ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)に含まれている成分や効果、副作用などについて解説
更新日:2024年02月29日
今回はベンジルアミン系抗真菌薬として知られるボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)について成分の特徴や効果、副作用、市販薬との違いについて解説していきます。
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)とは
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)とは1992年に久光製薬株式会社が販売を開始したベンジルアミン系抗真菌薬です。有効成分にブテナフィン塩酸塩を1%配合しています。
ブテナフィン塩酸塩は強い抗真菌活性を持ち、表在性皮膚真菌症の治療薬であるイミダゾール系抗真菌剤(ビフォナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール等)に代わるものとして開発された新しい抗真菌剤です。
剤型には今回ご紹介するクリームタイプをはじめ、液体タイプ(ボレー外用液1%)、スプレータイプ(ボレースプレー1%)の3種類が販売されています。
スプレータイプは広い範囲に対して他のクリームタイプや液体タイプよりも簡単に塗布でき、手を汚す心配がなく、容器を患部に直接付けることがないため衛生的にも使用できる特徴があります。
では、有効成分であるブテナフィン塩酸塩にはどんな特徴があるのでしょうか?
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)の成分について
ブテナフィン塩酸塩は真菌に対して抗真菌効果が認められている成分です。
働きとしては真菌細胞膜の必須成分であるエルゴステロールの生合成経路において、スクアレンからスクアレンエポキシド転換過程に関わるスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害し、真菌細胞膜の障害を引き起こすことで抗真菌作用を示します。
真菌とは
真菌には酵母タイプとカビ(糸状菌)タイプの2つのタイプが存在します。酵母タイプにはカンジダや癜風などがあり、カビ(糸状菌)タイプには水虫(白癬)などがあてはまります。
真菌は通常、足の指の間や、性器の周辺、乳房の下など体の皮膚同士が触れ合って湿度が高くなる場所に住み着きます。
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)はどんな症状に効果がある?
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)は以下の皮膚真菌症の治療に効果があります。
<白癬>
足部白癬、体部白癬、股部白癬
<癜風>
また総計824例について実施された臨床試験(比較試験および臨床試験を含む)において各疾患への有効率は足部白癬81.8%(270/330)、股部白癬89.4%(93/104)、体部白癬86.1%(124/144)、癜風81.7%(85/104)と報告されています。
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)の用法・用量は?
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)の用法・用量は以下の通りです。
通常、1日1回、適量を患部に塗布する。
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)の副作用
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)の副作用については販売されるまでの臨床試験結果や販売後の調査における副作用が下記のように報告されています。
総症例9517例においてなんらかの副作用が報告されたのが131例(1.38%)。主な副作用は局所の発赤・紅斑54件(0.57%)、接触性皮膚炎39件(0.41%)、瘙痒39件(0.41%)、刺激感22件(0.23%)が報告されています。
また発生頻度ごとに起こる副作用を下記にまとめました。なお下記のような副作用が出た場合には使用を中止して、医師又は薬剤師にご相談ください。
<0.1〜5%未満>
【皮膚】
局所の発赤・紅斑、瘙痒、接触性皮膚炎、刺激感、水疱
<0.1%未満>
【皮膚】
糜爛、落屑、亀裂
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)に関する注意点
ボレークリームの有効成分であるブテナフィン塩酸塩に対して過敏症(アレルギー反応)を起こしたことのある人は使用してはいけません。
また妊娠中・妊娠の可能性がある・産後、授乳中、低出生体重児又は新生児、乳幼児の使用に関して必ず、医師に相談しましょう。
特に妊娠中や低出生体重児、新生児での使用に関して安全性が確立していないため、医師が治療上必要性があると判断した場合には使用できることがあります。
乳児または3歳以下の幼児では、刺激感、発赤等が現れやすいので、このような症状があらわれた場合には使用を中止して医師に相談しましょう。
さらに角膜や結膜などの目の周囲や、著しい糜爛面には使用できません。もし誤って目に入った場合には刺激症状があらわれることがあるので、流水で十分に目をすすぎ、それでもなお異常を感じる場合は医師に相談しましょう。
ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)と同じ成分の市販薬はある?
これまでお話ししてきた内容は、医療用医薬品のでしたが、市販薬にも主成分にブテナフィン塩酸塩を配合した商品が存在します。
以下がブテナフィン塩酸塩を配合した市販薬の一例です。
・ブテナロックVαシリーズ(指定第2類医薬品)
・ブテナロックLパウダーゲル(指定第2類医薬品)
・ラマストンMX2シリーズ(指定第2類医薬品)
・タムチンキパウダースプレーZ(指定第2類医薬品)
ここからはそれぞれの商品について、ボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)との違いも交えながら詳しく見ていきましょう。
ブテナロックVαシリーズ
ブテナロックVαシリーズは今回ご紹介したボレークリーム(ブテナフィン塩酸塩)の販売元である久光製薬株式会社が販売している水虫治療薬です。
久光製薬株式会社は水虫治療薬以外にも、外用消炎鎮痛剤の「サロンパス」シリーズや「フェイタス」シリーズ、アレルギー性鼻炎治療薬の「アレグラFX」など数々の有名市販薬を手がける製薬会社です。
ブテナロックVαは医療用医薬品のボレークリームと同様にブテナフィン塩酸塩を1%濃度配合した水虫治療薬です。しかし大きな違いは、ブテナフィン塩酸塩以外にも水虫の諸症状を抑える成分が配合されている点です。
水虫の症状の1つである「かゆみ」を抑える成分としてクロルフェニラミンマレイン酸塩、l-メントール、クロタミトンを配合し、「かゆみ」の伝わりを抑えるジブカイン塩酸塩も配合されています。
その他にも皮膚の赤みや炎症を抑えるグリチルレチン酸やニオイの原因菌を抑えるイソプロピルメチルフェノールを配合しています。
またブテナロックVαシリーズはみずむし、いんきんたむし、ぜにたむしに効能を発揮し、剤型によって下記5種類の商品が販売されています。
・ブテナロックVαクリーム
・ブテナロックVα液
・ブテナロックVαスプレー
・ブテナロックVαエアー
・ブテナロックVα爽快パウダー
ブテナロックLパウダーゲル
ブテナロックLパウダーゲルはこちらも久光製薬から女性向けに発売された水虫治療薬です。
医療用医薬品のボレークリームと同様にブテナフィン塩酸塩を1%濃度配合しており、その他にもかゆみ止め成分のジブカイン塩酸塩や皮膚冷感作用によってかゆみをしずめるl-メントールなどを配合しています。
女性向けの商品ということもありパッケージや剤型に女性が手に取りやすい工夫がされています。パッケージはピンクと水色が基調になっており清潔感と明るさを感じられ、容器は先が細いラミネートチューブになっているのでさりげなく使用することができます。
またパウダー配合のゲル剤になっているので使用感がサラッとしていてべたつきが少ない点も女性に喜ばれるポイントです。
ラマストンMX2シリーズ
ラマストンMX2シリーズは佐藤製薬が販売する水虫治療薬です。佐藤製薬は風邪・鼻炎薬の「ストナ」シリーズや点鼻薬「ナザール」解熱鎮痛薬「リングルアイビー」など数々の有名市販薬を手がける製薬会社です。
ラマストンMX2シリーズは医療用医薬品のボレークリームと同様にブテナフィン塩酸塩を1%濃度配合した水虫治療薬です。
しかし大きな違いは、ブテナフィン塩酸塩以外にも水虫の症状の1つである「かゆみ」を抑える成分が配合されている点です。
「かゆみ」を抑える成分として塩酸リドカイン、dl-カンフルを配合し、つらい「かゆみ」を抑える工夫がされています。
ラマストンMX2シリーズはみずむし、いんきんたむし、ぜにたむしに効能を発揮し、剤型によって下記3種類の商品が販売されています。
・ラマストンMX2ゲル
・ラマストンMX2クリーム
・ラマストンMX2液
タムチンキパウダースプレーZ
タムチンキパウダースプレーZは小林製薬が販売する水虫治療薬です。小林製薬は外用消炎薬「アンメルツヨコヨコ」や外皮用薬「アットノン」漢方薬「ナイシトール」など数々の有名市販薬を手がける製薬会社です。
タムチンキパウダースプレーZはブテナフィン塩酸塩を0.2%濃度配合した水虫治療薬で、医療用医薬品のボレークリームと比べると5分の1の濃度となっています。
一方でブテナフィン塩酸塩以外にも水虫の諸症状を抑える成分が配合されています。水虫の症状の1つである「かゆみ」を抑える成分としてリドカイン、l-メントールを配合しています。
またその他にも皮膚の赤みや炎症を抑えるグリチルレチン酸や殺菌成分のベンザルコニウム 塩化物を配合しています。
参考資料
ボレークリーム1%/添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/650034_2659708N1066_1_05
ボレークリーム1%/医薬品インタビューフォーム
https://www.hisamitsu.co.jp/medical/data/volley_i.pdf
真菌感染症の概要-16.感染症-MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/16-感染症/真菌感染症/真菌感染症の概要
水虫・たむし治療薬 ブテナロックVα/久光製薬株式会社
https://www.hisamitsu.info/butena/
市販の水虫薬「ラマストンMX2」の製品ラインナップ
https://www.sato-seiyaku.co.jp/lamaston/lineup/index.html
タムチンキパウダースプレーZ/製品情報/小林製薬株式会社
https://www.kobayashi.co.jp/seihin/tc_z/index.html
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