ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月27日
ザジテンカプセルは医療用医薬品に分類されるため、医師の処方箋が必要です。
一方、ザジテンカプセルと同じ有効成分を配合した市販薬も存在するため、今回はザジテンカプセルと市販薬との違いについても解説していきます。
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)とは
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)とはスイスのサンドファーマ社(現ノバルティスファーマ社)で開発されたアレルギー性疾患治療剤です。
有効成分にケトチフェンフマル酸塩を配合しています。有効成分のケトチフェンフマル酸塩は1カプセル中に1.38mg(ケトチフェンとして1mg)含まれています。
ザジテンには5種類の剤型があり、今回ご紹介するカプセル剤以外にシロップ剤、ドライシロップ剤、点眼液、点鼻液があります。
では有効成分であるケトチフェンフマル酸塩にはどんな特徴があるのでしょうか?成分の働きについて詳しく見ていきましょう。
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)の成分について
ザジテンカプセルの有効成分であるケトチフェンフマル酸塩は第二世代抗ヒスタミン薬に分類されます。
抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代に分類が分かれており、一般的に第二世代は第一世代に比べて、副作用である眠気や口の渇き、排尿障害が出にくいのが特徴です。
しかし、第二世代抗ヒスタミン薬に分類されるケトチフェンフマル酸塩ですが眠気に関して第一世代と同程度の眠気が出やすいと言われています。
成分の働きとしては主に抗アレルギー作用や抗ヒスタミン作用によってアレルギー性鼻炎や皮膚疾患によるかゆみを抑える効果があります。
では抗アレルギー作用や抗ヒスタミン作用とはどういった作用なのでしょうか?
抗アレルギー作用
花粉やハウスダストを始めとした、アレルギーを持つ特定の物質(アレルゲン)が身体の中に侵入してくると、ヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー誘発物質が放出されます。
この物質が受容体に結合することによって鼻ではくしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎症状が引き起こされ、皮膚ではかゆみや炎症などの症状を引き起こし、気管支では気管支平滑筋の収縮による喘息などの症状を引き起こします。
ザジテンカプセルの有効成分であるケトチフェンフマル酸塩は抗アレルギー作用によって肥満細胞からのアレルギー誘発物質の放出を抑えることで、これらの症状を抑えることができます。
抗ヒスタミン作用
アレルギー誘発物質の一つであるヒスタミンはヒスタミン受容体に結合することで、鼻ではくしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎症状が引き起こされ、皮膚ではかゆみや炎症などの症状を引き起こします。
抗ヒスタミン作用とはヒスタミン受容体にフタをしてヒスタミンが受容体に結合できないようにする働きです。これによりヒスタミンによって引き起こされるアレルギー性鼻炎症状や皮膚疾患に伴かゆみ症状を抑えることができます。
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)はどんな症状に効果がある?
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)は以下の治療に効果があります。
・気管支喘息
・アレルギー性鼻炎
・じんましん
・湿疹
・皮膚炎
・皮膚そう痒症
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)の用法・用量は?
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)の用法・用量は以下の通りです。
通常、成人に1回1カプセル(1mg)を1日2回朝食後および、就寝前に服用します。なお、年齢、症状により服用量を増やしたり、減らしたりすることがあります。
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)の副作用
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)を服用した総例21,170例中何らかの副作用が報告されたの1,144例(5.4%)であり、主な副作用に以下の症状があります。
・眠気(4.4%)
・けん怠感(0.3%)
・口渇(0.1%)
・悪心(0.1%)
またザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)の重大な副作用に下記の症状があります。
このような症状があらわれた場合には、すぐに服用を中止して医師、薬剤師にご相談ください。
・けいれん、興奮
・肝機能障害、黄疸
血液検査においてAST(GOT)、ALT(GTP)、γ-GTP、LDH、ALPの上昇による肝機能障害や黄疸が発生することがあります。
さらにそれぞれの領域ごとに起こりうるその他の副作用を下記に示します。
【泌尿器系】
<頻度不明>
頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等の膀胱炎様症状
【過敏症】
<0.1%未満>
発疹、じんましん
<頻度不明>
浮腫、多形紅斑
【精神神経系】
<0.1%〜5%未満>
眠気、けん怠感、口渇
<0.1%未満>
めまい、ふらつき、頭痛、味覚異常、しびれ感
<頻度不明>
一過性の意識消失、易刺激性、不眠、神経過敏、鎮静
【消化器系】
<0.1%未満>
悪心、腹痛、下痢、嘔吐、胃部不快感、食欲不振、便秘、口内炎
【肝臓】
<0.1%未満>
AST(GOT)、ALT(GPT)、ALPの上昇
<頻度不明>
LDH、γ-GTPの上昇
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)に関する注意点
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)は次に該当する人は服用してはいけません。
・ザジテンカプセルの成分対して過敏症の経験がある人
・てんかんまたはてんかんの既往歴がある人
(けいれんを誘発させるおそれがあります)
・車の運転などの危険を伴う機械の操作をする人
(眠気が出ることがあります)
また次の人は服用にあたり、注意が必要です。服用してしまうことで、治療中の病気が悪化してしまったり、日常生活に支障をきたすおそれがあるためです。
以下に該当する人は必ず医師に相談しましょう。
・てんかんを除くの痙攣性疾患または、これらの既往歴のある人
(けいれんを誘発させるおそれがあります)
・高齢の人
(高齢の人は一般的に生理機能が低下していることが多く、ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)の効果が強く出てしまうおそれがあります)
上記の疾患だけでなく妊娠中の人や授乳中の人も注意しましょう。
添付文書には「妊婦または妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」「授乳中の婦人には投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること」との記載があります。
動物実験では薬が母乳に移行してしまうことがわかっています。そのため妊娠中や妊娠の可能性がある人、授乳中の人は主治医に相談してみましょう。
さらに下記のお薬を服用中の人は注意が必要になります。現在、服用中のお薬がある場合は必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
【中枢神経抑制剤・抗ヒスタミン剤・アルコール】
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)と一緒に服用することで中枢神経抑制作用が増強され、眠気や精神運動機能低下を起こす可能性があります。
ザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)と同じ成分の市販薬はある?
残念ながら現在、市販薬にザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)と同じ成分を使用している商品はありません。
以前はグラクソ・スミス・クラインから「ザジテンAL鼻炎カプセル」という商品が販売されていました。しかし現在は製造が中止されておりメーカーからの販売はありません。
一部のドラッグストアやネットショップで在庫が残っている場合にはまだ販売されている可能性があります。ではザジテンカプセル(ケトチフェンフマル酸塩)に代わる市販薬はあるのでしょうか?
ザジテンカプセルの有効成分であるケトチフェンフマル酸塩は第二世代抗ヒスタミン薬です。
近年、同じ第二世代抗ヒスタミン薬を配合した商品は市販薬でも多く販売がされています。
以下に第二世代抗ヒスタミン成分を配合した商品を記載します。
【第二世代ヒスタミン成分を配合した市販薬】
・アレグラFX(フェキソフェナジン塩酸塩)
・アレジオン20(エピナスチン塩酸塩)
・クラリチンEX(ロラタジン)
・コンタック鼻炎Z(セチリジン塩酸塩)
・ストナリニZ(セチリジン塩酸塩)
・エバステルAL(エバスチン)
・タリオンAR(ベポタスチンベシル酸塩)
注意点として上記の市販薬の場合、「鼻の症状にしか使用できない」点です。
今回ご紹介した医療用医薬品であるザジテンカプセルはアレルギー性鼻炎の他に、じんましんや湿疹など皮膚の症状にも使用できます。
しかし上記の市販薬の場合はくしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの鼻症状にしか効能を持っていませんので購入する際には注意しましょう。
もし皮膚のかゆみに使用できる飲み薬をお探しの場合は下記の商品が使用できます。
【皮膚のかゆみに使用できる市販薬】
・ムヒAZ錠(第二世代抗ヒスタミン薬)
・アレルギール錠(第一世代抗ヒスタミン薬)
・レスタミンUコーワ錠(第一世代抗ヒスタミン薬)
眠気が出にくい飲み薬をお探しの場合は第二世代抗ヒスタミン薬を配合しているムヒAZ錠を選ぶと良いでしょう。
参考資料
ザジテンカプセル/添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/480866_4490003M1263_2_05
ザジテンカプセル/医薬品インタビューフォーム
https://jp.sunpharma.com/medicalmedicines/pdf/20191210145538_1_d.pdf
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