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長引く咳には漢方が効果的って本当?症状毎に効果的な漢方薬を詳しく解説

監修医師 勝木 将人
更新日:2024年09月24日

更新日:2024年09月24日

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長引く咳が続くと、日常生活に大きな影響を与えることがあります。市販の薬が効かない場合、漢方薬が合うかもしれません。漢方薬は、咳の原因や症状に合わせて選ぶことで、より効果的な治療が期待できます。

この記事では、長引く咳に対する漢方薬の効果について説明し、症状ごとに適した漢方薬を紹介します。咳に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

長引く咳には漢方が効果的って本当?

漢方薬は体質や症状に合わせて処方されるため、個々の症状に対して効果が期待できます。ただし、漢方薬の効果は個人差があるため、すべての方に同じように効くわけではありません。

咳止めに使われる漢方薬は効果がある?

西洋薬のように直接的に咳を止めるわけではありませんが、適切な漢方薬を使えば、咳止めとしても十分に効果があります。

 

また、咳が続いた場合には体力が消耗してしまうため、全身の状態を改善することも重要です。回復力や持久力が低下している場合、その治療も同時に行う必要があります。漢方治療は、このような低下した状態を補うのが得意です。この目的で使われる漢方薬を「補剤」と呼びます。補剤は、回復を支え、後押しする役割を果たします。

漢方における咳の考え方

咳は身体が異物を取り除くための自然な反応です。気道に入ってきた異物(細菌、ウイルス、花粉など)が粘膜に異物が付着すると、それを排除するために粘液が分泌され、痰が生成されます。痰が増えることによって、それを排出するために咳が出るのです。

 

漢方では体のバランスを重視し、咳の原因を根本から改善しようと働きかけます。漢方では、人の体は「気(エネルギーの源)」「血(全身に栄養を運ぶもの)」「水(身体に潤いを与えるもの)」の3つの要素で成り立っていると考えられています。

 

たとえば、風邪をひいた後に咳が長引く場合、漢方では「水毒」という状態です。水毒とは、体内の水分バランスが崩れ、水分が不足している状態になります。漢方薬を使って水分バランスを整え、気道を潤したり神経を落ち着かせたりすることで咳を抑えることを目指します。

漢方薬と西洋薬の作用の違い

漢方薬は天然の生薬を使用し、複数の成分が組み合わさって体全体のバランスを整えるように働きます。これは、体質や症状全体を考慮し、自然治癒力を引き出すことを目指しています。そのため、効果が現れるまでに時間がかかることが多いですが、体質改善や慢性的な不調の改善に適しているといえるでしょう。

 

西洋薬は、脳の咳中枢に直接作用する成分や、交感神経を刺激して気管支を広げる成分を使って咳を抑えます。化学合成された単一の成分で構成されており、特定の症状や病気に対して強い薬理作用を示します。即効性があり、急性の症状や緊急性の高い治療に適していますが、副作用が強く出ることもあるため注意しましょう。

 

西洋医学は病気の原因を特定し、その原因を取り除くことを重視します。これに対して、漢方医学は体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで症状を改善することを目指します。

咳に効果が期待できる漢方薬

咳のタイプや特徴に応じて、効果が期待できる漢方薬について詳しく見ていきましょう。

乾いた咳

乾いた咳(乾性咳嗽)とは、痰が絡まない「コンコン」「ケンケン」といった咳で、肺や気管に炎症が起こっている状態です。そんな場合には、麦門冬湯がおすすめです。

麦門冬湯

麦門冬湯(ばくもんどうとう)は、乾いた咳が続いたり、風邪の後に咳だけが残る場合に使われる漢方薬です。口や喉が乾燥している方や、痰が絡んで出しにくい方に適しています。漢方医学では、体を潤す「水」という概念があります。麦門冬湯は、この「水」を補うことで気管支を潤し、乾いた咳や気管支炎の症状を改善します。

 

【対象】

からぜき、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声

粘り気の強いたんが多く出る

風邪や肺炎、ウイルス感染症などにかかると、痰が増えて色が濃くなり、粘り気が強くなることがあります。そんな場合には、清肺湯がよいでしょう。

清肺湯

清肺湯(せいはいとう)は、粘り気のある痰が多く出る咳に使われる漢方薬です。黄緑色の痰が出る方や、タバコや空気の汚れで咳が続く方に適しています。清肺湯は、この「水」を補い、気管支を潤して熱を鎮めることで、粘り気のある黄色っぽい痰が多く出る咳を改善します。

 

【対象】

痰が多い咳、気管支炎

痰が切れにくく、咳きこんでしまう

痰がでるのに切れにくい場合には、滋陰降火湯を試してみましょう。

滋陰降火湯

滋陰降火湯(ジインコウカトウ)は喉が乾燥して痰が出ず、咳が続く場合に使われる漢方薬です。体力が低下し、皮膚が浅黒く、咳や粘り気のある痰が切れにくい方に適しています。

 

【対象】

夕方や夜間に咳が頻繁、呼吸器の病気が長引いている場合

風邪のひき始めの咳

風邪の引き始めに咳が出る原因は、ウイルスが鼻や口から体内に侵入して上気道に付着し炎症を起こすことです。麻黄湯がおすすめです。

麻黄湯

麻黄湯(まおうとう)かぜのひきはじめに使われる漢方薬です。寒気がするけれど汗が出ない、関節が痛むといった症状がある方に適しています。胃腸が丈夫な方に向いていますが、胃腸が弱い方や体力が落ちている方は注意してください。

 

この薬は体を温めて汗をかくことで、かぜの症状を改善します。急な発熱や寒気などに効果的です。

 

【対象】

感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまり

風邪による咳・鼻水

風邪が原因の咳、鼻水が辛いときには、小青竜湯が良いかもしれません。

小青竜湯

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)さらさらした鼻水や、咳と一緒にたんが多く出る風邪やアレルギー性鼻炎に効果的な漢方薬です。特に、お風呂に入って体が温まると症状が楽になる方に適しています。小青竜湯は、体を温めながら「水」のバランスを整えることで、これらの症状を改善します。

 

【対象】

気管支炎、気管支ぜんそく、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症

つまった感じがする咳

鼻からの分泌物が喉に流れ込む状態です。分泌物が多すぎたり、粘り気が強かったりすると、喉に違和感を感じたり、咳が出たりすることがあります。

半夏厚朴湯

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、のどのつかえ感や気分の落ち込み、不安感を和らげるための漢方薬です。特に、几帳面で細かいことが気になる方に適しています。

 

漢方医学では、体内を巡る生命エネルギーを「気」と呼びます。ストレスなどが原因で、この「気」の流れが滞ると、のどに違和感を感じることがあります。半夏厚朴湯は、この滞った「気」の流れを改善し、のどのつかえ感や不安感を和らげる効果があります。

 

【対象】

咳、しわがれ声、のどのつかえ感

動悸・めまい・吐き気などを伴う咳

咳だけではなく、動悸やめまい、吐き気を伴う場合には柴朴湯が良いでしょう。

柴朴湯

柴朴湯(さいぼくとう)は、気分が落ち込んだり、喉や食道に異物感を感じたり、動悸やめまい、吐き気があるときに使われる漢方薬です。また、小児ぜんそくや気管支ぜんそく、気管支炎、咳、不安神経症などの治療にも用いられます。

 

【対象】

喘息、気管支炎、咳

自分に合う漢方が分からない場合は医師に相談しましょう

自分に合った漢方を見つけるためには、医師に相談するのが一番です。医師はあなたの体質や症状に基づいて、最適な漢方薬を提案してくれます。また、漢方薬は自然由来の成分が多いですが、副作用や相互作用もあるため、専門家のアドバイスを受けましょう。

忙しくて通院する時間がない方にはオンライン診療もおすすめ

咳が辛くて治療したくても、忙しくて病院を受診する時間がつくれないことがあるでしょう。そんな場合には、オンライン診療を活用してみるのも良いかもしれません。

オンライン診療とは

オンライン診療は、自宅にいながらインターネット接続のできるデバイスを使って医師の診察を受けられるサービスです。スマートフォン、タブレット、パソコンなどを利用して、ビデオチャットを通じて医師と直接対話できます。このサービスでは、診察の予約、問診、診断、薬の処方箋の発行、そして支払いまで、すべてオンラインで完結します。

SOKUYAKUとは

SOKUYAKUは、オンライン診療をより便利にするための多機能なサービスです。予約から薬の受け取りまで、すべての手順をアプリを使って簡単に進められます。

 

専門スタッフのサポートがあり、好きなクリニックや薬局を登録が可能です。また、薬の情報をデジタルで管理できる機能も備えています。さらに、全国どこでも当日または翌日に薬を受け取れることが特徴です。

まとめ

長引く咳には、漢方薬が効果的です。漢方薬は咳の根本原因に働きかけるため、持続的な改善が期待できます。自分の症状に合った漢方薬を選ぶことで、咳の改善が見込めるでしょう。

 

もし咳が続く場合は、専門家に相談し適切な漢方薬を取り入れてみてください。健康な毎日を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

コメント 長引く咳は様々な原因が考えられ、西洋薬では一筋縄に治療がうまく行かないこともあります。そのようなときに、漢方薬が役立つこともあります。漢方は自然由来の成分を使用し、体全体のバランスを整えることで、咳の症状を緩和します。咳はいろいろな原因があり、また個々の効果には差があり、自己判断は避けるべきです。漢方薬の選択には専門的な知識が求められるため、医師と相談し、自分に最適な漢方薬を見つけることが重要です。特に長引く症状に悩む方は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。ぜひ最適な漢方薬を見つけられると良いですね。

監修医コメント

医師
勝木 将人

長引く咳は様々な原因が考えられ、西洋薬では一筋縄に治療がうまく行かないこともあります。そのようなときに、漢方薬が役立つこともあります。漢方は自然由来の成分を使用し、体全体のバランスを整えることで、咳の症状を緩和します。咳はいろいろな原因があり、また個々の効果には差があり、自己判断は避けるべきです。漢方薬の選択には専門的な知識が求められるため、医師と相談し、自分に最適な漢方薬を見つけることが重要です。特に長引く症状に悩む方は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。ぜひ最適な漢方薬を見つけられると良いですね。

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監修医師 勝木 将人
所属:燕三条すごろ脳脊髄クリニック/長岡技術科学大学 准教授
専門領域分類:脳神経外科, 神経内科, 麻酔科(ペインクリニック), 医療データ
経歴:2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
所属:燕三条すごろ脳脊髄クリニック/長岡技術科学大学 准教授 専門領域分類:脳神経外科, 神経内科, 麻酔科(ペインクリニック), 医療データ 経歴:2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
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