胃腸炎になってしまったら何科を受診したらいい?原因や対処方法について詳しく解説
更新日:2024年07月27日
胃腸炎の原因は、ウイルスや細菌、寄生虫の感染、または食事や飲み水の質によるものが挙げられます。こうした症状に早く適切に対応することで、苦痛を最小限に抑え早期回復を目指すことが可能です。この記事では胃腸炎の原因と正しい対処法、そして受診する科についてくわしく解説します。胃腸炎になった場合、何をするべきか参考にしてください。
胃腸炎とは
胃腸炎は、胃や腸が炎症を起こすときに使われる言葉です。これには、嘔吐、下痢、腹痛、吐き気、食欲不振などの症状があらわれます。原因はさまざまで、ウイルスや細菌による感染、ストレス、アレルギーや免疫系の反応などが一般的です。
これらの症状が見られる場合は、早めに内科または消化器内科、胃腸科を受診しましょう。特に感染性の胃腸炎の場合、他の方に病気を移してしまうかもしれません。職場や学校、幼稚園などへの出勤・出席には注意が必要です。また、間違えやすい病気もあるため、自己判断は避け適切な診断を受けてください。
胃腸炎の主な原因
胃腸炎にはさまざまな原因があります。そのなかで、一般的なものを紹介します。
【感染症】
ウイルスや細菌、寄生虫が原因で、お腹の中が病気になることがあります。たとえば、ノロウイルスやロタウイルスは胃腸炎のウイルスです。大腸菌やサルモネラのような細菌や、赤痢アメーバのような寄生虫も同様に胃腸炎を引き起こすことがあります。
【食物中毒】
生の食べ物や調理が不十分な食品を食べた場合、細菌が増えて食中毒を起こすことがあります。
【水の汚染】
不衛生な水や飲み物を摂取することで、胃腸炎になる可能性があります。
【ストレス】
心配事やストレスが長く続いた場合に、お腹の調子を崩しやすくなります。
【アレルギー】
特定の食べ物に対するアレルギー反応が、胃や腸の炎症を引き起こすことがあります。
【自己免疫疾患】
身体を守るはずの免疫システムが、誤って自分の胃腸を攻撃してしまうことがあります。これは潰瘍性大腸炎やクローン病などの病気で見られます。
胃腸炎の症状
胃腸炎の症状は原因となる菌やウイルス、または人の体質によって異なります。お腹の痛み、下痢、吐き気といった症状が一般的です。
細菌性胃腸炎の場合、38℃以上の発熱と、嘔吐よりも下痢が強い症状があらわれます。時には、血が混じった便が出ることもあります。
ウイルスが原因でノロウイルスやロタウイルスに感染したときは、下痢よりも吐き気や嘔吐が目立つことが特徴です。中程度の発熱(37.5℃以上で38.5℃未満)が出ます。
感染が原因ではない胃腸炎は、感染によるものと比べて症状が軽いことが多く、熱が出ることは殆どありません。しかし、お腹の痛みや下痢が起こることがあり、消化器官の内部で炎症が強い場合は、吐血や血便が見られることもあります。
胃腸炎はいつ流行時期
感染性胃腸炎は特定の季節に流行する傾向があります。ウイルスは寒くて乾燥した環境を好むため、冬に活動が活発になることが理由です。ノロウイルスは。12月頃に流行のピークを迎えます。
一方、細菌は暖かく湿った環境を好むため、梅雨から夏にかけて感染が増えることが特徴です。この時期には腸炎ビブリオや病原性大腸菌などが原因で感染性胃腸炎が起こりやすくなります。
ただし、病原体は一年を通して身近に存在しているため、流行期でなくても感染する可能性があります。そのため、子供や高齢者、免疫力が低下している方は普段から注意してください。
胃腸炎になってしまったら何科を受診したらいい?
胃腸炎の症状が出た場合には、内科や消化器内科、胃腸科を受診しましょう。これらの科では、胃腸に関するさまざまな病気を診断できます。胃腸炎は多くの場合、特別な治療を必要としません。
胃腸炎の可能性があるお腹の症状が出た場合、早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
胃腸炎の検査について
胃腸炎の診断をするためには、いくつかの検査があります。
1.血液検査
胃腸炎を調べる際に行う血液検査では、体内で起きている炎症の程度を測るために、CRPというマーカーや白血球の数をチェックします。これらは体が感染に対抗しているサインです。
ほかには、血液中の尿素窒素やクレアチニンという物質の量を測定することで、腎臓がどれだけうまく働いているかを評価します。ナトリウムやカリウムなどのミネラルの量を見ることで、体内のミネラルバランスが保たれているかを確認します。
2.便検査
便のサンプルを取って、感染症があるかどうか、どのような病原菌が原因かを特定することが可能です。ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス性腸炎の場合は、迅速検査を行うことで短時間で結果がわかります。
3.腹部の音波検査やCT検査
腸の腫れや液体の貯留など、炎症の具体的な状態を視覚的に確認できる検査です。これにより、炎症がどの程度広がっているか、また腹水があるかどうかを把握します。
4.下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡検査)
症状が長引く場合は、下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡検査)を行うことがあります。これは、肛門から特殊なカメラを挿入し、大腸の内部を直接見て炎症の状態をチェックする方法です。必要に応じて、炎症部位の組織を採取して、さらに詳しい検査(病理診断や培養検査)を行います。
胃腸炎の治療方法について
胃腸炎は原因によって、治療法も変わります。ここでは急性胃腸炎の原因で多い、感染性胃腸炎の治療について説明します。
治療は、症状を和らげることが中心です。そのため、お腹の中の調子を整える整腸剤や、吐き気や痛みを抑える薬が使われることがあります。下痢を止める薬は、病原体が体内に留まることを助けてしまうため使わないことが一般的です。
軽い症状の場合には、抗生物質は必ずしも必要ではありません。症状が強い場合や細菌が原因であると考えられる場合に処方することがあります。ただし、ウイルスが原因の場合は抗生物質は効果がないため、症状を和らげる治療のみが行われます。
口から水分が摂取できないなど症状がひどい場合には、点滴を受けることもあります。
胃腸炎になってしまったらどうすればいい?
通常、急性胃腸炎だった場合は自然に治ります。症状が軽ければ、家で適切に水分を取りながら休みましょう。しかし、乳幼児や高齢者、免疫力が低い人、重い病気を持っている人は、症状が重くなることがあるので、早めに医者に相談することが大切です。糖尿病の人は、薬の量を調整する必要があるかもしれません。
また、お腹の症状が長引く胃腸炎の場合は原因が他にあるかもしれません。専門医に必ず診てもらいましょう。
水分補給を十分に行う
急性胃腸炎には、水分と栄養の補給がとても大切です。下痢があっても水分を摂ることは必要で、少しずつでも良いので定期的に飲むようにしましょう。食事に関しては、特に制限はなく、食べられる時には普通に食べてかまいません。
吐き気がある時は、飲み物はゆっくりと少量ずつ、食べ物は消化の良いものを少しずつ取るようにすると良いでしょう。バナナやゼラチン、お粥などがおすすめです。乳製品や脂っこい食事、カフェインやアルコールは、胃腸が落ち着くまで控えてください。
安静にする
治るためには、体が自分で戦う力、つまり免疫力が必要です。お腹が痛い時は、ゆっくり休んで体をいたわりましょう。無理をすると回復が遅れることもあるため、安静にして休息を取ってください。
周りの人に移さないようにする
感染性胃腸炎の場合、他人に移すリスクがあるため注意が必要です。ノロウイルスには特に注意が必要で、発症してから1週間から最長で1か月程度、ウイルスを排出し続けることがあります。
・吐物や便を処理する際には、顔を保護するためにアイシールドやマスクを着用しましょう。
・手を石鹸でしっかり洗いましょう。
・食べ物は中心まで加熱してください。
・調理器具は消毒用エタノールや逆性石けんで消毒します。強いウイルスには、次亜塩素酸ナトリウムの使用や高温での加熱が効果的です。
・トイレやお風呂などの共用部分は清潔にしてください。
・おむつの交換や処理にも注意し、手洗いは忘れないようにしましょう。
早めに医療機関に受診する
以下のような症状の場合、早めに医療機関を受診してください。
・吐き気が強くて水を十分に飲めない
・めまい、立ちくらみ、全身のだるさ、尿の量が少ない
・腹痛がひどくなったり、痛みが下腹部に集中してきた
・便に血が混じっている、または便が黒くなっている
・38度以上の高い熱
・初め診てもらった時にはなかった症状が出た時
これら症状がある場合は、より詳しい検査や治療が必要になることがあります。
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まとめ
胃腸炎にかかってしまった際には、適切な対応が回復への近道となります。安静にして水分をしっかり摂るようにしましょう。嘔吐や下痢は電解質も失うため、経口補水液やスポーツドリンクで補充することもおすすめです。
原因はウイルスや細菌、食べ物などさまざまです。そのため、症状が改善しない場合は医師の診断を受けましょう。正しい知識を持って適切な処理を行うことで、胃腸炎の症状を軽減し、健康を取り戻せます。
医師
中路 幸之助
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