アセトアミノフェンの成分や効果について
更新日:2024年02月29日
医療用医薬品として代表的な医薬品は「カロナール」「コカール」、「PL顆粒」などの総合感冒薬(かぜ薬)の他に、小児用の解熱・鎮痛薬や小児用かぜ薬に解熱・鎮痛成分として配合されています。
どんな成分か
アセトアミノフェン(化学名:N-acetyl-p-aminophenol)は国際的には「paracetamol (パラセタモール)」とも呼ばれます。
処方や市販されている薬のうち解熱鎮痛剤は大きく分けて2つあり、「NSAIDs」と呼ばれる解熱や鎮痛、抗炎症作用のある非ステロイド性の抗炎症薬と「アセトアミノフェン」のように脳の体温調節中枢や中枢神経などに作用して解熱、鎮痛作用があります。
発熱のメカニズムとしては、脳の体温調節中枢というところに情報が伝わって、体温調節中枢から発熱の指令が身体の各部に伝わることで生じるのですが「アセトアミノフェン」は体温調節中枢に作用し、熱を体外へ逃がす作用を増強するお薬として知られています。
また、発熱や痛みの情報を伝える物質(PG:プロスタグランジン)を阻害する作用があります。
その一方で、「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 」と同様にCOX(シクロオキシゲナーゼ)を阻害しますが、起炎物質・発痛増強物質として知られるプロスタグランジンE2(PGE2)の合成抑制は弱いとされているため、「アセトアミノフェン」には抗炎症作用はほとんどありません。
また現在のところ「アセトアミノフェン」の薬としての作用機序は、中枢神経におけるCOX(シクロオキシゲナーゼ)阻害と考えられていますが、現在詳細な機序は未だに解明されていません。
どんな症状に効果的か
上気道炎の解熱鎮痛、頭痛、耳痛、歯痛、腰痛、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、がんの疼痛、変形性関節症、小児領域の解熱鎮痛が挙げられます。
市販薬はあるの?その価格は?
市販薬としては、頭痛・生理痛薬や総合感冒薬(かぜ薬)、他小児用の解熱・鎮痛薬、小児用かぜ薬に解熱・鎮痛成分として配合されています。
アセトアミノフェンのみが有効成分「タイレノールA(10錠/733円)」「バファリンルナ(12錠/700円)」
他の有効成分と一緒に配合されている複合薬、総合感冒薬「バファリンプレミアム(20錠/980円)」「ノーシン(16錠/500円)」「パイロンPL顆粒(24包/1,700円」や「パブロンゴールド(12包/1,400円)」「パブロンキッズかぜ微粒(12包/900円」
汗トアものフェンタイレノールA主成分がアセトアミノフェンのみの解熱鎮痛剤です。服用は15歳以上、1錠中にアセトアミノフェンが300mg含まれています。
医療用医薬品においてカロナール錠300mgという薬がこのタイレノールAと同量の有効成分が含まれています。
バファリンプレミアム末梢神経の痛みの元に作用する「イブプロフェン」と中枢神経の痛みの伝わりをブロックする「アセトアミノフェン」2種類を配合している解熱鎮痛剤です。
鎮痛補助成分である「無水カフェイン」と「アリルイソプロピルアセチル尿素」を配合し、すぐれた効き目の処方です。15歳以上から使用できます。バファリンルナJ7歳から服用でき、1錠中にアセトアミノフェンが100mg含まれています。
苦味のないフルーツ味のため飲みやすく、水なしで飲めるチュアブルタイプの錠剤です。小・中・高校生の発熱や頭痛、生理痛にも適しています。15歳以上の大人が飲む場合は1回3錠と錠数を調整することで使用できます。
服用方法と注意点
アセトアミノフェンの服用量小児から大人まで幅広く使用されているお薬ではありますが、注意しなくてはならない点の一つは服用量となります。
薬の服用量の上限は症状や年齢体重により異なり、医療用医薬品である「カロナール」ですと成人の患者様は疾患によって1500~4000mgと上限が決められています。
医師からの処方の場合、処方箋には薬の疾患名までは記載されておりませんが、薬剤師と患者様との服薬指導時にカウンセリングの元効果効能をご説明しながら疾患に基づく適正な薬の量であるのか、副作用の起こる可能性はないかなども注意しながらお薬をお渡ししています。
ちなみに市販薬で代表的なタイレノールAは上限が900mgと決められていて、医療用医薬品よりも少ないのは薬局、薬店で誰でも購入できる成分の種類や含有量などの観点から、指示されている用量の範囲では比較的安全とされ、また、誰にでも使いやすいように工夫されたものなどがあります。
ここでは医療専門家向けの「添付文書情報」を元に各症状にあった患者様への服用量や用法用量を解説していきます。
鎮痛目的通常、成人にはアセトアミノフェンとして、1回300〜1000mgを経口投与し、投与間隔は4〜6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として4000mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
急性上気道炎の解熱鎮痛目的の場合通常、成人にはアセトアミノフェンとして、1回300〜500mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大1500mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
小児領域の解熱鎮痛目的の場合通常、乳児、幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして、体重1kgあたり1回10〜15mgを経口投与し、投与間隔は4〜6時間以上とする。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日総量として60mg/kgを限度とする。ただし、成人の用量を超えない。
また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。このように疾患により患者様に処方される薬の量が異なるため、薬剤師はお薬手帳や他の併用薬なども確認しながら調剤を進めていきます。
また下記は医療用医薬品のうち、複数の有効成分のうちの一つがアセトアミノフェンである配合剤です。
PL配合顆粒
SG配合顆粒
カフコデN配合錠
トラムセット配合錠
ピーエイ配合錠
カロナールや市販のアセトアミノフェンが含まれている薬と同時に使用することで自覚なく危険な量の薬を服用してしまう可能性もありますので注意が必要です。
効能の違う疾患の他の薬などを服用している場合も、併用することで副作用を起こしたり、お互いに作用を強めたり、効果を弱めたりする可能性もありますので、他に使用中の一般用医薬品や食品も含めて注意し、気になる場合は必ず医師、薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。
また過量に服用することで時に肝臓機能の障害のような副作用が起こる危険性があります。効果がなかなか出ないからといって、用法用量を守らず多量に服用するのは危険ですので勝手にお薬の量を調整するのはやめましょう。
妊娠中、または妊娠している可能性のある方妊娠後期では薬の成分が胎児に影響を与えるおそれもあるため、体調面や服用するにあたっての不安がある方は医師や薬剤師、登録販売者にご相談ください。
また、総合感冒薬にアセトアミノフェンと一緒に配合されてることのあるカフェインも過剰に摂取することで胎児の健康に悪影響となるおそれがあるため使用を控えた方が望ましいでしょう。
授乳中の方授乳中の方はアセトアミノフェンやイブプロフェンを服用できます。ただし、カフェインは母乳に移行してしまうため、カフェインが配合されている総合感冒薬などは避けてください。あるいは、使用する場合授乳を控えましょう。
市販の痛み止めや風邪薬にはアセトアミノフェン以外の有効成分も含まれていることがある。ただし市販薬の場合はアセトアミノフェン以外の成分も含まれており臨床試験も行われていないことが多いため、カロナールと同じと考えてはいけません 。
現在かかりつけの医師より治療中の疾患の薬を処方してもらい飲んでいる患者様は、効果効能、起こりうる可能性のある副作用などを注意するために必ず医師や薬剤師、登録販売者に相談の上購入するようにしましょう。
どうすれば購入できる?
アセトアミノフェンが有効成分である「カロナール」は「医療用医薬品」に指定されているため、通常購入することができません。
しかしながら「カロナール」は「処方箋以外の医療用医薬品」(非処方箋医薬品)に指定されているため、「零売」(れいばい)の取り組みを行なっているという薬局であれば、医師の処方箋がなくても薬剤師との対面によるカウンセリングのもと可能です。
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※お薬の処方は医師の診察により薬が処方された場合に限ります。