと考えられています。

 

また、別の研究では、ピルの服用期間が長くなればなるほど、乳がんの発症リスクが高くなるという報告もあります。

 

ただし、ピル服用による乳がん発症のリスクの上昇はわずかであり、その他の乳がん発症要因の影響に比べると小さいとも考えられています。

ピルの種類によってはリスクが増加しないことも

ピル服用による乳がん発症のリスクは、ピルの種類によっても異なるといわれています。

 

デンマークの研究では、エチニルエストラジオールの含有量が30μgのピルは、乳がんの発症リスクをわずかにあげるが、含有量が20μgのものは乳がん発症リスクの上昇は認められないという報告がされています。

 

また、ピルの種類によっては、乳がん発症リスクをむしろ減らす可能性がものもあるという研究報告もあるのです。ピルの服用によって得られる利益と乳がん発症リスクの上昇を考えて、使用を決めることが大切です。

乳がんの治療中はピルの服用ができない

エストロゲンや黄体ホルモンは、がん細胞の分裂促進や再発リスクを高めるとかんがえられています。そのため、乳がん患者や乳がん治療後5年以内の方は、エストロゲンや黄体ホルモンを含む薬の使用は制限されているのです。

 

低用量ピルを服用すると、含まれているエストロゲンや黄体ホルモンの働きで排卵と子宮内膜の成長が抑制されることで避妊効果を得られます。低用量ピルは、避妊以外にも生理痛の緩和や生理周期の調整などの効果が期待できますが、乳がん発症のリスクをわずかに上昇させるとも考えられているのです。そのため、乳がん患者や乳がん治療後5年以内の方は、がん細胞の分裂促進や再発予防から、低用量ピルの服用が制限されています。

 

しかし、乳がん治療から5年以上経過すれば、ピルを服用することで得られる利益の方が乳がん再発率が上昇するリスクよりも大きいと考えられるため、医師の指導のもと低用量ピルを服用できるようになります。

ピルと乳がん以外のがんの関係性

ここでは、ピルと女性特有のがんとの関係性を紹介します。ピル服用により発症リスクを高めるがんや逆に低くするがんがあると考えられています。

卵巣がんのリスクを下げる

卵巣がんの発症には、性腺刺激ホルモンや男性ホルモン(アンドロゲン)の過剰分泌と排卵による炎症が関係していることが知られています。

そのため、低用量ピルを服用することで排卵回数を減少させ排卵に伴う炎症を軽減させれば、卵巣がんの発症リスクが下がるといわれているのです。また、排卵の抑制は卵巣組織の負担軽減にもつながります。

子宮体がんのリスクを下げる

卵胞ホルモン(エストロゲン)値が高いと、子宮内膜増殖症を経て子宮体がんを発症するリスクが高くなることがわかっています。低用量ピルに含まれている黄体ホルモン(プロゲステロン)は、抗エストロゲン作用があるため、低用量ピルの服用は子宮体がんのリスクを低下させるといわれているのです。さらに、低用量ピルを服用する期間が長いほど、子宮体がんの発症リスクが低下することや、20年以上経過しても子宮体がんの発症リスクを低下させるという多くの研究報告があります。

 

違う研究では、発症率だけではなく、低用量ピルを服用すると子宮体がんによる死亡率を低下させると報告されています。コホート研究において4年服用すると0.42に低下し、4年以上の服用では死亡が0になったという報告があります。

 

参考:低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン

ピルの服用に関係なく定期的に乳がん検診は受けましょう

近年、乳がんを患う方が増えてきていること、乳がんは初期の段階では自覚症状が乏しく気づきにくいこと、乳がんは早期治療をすれば治りやすいことから、低用量ピルを服用していない方も、定期的に乳がん検診を受けましょう。

 

乳がんの発症リスクが高まる要因は多岐に渡り、低用量ピルの服用が直接的に発症リスクを高めるとは考えられていません。

 

すべての方が定期的に乳がん検診を受けることが、自分の命を守ることにつながることを理解することが大切です。

少しでも不安な方は医師に相談を

低用量ピル服用による乳がんリスクの上昇や定期検診で再検査になった、気になることがあり誰かに質問したいなどの方は、1人で悩まずに医師に相談するようにしましょう。

 

医療機関に来院するのが難しい方には、オンライン診療がおすすめです。場所や時間の制約を受けずに、自分の空いている時間を利用してオンラインで医師の診察や処方が受けられます。オンライン診療は、通院にかかる交通費や待ち時間のロスなどもないため、おすすめの診療方法です。

まとめ

ピルを服用することと乳がんの発症リスクの関係や他のがんとの関係などを解説しました。

 

低用量ピルを服用すると、わずかですが乳がんの発症リスクが高くなるといわれています。しかし、まだわからないことが多く、今後の研究結果を待たなければいけない状況です。

 

乳がんは、早期治療をすれば治りやすいがんのため、定期的に検診を受けてできるだけ早く発見することが大切です。

 

SOKUYAKUオンラインクリニックでは、ピルのオンライン診療に対応しております。

コメント 日常的にピルを使用し、体調よく安心して過ごしていても、やはり副作用や関連する疾患が気になることはあると思います。乳がんにおいてもその一つでは無いでしょうか。『ピルを使用していると乳がんのリスクがわずかに上昇する』、わずかと言われても上昇すると書かれると心配や不安があると思います。ピルを使用していても、皆さんが必ず乳がんになるわけではありませんし、日頃から意識して自身でも乳房の触診をしてみたり、1年に1回は乳がん検診を行うなどすれば、万一乳がんの疑いとなったとしても早期に発見・治療が可能と思います。また乳がんのリスクを少しでも下げるために使用するピルの種類も検討するのは良いと思います。ピルの種類を検討するのは、専門的でもありますので、その場合は是非医師に相談をご検討下さい。

監修医コメント

医師
阿部 一也

日常的にピルを使用し、体調よく安心して過ごしていても、やはり副作用や関連する疾患が気になることはあると思います。乳がんにおいてもその一つでは無いでしょうか。『ピルを使用していると乳がんのリスクがわずかに上昇する』、わずかと言われても上昇すると書かれると心配や不安があると思います。ピルを使用していても、皆さんが必ず乳がんになるわけではありませんし、日頃から意識して自身でも乳房の触診をしてみたり、1年に1回は乳がん検診を行うなどすれば、万一乳がんの疑いとなったとしても早期に発見・治療が可能と思います。また乳がんのリスクを少しでも下げるために使用するピルの種類も検討するのは良いと思います。ピルの種類を検討するのは、専門的でもありますので、その場合は是非医師に相談をご検討下さい。

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監修医師 阿部 一也
板橋中央総合病院 医長 専門領域は、産婦人科 経歴として、東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業、現在は板橋中央総合病院勤務 保有免許・資格は日本産科婦人科学会専門医
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