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花粉症で咳が出るのはなぜ?風邪との違いや改善方法について解説

監修医師 中路 幸之助
更新日:2024年05月31日

更新日:2024年05月31日

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春の訪れとともに、花粉の季節が始まります。
この時期には、くしゃみや鼻水といったアレルギー反応に悩む人が増えます。
ただし、咳は花粉症のサインの一つです。

咳は風邪のような他の病気でも起こるため、花粉が原因だと気付かないかもしれません。
では、どうして花粉は咳を引き起こすのでしょうか?

この記事では、花粉症で咳が出る理由と風邪との違い、改善方法について解説します。
春先に咳で悩んでいる方は参考にしてください。

花粉症で咳が出るのはなぜ?風邪との違いや改善方法について解説

なぜ花粉で咳が出るの?

アレルギー反応が原因で、花粉が咳を誘発することがあります。

その理由について解説します。

花粉でアレルギー症状が発症する仕組み

私たちの体には、侵入してきたウイルスや細菌を撃退するための防衛システムが備わっています。このシステムは、体に害を及ぼす可能性のある異物を「敵」と見なし、攻撃して排除します。しかし、時にはこのシステムが過剰に反応してしまい、実際には無害な花粉までをも「敵」と誤認識してしまうことがあるのです。

 

特定の植物から飛散する花粉が、鼻や目の粘膜に触れると身体はそれを「敵」と判断し、防御反応を起こします。このとき、IgE抗体という特別な物質が作られ、アレルギー反応に関与するマスト細胞と結合します。この結合が起こると、花粉が再び体内に入ると放出されるのがマスト細胞はヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質です。これらの化学物質が、咳、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を引き起こす原因になります。

 

花粉症は体の免疫システムが花粉を誤って敵と見なし、それに対抗するために化学物質を放出することで症状が現れるのが発症する仕組みです。

花粉による咳の特徴

風邪やインフルエンザによる咳は、体が回復するにつれて通常1週間ほどで落ち着きます。一方で、花粉症の咳は花粉が空中に舞う季節、つまり約3ヶ月間は続くことがあるのが特徴です。

 

また、花粉症では、鼻や目にも症状が出ることが一般的です。目がかゆくなったり、赤くなったりする場合は、風邪やインフルエンザではなく花粉症かもしれません。花粉によって大量の鼻水が出た場合、それが喉に流れ込み咳を引き起こす原因になることがあります。

 

ただし、咳が長期間続く場合は、喘息や咳喘息かもしれません。この場合は、鼻水が少ないことが多く、花粉の飛散していない時期でも咳が出ることがあります。

口呼吸によって症状が現れる可能性も

鼻で呼吸するとき、空気は鼻の中できれいにされて、身体に入る前に適切な温度と湿度に調整されます。これにより、ほこりや花粉などの小さな粒子が気管や肺に入るのを防いでいます。つまり、鼻は私たちの体にとって自然なエアフィルターのような役割を果たしているのです。

 

鼻が詰まると、本来の呼吸の道がふさがれてしまい、口を使って呼吸することになります。口から呼吸すると、乾燥したり冷たい空気が直接気管に入り込み、喉を乾燥させる原因となります。また、花粉が喉の粘膜に付着しやすくなり、アレルギー反応を引き起こすかもしれません。その結果、くしゃみや咳といった症状が現れることがあります。

花粉症と風邪の違い

花粉症は、早期に対策を取ることで重症化を防げます。風邪と間違えて風邪薬を飲んでも効果は限定的です。花粉症と風邪は似ているようで、実は全く異なります。

 

また、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症も風邪と似た症状を示すことがありますが、これらは高熱や全身のだるさが特徴です。不明な点がある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。

 

それでは、花粉症と風邪の違いについて場所別にみていきましょう。

鼻の状態

花粉症ではサラサラの鼻水が特徴ですが、風邪の鼻水は黄色っぽくネバネバしていることが多いです。

目の状態

花粉症の場合、目のかゆみや充血が見られますが、風邪ではあまり見られません。

頭痛の状態

風邪では頭痛が起こることがありますが、花粉症では頭痛は一般的な症状ではありません。

症状の出方

 

花粉症の症状は花粉の飛散量によって日によって変わりますが、風邪の症状は感染後数日で改善することが多いです。

花粉症の検査方法

特定の季節に咳が出る場合は、花粉症かもしれません。ただし、それ以外にも様々な呼吸器疾患やアレルギーが原因であることも考えられます。そのため、専門医による適切な検査を受けることが大切です。

 

血液検査や皮膚テストが含まれ、咳の原因が特定の花粉であるかどうか、またどの植物の花粉であるかを明らかにする検査があります。正しい診断により、効果的な治療や予防策を立てられます。

血液検査

この検査では、血液中のIgE抗体の量を測定します。IgE抗体は、アレルギー反応を引き起こす物質に対する体の防御反応の一部です。血液検査により、体がどの物質に反応しているかを知ることができます。

鼻汁を採取しての検査

鼻水を調べることで、アレルギー反応に関与する好酸球という細胞の数を測定します。また、特定のアレルゲンを鼻に入れて、体の反応を見るテストもあります。

皮膚の検査

アレルゲンを直接皮膚に適用し、その場所がどのように反応するかを観察します。プリックテストやスクラッチテストがこの種類の検査に含まれます。

治療方法

花粉症による不快な症状を軽減するためには、まず花粉の体内への侵入を防ぐことが重要です。花粉の多い時期は約2ヶ月間続くため、完全に花粉から身を守るのは難しいかもしれません。外出する際には、マスクや花粉専用の眼鏡を着用するなどして、できるだけ花粉を避ける工夫をしましょう。また、家に帰ったら衣服についた花粉を払い落とすなどして、家の中に花粉を持ち込まないように気をつけてください。

 

そして、医師の指導のもと、適切な治療を受けることで、症状を和らげられます。

薬物療法

花粉症の治療は症状に合わせて、飲み薬、鼻に吹きかける薬、目薬などがあります。くしゃみや鼻水が主な症状か、それとも鼻づまりもあるのか、また症状の重さによっても使用する薬は異なります。

 

医師には自分の症状を詳しく伝え、最適な薬を相談してください。市販の薬を選ぶ際には、薬剤師に症状を伝え、眠くならない薬を選んでくれるようお願いしましょう。

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法は、花粉症の原因となる花粉に対する体の耐性を高める治療法です。この方法では、花粉の成分を含む抗原エキスを少量ずつ体に取り入れ、徐々に慣れさせていきます。注射や舌下薬(舌の下で溶かす薬)を使用することが一般的です。

 

この治療は、花粉症を根本から治す可能性があるとされ、多くの方に効果が見られます。ただし、効果が実感できるまでには数年かかることもあり、すぐに症状が改善されるわけではありません。そのため、花粉が飛び始める前のオフシーズンに治療を開始しましょう。

手術療法

鼻づまりがひどい場合、鼻の内部の粘膜を取り除く手術やアレルギー反応に関わる神経を切断する手術によって、症状を軽減できます。また、鼻の形が原因で鼻づまりが起こる場合は、鼻中隔弯曲矯正術という手術が効果的です。これらの手術は、現在では日帰りで受けられます。

花粉による咳が辛い場合は、医師に相談を

花粉症が引き起こす症状には、咳も含まれています。特に喘息や咳喘息をお持ちの方は、花粉によって咳が増悪するかもしれません。花粉の季節に咳がひどくなる、または市販の薬では症状が改善しない場合は、呼吸器内科やアレルギー科を受診しましょう。

 

忙しい方で受診する時間がつくれない場合、オンラインでの診療サービスを活用してください。自宅や職場からでも医師の診察を受けられます。時間を有効に使いながら、適切な治療を受けてみませんか。

まとめ

花粉症の症状は風邪に似ていることが多く、間違えて風邪と判断してしまうことがあります。もし風邪のような症状が出たら、特に花粉の季節には、早めに医師に相談することが大切です。症状が軽いうちに治療を始めることで、悪化を防げます。

 

花粉症の薬は、花粉が飛び始める前から服用するとより効果的です。毎年この時期に咳がひどくなる方は、早めに対策を始めましょう。

 

忙しくて病院に行けない方は、オンライン診療を活用しましょう。SOKUYAKUではオンラインでの診療を提供しています。お気軽にご利用ください。

コメント 花粉症の時期には気道の過敏性が高まり、「咳」が出ることがあります。花粉症と風邪を同時に発症することもあり、診断が難しい場合もあります。
「新型コロナウイルス感染症」も同様な症状を呈します。
また、花粉症の検査で実際自分がどんなアレルゲンをもっているかを知っておくことは、今後のアレルギー対策に重要です。
もし、花粉症の時期に咳がひどいときや、長引くときは、呼吸器内科やアレルギー科などでご相談ください。

監修医コメント

医師
中路 幸之助

花粉症の時期には気道の過敏性が高まり、「咳」が出ることがあります。花粉症と風邪を同時に発症することもあり、診断が難しい場合もあります。
「新型コロナウイルス感染症」も同様な症状を呈します。
また、花粉症の検査で実際自分がどんなアレルゲンをもっているかを知っておくことは、今後のアレルギー対策に重要です。
もし、花粉症の時期に咳がひどいときや、長引くときは、呼吸器内科やアレルギー科などでご相談ください。

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監修医師 中路 幸之助
医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター 専門領域はアレルギー・膠原病内科, 神経内科, 消化器内科, 血液内科, 肝胆膵内科, 呼吸器内科, 総合内科, 感染症科, 循環器内科, 腎臓内科, 内分泌代謝科, 糖尿病内科, 内科 経歴:1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。 主な研究内容・論文として、カプセル内視鏡 消化器内視鏡 消化器病 保有免許・資格は、米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医 日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医 日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医
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