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オンライン診療の診療報酬や算定要件について分かりやすく解説!

監修医師 中路 幸之助
更新日:2024年05月16日

更新日:2024年05月16日

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診療報酬の改定により、オンライン診療の再診料と外来診療の料金が変更されました。この記事では、2022年の診療報酬改定におけるコロナ特例措置についての対応を詳しく説明します。

オンライン診療とは

オンライン診療(遠隔診療)は、スマートフォンやタブレット、パソコンを用いたビデオ通話を通じて、予約から問診、診察、処方、そして決済までをインターネット上で行う医療手法です。厚生労働省が2018年3月に発表した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、次のように定義されています。

 

「遠隔医療のうち、医師―患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムに行う行為」

 

現時点では、国内外で様々なオンライン診療サービスが展開されており、今後ますます注目を集めるであろうと考えられています。

2022年診療報酬改定における0410対応に関わる対応

2022年の診療報酬改定におけるコロナ特例措置(0410対応)についての基本的なアプローチと、2022年の診療報酬改定と0410対応の関連について説明します。

基本的な考え方

新型コロナウイルス感染者への対応に関連する、これまでの診療や成果に関わる事柄は今後も継続されます。さらに、令和4年の診療報酬改定で新たな改定項目ごとに経過措置が設けられたことにより、令和2年度の診療報酬改定における経過措置は終了しました。

2022年診療報酬改定と0410対応の関係性

2022年3月に発表された「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて(その67)」では、医療機関は0410対応(電話診療可能 (なお、現在は電話診療は不可です)で、施設基準の届け出が不要)、もしくは診療報酬ルールに則る(電話診療不可で、施設基準の届け出が必要)、いずれかを選択できるとされました。

このため、施設基準の届出を行っていない医療機関が、電話や他の情報通信機器を使用してオンライン診療を行った場合、初診時の診療報酬点数は、0410対応である214点で低い評価となりました。一方、診療報酬ルールに従った場合は251点となりました。

そのため、厚生労働省が定めた診療報酬ルールに従って、施設基準の届出を行い、初診からのオンライン診療報酬を251点と見込むことが重要でした。

なお、再診医療報酬は0410対応でも診療報酬ルールでも73点でした。

次に、情報通信機器を使用した再診評価の新規設定と再評価について詳しく説明します。

情報通信機器を用いた初診に係る評価の新設・見直し

『令和4年度診療報酬改定』にて、情報通信機器を使用した診療に係る評価の新設と見直しがされました。

新設・見直しが行われた項目は以下の2つです。

情報通信機器を用いた初診に係る評価の新設

初診

『オンライン診療の適切な実施に関する指針』の改訂に基づき、新たな評価が導入されました。情報通信機器を使用した場合の初診料は、251点となりました。

施設基準の届出は引き続き必要ですが、オンライン診療の評価における条件として、算定数が全体の1割以下、患者様の自宅と医療機関との距離が概ね30分以内という制約は撤廃されました。

再診

新型コロナウイルス感染症に関連する特例的な措置の実施状況を考慮し、評価方法が見直されました。これにより、従来のオンライン診療料が廃止され、情報通信機器を使用して再診を行った場合の評価が新たに導入されました。再診料と外来診療料はそれぞれ73点で設定されました

施設基準の届出は引き続き必要ですが、オンライン診療の評価における条件として、算定数が全体の1割以下であることや医療機関と患者様の自宅との距離が概ね30分以内である必要はなくなりました。

対象患者や各種条件

保険医療機関で初診を行う場合

初診が保険医療機関で行われた場合に算定が可能です。

厚生労働大臣が定める施設基準に合致し、地方厚生局長に届出がされた保険医療機関については、251点が算定されるようになりました

情報通信機器を用いた診療を行う場合

厚生労働省の『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に基づき、情報通信機器を活用した診療を行った場合に評価が可能です。診療録には、診療内容や日時、時間などの要点を記載する必要があります。

情報通信機器を用いた診療を行う場所

情報通信機器を利用した診療は、原則として保険医療機関に所属する医師が保険医療機関内で実施することが求められます。

もし保険医療機関外で診療が行われる場合は、『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に沿って診療が行われることが求められます。その場合、診療が行われた場所は事後に確認可能な場所である必要があります。

緊急時の対応

緊急時には、基本的にはオンライン診療を実施した保険医療機関が対応することになります。

なお、休日や夜間など、その保険医療機関が対応できない場合は、事前に患者様に受診可能な他の医療機関を説明しておかなければなりません。

また、患者様の診療録には、事前に受診可能な医療機関を患者に説明した上で、以下の情報を記載しておくよう求められています。

 

・かかりつけ医がいる場合は当該医師が所属する医療機関名

・かかりつけ医がいない場合は、対面診療により診療ができない理由、適切な医療機関としての紹介先の医療機関の情報、紹介方法、患者の同意

体制整備

『オンライン診療の適切な実施に関する指針』によれば、対面診療とオンライン診療を適切に組み合わせて行うことが要求されています。

特に、急病や急変時など、患者の状況に応じて適切に対処できるように、他の医療機関との連携体制を整えることが重要です。

指針に沿った管理

厚生労働省の『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に基づいて診療を実施し、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」を踏まえ、その診療が指針に適合した適切なものであったことを、診療録や診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。

また、お薬を処方する場合には、『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に沿って処方を行い、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」などの関係学会が定める診療ガイドラインを踏まえ、処方内容が適切であることを確認し、診療録や診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。

まとめ

この記事では、オンライン診療の算定要件について以下の内容で説明しました。

・新設や見直しが行われた項目

・算定要件

オンライン診療に関連する評価が新たに設定されたり、見直しが行われたことで、算定可能な項目が増えました。

評価の新設や見直しは今後も行われていくと考えられるため、オンライン診療を導入する際には常に最新の情報を確認することが必要です。

なお、この記事では全ての項目を網羅していないため、詳細については個別改定項目(chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000905284.pdf)のP278以降を参照してください。

 

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コメント 今回施行される2024年の厚労省医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進は、オンライン資格確認によるマイナンバー保険証を用いたオンライン診療の整備点数加算(8点)、救急・在宅医療でのオンライン診療やへき地等における医師と看護師同席での患者のオンライン診療など「患者の医療介入の機会の増加」、医療現場での「業務の効率化」、および「医療費の削減」につながる医療従事者・患者双方に有益な改定であると考えます。しかし、今後「セキュリティーの問題(個人情報の厳重な管理体制)」やデジタル技術に不慣れな高齢者などが取り残される「デジタル格差」、「リテラシーの問題(高度なIT専門知識に医療従事者がついていけない)」などの克服していかねばならない問題もあり、今後の推移を慎重に見守る必要があると考えます。

監修医コメント

医師
中路 幸之助

今回施行される2024年の厚労省医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進は、オンライン資格確認によるマイナンバー保険証を用いたオンライン診療の整備点数加算(8点)、救急・在宅医療でのオンライン診療やへき地等における医師と看護師同席での患者のオンライン診療など「患者の医療介入の機会の増加」、医療現場での「業務の効率化」、および「医療費の削減」につながる医療従事者・患者双方に有益な改定であると考えます。しかし、今後「セキュリティーの問題(個人情報の厳重な管理体制)」やデジタル技術に不慣れな高齢者などが取り残される「デジタル格差」、「リテラシーの問題(高度なIT専門知識に医療従事者がついていけない)」などの克服していかねばならない問題もあり、今後の推移を慎重に見守る必要があると考えます。

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監修医師 中路 幸之助
医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター 専門領域はアレルギー・膠原病内科, 神経内科, 消化器内科, 血液内科, 肝胆膵内科, 呼吸器内科, 総合内科, 感染症科, 循環器内科, 腎臓内科, 内分泌代謝科, 糖尿病内科, 内科 経歴:1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。 主な研究内容・論文として、カプセル内視鏡 消化器内視鏡 消化器病 保有免許・資格は、米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医 日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医 日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医
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