ユリーフ錠(シロドシン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月19日
ユリーフ錠について理解することで前立腺肥大症についても知ることができます。今回は、ユリーフ錠の成分や効果、副作用など解説していきます。
ユリーフ錠(シロドシン)とは
ユリーフ錠は、キッセイ薬品工業株式会社が創製してから、第一三共株式会社と共同開発、共同販売する前立腺肥大症に排尿障害の治療薬です。2009年に販売が開始され、嚥下が困難である患者さんに対して服薬コンプライアンスを向上させるために2016年にユリーフOD錠が販売されました。
従来の前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬に比べると血管系への副作用が少なく、前立腺に多く存在するα1Aアドレナリン受容体を選択的に遮断することが特徴です。
ジェネリック医薬品が存在する
ユリーフ錠(シロドシン)にはジェネリック医薬品が存在します。ジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分を同じ量を配合しているため効能も一緒ですが、薬剤費が安く抑えられています。新薬を開発するためには数百億円の費用と10数年の歳月がかかり、特許が設けられるため新薬を独占して販売できます。
しかし、特許には期間があり、特許が切れると他の製薬会社が製造、販売できます。ジェネリック医薬品の薬剤費が安く抑えられる理由として開発費というコストを削れるからです。ジェネリック医薬品に変更したい場合には医師や薬剤師に相談してください。
ユリーフ錠(シロドシン)の成分について
ユリーフ錠(シロドシン)は、選択的α 1A受容体遮断薬に分類されている医薬品です。α1受容体は体内の交感神経に関わる受容体で、血圧の上昇に関わる受容体です。こちらでは、α1受容体について解説します。
α 1受容体とは?
α1受容体は、交感神経が作用する受容体の一種で刺激を受けると血管が収縮し、血圧を上昇させる作用があります。そのため、α1受容体を遮断すると血圧が低下します。また、α1受容体には血圧上昇以外にも役割があります。
α1受容体は尿道にも存在する
α1受容体は前立腺や尿道にも存在します。前立腺肥大症は、加齢などの理由によって前立腺が肥大して尿道が狭くなることで尿が出にくくなり、残尿感や頻尿などの症状があらわれます。
前立腺や尿道に存在するα1受容体の働きを阻害することで平滑筋が前立腺が縮小し、尿道が広がるので排尿しやすくなります。ユリーフ錠は、前立腺および尿道に存在する多く存在するα1A受容体に選択的に結合することで血圧低下などの副作用が比較的少なくなっています。
ユリーフ錠(シロドシン)はどんな症状に効果がある?
前立腺肥大症に伴う排尿障害に使用されます。
ユリーフ錠(シロドシン)の用法・用量は?
通常、成人にはシロドシンとして1回4mgを1日2回朝夕食後に経口投与します。症状によって適宜増減できます。
ユリーフ錠(シロドシン)の副作用
ユリーフ錠(シロドシン)の臨床試験を受けた患者さんのうち44.8%に副作用が報告されています。
主なものとして射精障害(逆行性射精など)17.2%、口渇は5.7%、下痢4.0%、軟便は3.9%、立ちくらみ3.6%、鼻閉3.3%、めまい2.6%、ふらつき2.5%、頭痛2.2%が報告されています。
検査値異常は21.7%報告され、トリグリセリド上昇は7.4%、CRP上昇3.9%、ALT上昇2.3%、AST上昇2.2%、γ-GTP上昇2.2%がありました。
重大な副作用として0.1%未満の頻度で、失神、意識喪失、肝機能障害、黄疸が報告されています。医薬品を使用して体調変化などがあれば、使用を注意して医療機関へ受診してください。
ユリーフ錠(シロドシン)に関する注意点
ユリーフ錠(シロドシン)を使用するためにいくつか注意点があります。ユリーフ錠の注意点を理解することで安全に使用することができるので知っておく必要があります。
射精障害
ユリーフ錠を使用することで44.8%の患者さんで射精障害が報告されています。射精障害が起きる理由として下部尿路組織平滑筋に存在するα1受容体を遮断することで尿路平滑筋が弛緩して射精時に精液が膀胱に逆流することがあります。
また、精嚢や精管にもα1受容体が分布しているのでα1受容体が遮断されることで精管の収縮が抑制され、うまく射精できないことが考えられます。
低血圧
α1受容体を遮断することで血管が弛緩して血圧が低下します。ユリーフ錠は比較的に前立腺や尿道への選択性が高いですが、起立性低血圧があらわれることが報告されています。めまいやふらつきなどが起こることもあるので自動車の運転や危険な作業をするときには注意が必要です。
女性への処方は注意
基本的に女性には前立腺が存在しないのでユリーフ錠が女性に処方されていた場合には確認が必要です。女性の方が頻尿で診察を受けて処方箋にユリーフ錠(シロドシン)の記載があれば医師、薬剤師に相談してみたほうがいいでしょう。
α1受容体遮断薬を女性の排尿障害に使用することは基本的にはないですが、神経因性膀胱排尿障害にはエブランチル(ウラピジル)がα1受容体遮断薬でも女性に使用されることがあります。
あくまでも対症療法
前立腺肥大症による排尿障害は前立腺腺腫によるものと前立腺平滑筋が過剰に収縮することで起こるものがあります。ユリーフ錠は、α1受容体を遮断することで前立腺による尿道の閉塞を緩和できますが、前立腺腺腫を改善できません。
前立腺腺腫の状態によっては薬物療法ではなく外科的治療のよって切除が必要になることがあるので医師と相談したほうがいいでしょう。
高齢者への投与について
高齢者は、若い人に比べると腎臓や肝臓などの医薬品の排泄、代謝に関わる生理機能が低下しているので副作用があらわれる可能性が高くなります。そのため、高齢者の場合には低用量から投与開始することが推奨されています。
ユリーフ錠(シロドシン)と同じ成分の市販薬はある?
年齢が高くなるごとに頻尿などの排尿障害がおきる可能性が高くなります。男性では前立腺が肥大するリスクも高くなるので泌尿器科へ定期的に診療を受けた方がいい場合もあります。
しかし、病院や薬局へ通ったり、待ち時間があったりするので頻尿などの初期症状であれば市販薬で対応することで待ち時間を減らしたいと考える方もいるでしょう。
仕事や介護、育児などで忙しい方にもメリットがあります。ユリーフ錠(シロドシン)と同じ成分の市販薬はあるのでしょうか?
同じ成分の市販薬は存在しない
残念ながら、ユリーフ錠(シロドシン)と同じ成分の市販薬は存在しません。状態によっては、前立腺の外科的治療が必要なることもあるの前立腺肥大症になった場合には医療機関で適切な治療を受ける必要があります。
しかし、前立腺肥大症ではなく、頻尿など軽度の排尿障害であれば市販薬で対応できる可能性があります。
ハルンケア内服液
8種類の生薬のジオウ、タクシャ、ボタンピ、ブクリョウ、サンシュユ、サンヤク、ケイヒ、ホウブシを抽出、濃縮した生薬製剤です。体力の低下、下半身の衰え、手足の冷えを伴う軽い尿もれ、頻尿、残尿感、尿が出渋るなどの症状を緩和する効果が期待できます。
ユリナール
ユリナールは、清心蓮子飲という漢方が使用されています。清心蓮子飲は、精神的な疲労によって生じる尿のトラブルに使用され、シャゼンシ、オウゴン、ニンジン、オウギ、バクモンドウ、ブクリョウ、カンゾウ、レンニク、ジコッピいう生薬で構成されています。
ユリナールは膀胱排尿筋を弛緩させ、膀胱を広げることで尿を貯められるようにするだけでなく、利尿作用によってしっかりと排尿することで頻尿、残尿感を改善します。また、抗炎症作用があるため膀胱や尿道の炎症を抑えることで残尿感や頻尿を抑えられます。
八味地黄丸
ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ、ケイヒ、ブシマツなどの生薬が配合されている漢方薬です。
高齢者に用いられることが多い漢方で、体力が低下し、疲労や倦怠感、手足の冷えや腰から下から冷え、夜間にトイレへ行くことが多い人、喉が渇く人に使用されます。
気になることがあれば医療機関へ
前立肥大症によって排尿障害が起きている場合には市販薬で症状を抑えるのは難しいといえます。前立腺肥大症の状態によっては前立腺の外科的治療を行うことが必要になる可能性もあります。
頻尿は残尿感などの軽度の症状の場合であれば市販薬で対応できる可能性がありますが、症状が治らない場合や体調が変化する場合にはすぐに医療機関へ受診した方がいいでしょう。
参考文献
ユリーフ添付文書
α1遮断薬(前立腺肥大治療薬)の解説|日経メディカル処方薬事典
国立病院機構京都医療センター 泌尿器科 医療連携のための排尿障害診療ガイドライン
商品情報 | ハルンケア
ハルンケア内服液 | 商品情報
夜間頻尿などの悩みに|ユリナール|小林製薬
八味地黄丸(ハチミジオウガン): ツムラの漢方処方解説 | 漢方について
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