タガメット錠(シメチジン)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月29日
今回はタガメット錠(シメチジン)について成分の特徴や効果、副作用について詳しく解説します。
医療用医薬品であるタガメット錠(シメチジン)のみならず、類似成分が配合された市販薬についても解説していますので最後までご覧ください。
タガメット錠(シメチジン)とは
タガメット錠(シメチジン)は1982年に現在の大日本住友製薬から発売された医療用医薬品です。
このお薬は「H2受容体拮抗剤」に分類され、主に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの消化器疾患に使用されます。
病院やクリニックなどの医療機関で医師によって発行された処方箋に基づいて薬局で受け取ることができる医薬品です。
様々な剤形が存在
タガメット錠(シメチジン)には錠剤だけでなく細粒などの剤形が存在しています。錠剤、細粒ともに同様の疾患に対して効果を発揮するお薬ですが、嚥下能力によって使い分けられます。
これらのお薬を服用する方の中には錠剤を飲むことが苦手だったり、高齢になるにつれて嚥下能力が低下し錠剤を飲み込めなくなることがあります。お薬を服用する際に飲み込みづらいと感じる方は一度医師に相談してみると良いかもしれません。
タガメット錠(シメチジン)の成分について
タガメット錠(シメチジン)に配合されている有効成分は「シメチジン」です。シメチジンは「H2受容体拮抗剤」に分類される成分であり、胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体を遮断し、持続的に胃酸分泌を抑制します。
胃酸の分泌を促進する神経伝達物質にはヒスタミン、ガストリン、アセチルコリンなどがあり、それぞれの受容体に結合することで胃酸の分泌を促進します。
シメチジンは神経伝達物質の一つであるヒスタミンが結合するヒスタミンH2受容体をブロックすることでヒスタミンの胃酸分泌促進効果を抑制します。
タガメット錠(シメチジン)はどんな症状に効果がある?
タガメット錠(シメチジン)の効能・効果は次の通りです。
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群、逆流性食道炎、上部消化 管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)
・下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
上記のうち特徴的なものについて詳しく解説します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
消化性潰瘍は、消化管粘膜の一部に生じるびらんで、粘膜筋板を貫通するものを指します。典型的な症状としてみぞおち付近が焼けるように痛み、しばしば食事によって軽減するのが特徴です。
発生する部位によって名称が区別され、胃にできる消化性潰瘍を胃潰瘍、十二指腸にできるものを十二指腸潰瘍と呼びます。多くの症例がヘリコバクターピロリ感染症または非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の使用に起因すると言われています。
ヘリコバクターピロリ感染症および非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、粘膜の正常な防御および修復機構を妨げることにより、胃酸が胃や十二指腸などを刺激してしまいます。タガメット錠(シメチジン)は胃酸の分泌を抑制することで、胃酸から胃や十二指腸を守ります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸を含む胃の内容物が胃から食道へ逆流し、食道の炎症を引き起こす疾患です。食道はのどから胃をつなぐ管で、正常な状態では一方向のみに輸送を行い、逆流することはありません。
しかしながら、肥満やアルコール摂取、特定薬剤の服用が原因となり、しばしば胃の内容物が逆流してしまうことがあります。
胃は胃粘膜によって胃酸から保護されていますが、食道にはこのような保護機能がないため、胃酸が食道へと逆流すると炎症や損傷が生じることがあります。
タガメット錠(シメチジン)は胃酸の分泌を抑制することで食道を保護します。
タガメット錠(シメチジン)の用法・用量は?
タガメット錠(シメチジン)の用法・用量は疾患によって異なります。
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍
通常、成人にはシメチジンとして1日800mgを2回(朝食後及び就寝前)に分割して服用します。
また、1日量を4回(毎食後及び就寝前)に分割もしくは1回(就寝前)で服用することも可能です。
なお、年齢・症状により適宜増減します。
・吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群、逆流性食道炎、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)
通常、成人にはシメチジンとして1日800mgを2回(朝食後及び就寝前)に分割して服用します。
また、1日量を4回(毎食後及び就寝前)に分割して服用することも可能です。
なお、年齢・症状により適宜増減します。
・急性胃炎、慢性胃炎の増悪期における胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
通常、成人にはシメチジンとして1日400mgを2回(朝食後及び就寝前)に分割して服用します。
また、1日量を1回(就寝前)投与することも可能です。
なお、年齢・症状により適宜増減します。
タガメット錠(シメチジン)は腎機能障害患者に対して投与した際に、血中濃度が持続することがあるため、投与量を減ずるか投与間隔をあけて使用する必要があります。
タガメット錠(シメチジン)の副作用
タガメット錠(シメチジン)の副作用には頻度は少ないものの、重大な副作用が現れることがありますので注意が必要です。
起こりうる重大な副作用の一例を以下に紹介しています。
・ショック、アナフィラキシー
全身発赤、呼吸困難等が現れることがあります。
・再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少
初期症状として全身倦怠、脱力、皮下・粘膜下出血、発熱等がみられる場合があります。
・間質性腎炎、急性腎障害
初期症状として発熱、腎機能検査値異常(BUN、クレアチニン上昇等)等が見られる場合があります。
・皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症
高熱や全身倦怠感を伴う、皮膚や粘膜、眼における広範は紅斑、びらん、水疱が現れる場合があります。
・意識障害、痙攣
特に、腎機能障害患者において現れやすいので注意が必要です。
タガメット錠(シメチジン)に関する注意点
タガメット錠(シメチジン)の使用にあたって、特定の背景を有する方は特に注意が必要です。
・合併症、既往歴等のある患者
・薬物過敏症の既往歴のある患者
・腎機能障害患者
タガメット錠(シメチジン)は主として腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している患者は血中濃度が持続することがあります。
・妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することが添付文書に明記されています。
・授乳婦
シメチジンは乳汁中へ移行することが確認されているため、治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討することが添付文書に明記されています。
タガメット錠(シメチジン)と同じ成分の市販薬はある?
医療用医薬品であるタガメット錠と同様の有効成分(シメチジン)を配合した市販薬は販売されていません。
過去には「ザッツブロック」、「センロック」といったシメチジンを配合した市販薬が販売されていましたが現在では販売を終了しています。
そこで今回はシメチジンと同じ「H2受容体拮抗剤」に分類されるファモチジンが配合されている市販薬「ガスター10」について解説します。
ガスター10
ガスター10は第1類医薬品に分類される市販薬で、タガメット錠(シメチジン)と同様にヒスタミンH2受容体をブロックすることで胃酸の分泌を抑制し胃痛・もたれなどの胃の不快症状に効果を発揮します。
・効果、効能
胃痛、もたれ、胸やけ、むかつき
・用法、用量
胃痛、もたれ、胸やけ、むかつきが現れた際に次の量を、水またはお湯で服用してください。
成人(15歳以上、80歳未満):1回1錠、 1日2回まで
小児(15歳未満)、高齢者(80歳以上):服用しないでください。
・注意事項
3日間服用しても症状の改善が見られない場合には、服用を中止し医師または薬剤師に相談してください。
2週間を超えて服用しないでください。
まとめ
今回は胃潰瘍や十二指腸潰瘍など消化器系の疾患に対して使用される医療用医薬品「タガメット錠(シメチジン)」について効果や使用方法、使用上の注意点について詳しく解説しました。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は疾患自体が痛みを引き起こすだけでなく、消化管出血や穿孔などの合併症を引き起こす可能性があります。
辛い症状を我慢せずに早期に治療を行うことも選択肢の一つになるのではないでしょうか。本記事がお薬の適正な使用に貢献できれば幸いです。
参考文献
タガメット錠200mg/タガメット錠400mg/タガメット細粒20%
消化性潰瘍 – 01. 消化管疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
胃食道逆流症(GERD) – 03. 消化器の病気 – MSDマニュアル家庭版
ガスター10(詳細)|第一三共ヘルスケア
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